天狗の巣
テングス病
シンガポールをはじめ、熱帯の植物には着生植物が多い。熱帯雨林の中は暗くて光を得るのが大変なために木の上で生活することを選んだ、植物がたくさんいるのだ。そんなわけで…
森や公園などで時々見かける、この植物の塊を、私は「ヤドリギ」か、はたまた、何か「着生植物」の一種だとずっと思っていた。
でもビックリ仰天。これの正体は「テングス病」なのだそうだ。
テングス病??? 言葉は聞いたことはあるけど…、どんな病気だ?
朝日百科「キノコの世界」P110には、「枝や梢から多数の細かい枝や葉などが叢生(そうせい)し、箒(ほうき)状あるいは鳥の巣状になる植物の病害」と書いてあった。
言われてみればその通りだけど、うーん、これで同じ個体なの?何でこんなんなっちゃうわけ?
つまりは…こうらしい。
樹木が何かの菌類に感染する
⇒植物のホルモンは本来、茎の先にある芽(成長する部分)に優勢に働くようになっているのだが、菌に感染すると、そのホルモンバランスが乱されてしまう
⇒その結果、混乱した植物がとんでもない場所にホルモンを働かせてしまって、その部分が異常に発達したりして、上の写真みたいなのができる
すごくぶっちゃけた説明になってしまったけど、私はこう解釈した。わかるかな~?
上記の資料はこのように締めくくってあった。
「天狗巣病は、このように多くの樹木で見られ、その原因も様々である。多くの場合、(菌類が作った)植物ホルモンなどにより、正常な代謝機構が乱されて発生すると考えられているが、いまだその詳細なメカニズムについては不明であり、今後の研究が望まれる。」 ( ( )内は私が付け加えた語句)
難しいことはヤメにして、今回知って面白かったこと。
テングス病の「テングス」は外国語だと思っていたけど、本当は「天狗巣」。「天狗の巣」という字を書き、そういう意味なんだと知った。天狗は深い山の杉の大木の上に考えられていたので、木の上で小枝などがわしゃわしゃとしている部分は、昔から「天狗の巣」とか「天狗の腰掛け」とか呼ばれていたのだそうだ。そこから付いた言葉なんだって。いやー、日本語ってやっぱり面白い!
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
この間メールをいただいてからは、毎日楽しみにこのブログを訪問させていただいています。
今日は、何のお話かな・・・と。
でも、作り手としては、一日一花は、きついでしょう。
きちんと調べたことをお書きになっていらっしゃるので、読み応えがあります。
オスモキシロンは、その後、黒い球の上に見えているのは「二番花」という表現に出会いました。
一番花を、観察しそこなったのか、私には、最初っから球が出てきたようにしか見えませんでしたが・・・
乗りかかった船、と言うことで、オスモキシロンを通販から購入してみようと考えています。
投稿: すずきみのり | 2005年12月 9日 (金) 10時01分
1日1花は確かにきついときはあるかもしれません。できる範囲でやっています。
「二番花」…なるほど。でも私にも黒い球がはじめから出てきたように見えました。できるだけ注意して観察していきたいと思っています。
投稿: TOM | 2005年12月 9日 (金) 23時13分