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2005年12月 4日 (日)

あり植物 マカランガ

Macranga triloba

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トウダイグサ科 Euphorbiaceae (バラ亜綱 トウダイグサ目)

原産地:インドシナ、西マレシア

Common Name: Common Mahang

マカランガは属の名前。地元ではコモンマハンと呼ぶのが普通のようです。

熱帯雨林の中は生存競争が激しくて―栄養分の争奪戦のための―あの手この手を考えて進化してきているところが、すごく面白いんだけど、これもその代表選手の一つ。

アリ植物という言葉を聞いたことがありますか?

ブキティマやマクリッチなどの、森の少し明るいところによく生えているこの植物は、私達にとっては「あり植物」の代表選手です。茎についている黒い輪が目印です。

macranga_triloba2s

左の写真を見てみて。小さなアリがマカランガの茎にたむろしているでしょう?

このアリ(学名 Crematogaster borneensis)はこの茎の中にがあります。茎に小さな穴(このありだけが通れるような大きさの)が開いていてそこから出入りするのです。

アリはこの巣の中で子どもを育て住むだけでなく、アリマキを育てそれらが出す甘い汁をエサにします。つまり栽培をしているというわけ。スゴイネーーー!

マカランガは写真にも写っている黒い輪みたいなところに栄養分をためて、アリに提供もしています。

ここまで書くとアリばっかりいい思いをしているようですが、マカランガもその見返りをアリから受けています。

例えば、茎の中でアリやアリマキが死ぬとその死骸がマカランガの栄養分になります

また、生存競争の激しい森の中で、つる植物などがマカランガに絡みついてきたりすると、アリがこれを噛み切って、マカランガを守り、マカランガの美味しそうな葉を食べに昆虫などがやってくると、その昆虫を撃退するのだそうです

こういった持ちつ持たれつの関係を 「共生関係」 と言い、このようにアリに住まいを供給して共生関係を持っている植物のことを 「アリ植物」 と言います。トウダイグサ科だけでなくて色々な科にアリ植物はあります。特に厳しい環境に置かれている植物に多いです。

マカランガは1.5mくらいの高さのものをよく見かけますが、3~5mくらいの高さになって、花や実をつけているのも、たまに目にすることがあります。

マカランガの仲間の種類は他にもいくつかあって、これらもよく森の中で見かけますが、全部が「アリ植物」というわけではありません。

資料:「A Guide To The Bukit Timah Nature Reserve」 P74

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コメント

武田邦彦氏のコメントの中で聞いて興味を持ち検索しました。
興味深い植物を知りました。
研究、調査、周知ありがとう。

投稿: たかはしかつよし | 2021年4月29日 (木) 12時23分

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