« シンガポール植物園-4 | トップページ | ラフレシア-1 »

2006年1月19日 (木)

人類最大の発明-栽培植物

「栽培植物と農耕の起源」中尾佐助著 岩波新書 ブックレビュー Part 1

本を読んでいたら「おもしろーい!」って思うことがいっぱい書いてあったので、忘れないためにアップします。

************************

「人類最大の大発明」って何でしょう?

この本を読んでいると「栽培植物」なんじゃないのかな?って思わされます。

栽培植物って私たちが日常的に栽培してる植物のこと。特に、食料として。たとえば、米を収穫するイネや、パンを作るための小麦、熱帯果物の代表選手のバナナなど。

お米が秋に熟れて黄金に輝く田んぼを今まで何の疑問も持たずに生きてきたけど、「あれば人類の英知の塊だったのねー」ということを知りました。

イネって、同じ田んぼでは同じ時期に一斉に穂をつけるでしょ。それから、刈り取って干すでしょ。

これって、自然の植物世界からすると異常事態なのです。

だって、刈り取った穂からモミが落ちないってことは、種子の散布ができないってことじゃない!イネという植物にとっていいことってないわけ。

一斉に穂を出すってのも同じ。同じ時に穂を出して実らせて、そのときに何かの天変地異でも起こった日には全滅よ!全滅!

庭でお花を育てていたときにつくづく思ったけど、「多様性」って生物の世界ではとっても大事だと思う。均一だと何か起こったときには、とっても弱い。多様性に富んでいると、何か起こったときにも補い合える…。

でも今私たちが通常見る田んぼの風景は「多様性」なんかなくて、「均一」。生物が生き残っていくためのリスクを減らすという意味では、すごくおかしい、異常な姿なんだってことに、この本を読んで初めて気がついたわけ。

今日はイネの話に特化するね。

つまり今私たちが見る「イネ」というものは、人間が食料を採るための「栽培植物」として、長い長い時間をかけて選抜し、改良してきた「発明品」!!!

もともと人間が手を加える前の野生のイネがどんなものだったかと言うと、熟れたモミはさわるとパラパラっと落っこちてしまう代物らしいです。種を蒔いても、発芽は不揃いだし、花の咲く時期、穂の出る時期、熟れる時期、みーんなバラバラ。でもって、収穫しようとするとモミはみんなパラパラ落ちてしまうから、いやー大変!ってなものだったらしい。

野生のイネか栽培品種かを見分ける方法の1つは、このモミがパラパラ落ちてしまうか、穂にくっついたままか、ということなんだそうです。

ずっと昔は実の熟れる時期がバラバラだったので、熟れた穂を選んで、モミがパラパラ落ちないように収穫していたんだそうです。そのうちモミが落ちない品種を作り出して、穂刈りができるようになったんだけど、でもまだ「穂刈り」の段階。根本からばっさり今のように刈るようになったのは、日本では「平安時代」からで、奈良時代までは「穂刈り」していたんだと、この本には書いてありました。

ってことは、よく博物館とかで見る、「弥生時代は稲作をはじめた時代です」なんてコメントともにみんなで稲刈りをしている絵なんかがあるけれど、あれって「うそ」ってこと??いやー、目から鱗でありました。

今、私たちにとって当たり前で、昔から人類が当たり前に行ってきたって勘違いしちゃうことって、意外と多いのかもしれません。食べ物一つを取っても、今私たちが食べているジャガイモやトウモロコシはコロンブスがアメリカに行く前は、ヨーロッパ社会の中にすら存在しなかったものだって、普段は忘れていたりします。

食べ物になる植物って「使える!」って思うと、みんなでどんどん伝えていってしまうから、広まるのが早いし、あたりまえになるのが早いんだろうなー。そして、それは誰も歴史に文字として刻まないから、その食べ物がどこから来て、どういう風に広まってきたかを知るのは大変。このブログの植物の説明のために「原産地」を調べていると、壁にぶつかることが多かったけど、そのわけはこういうことだったのね。

とにかく目から鱗の知識がいっぱいの本でした。近いうちに Part 2 で「バナナの謎」をレポートします!

人気blogランキングの投票にご協力を!ポチっ!(^0^)

|

« シンガポール植物園-4 | トップページ | ラフレシア-1 »

コメント

 はじめまして。宮城県で花屋をしている男子です。うちのお店では多肉植物を多く置いています。その他も珍しい物が多いんですが、写真を拝見するとゾクゾクしてきます。実際自分もいろんな国に行って見てみたいです。あと稲の話、非常に面白かったです。宮城県はササニシキが有名ですけど、稲という植物、歴史については全く分らなかったので、非常に勉強になりました。またお邪魔したいと思います。

投稿: モーク | 2006年1月19日 (木) 23時41分

 こんにちは。
 『栽培植物と農耕の起源』、私も読みました。面白いですよね。
 「お奨めの本」を見ると、TOMさんの読んでいる本と私が読んでいる本は、かなりかぶっているようです。でも、TOMさんのほうが勉強家みたいです。私も見習ってがんばります。

 ところで、早速のリンク、ありがとうございました。
 こちらからもリンクさせていただきました。

投稿: 松沢 千鶴 | 2006年1月20日 (金) 14時07分

『栽培植物と農耕の起源』、本当に面白いですよね。でも私にはけっこう難しくて、内容を理解するのにけっこう苦労しました。自分なりにかみ砕かないと、理解できないたちなので、ブログで好き勝手書いて、かみ砕いているという次第。
勉強熱心と言うよりは、今は面白くてしょうがないって感じかな?写真の整理ができるまでは熱が冷めないことを祈ろう…。

投稿: TOM | 2006年1月20日 (金) 14時46分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/149808/8224413

この記事へのトラックバック一覧です: 人類最大の発明-栽培植物:

« シンガポール植物園-4 | トップページ | ラフレシア-1 »