イチジク
熱帯植物を語るのに絶対に欠かすことができないのがイチジク。
イチジク? 食べるアレですかーー??
って思うでしょ。そうです。あのイチジクのお仲間が熱帯ではとーっても重要な植物なんです。
ベンジャミンが生まれ故郷の熱帯ではすっごーーーーく大きい木でビックリしたという話を先日紹介したんですが、ベンジャミンもイチジクの仲間。そのほかにもイチジクの仲間はいっぱいあって、クワ科イチジク属には700種もの仲間がいるそうです。
日本でお馴染みなのは、ベンジャミン ( Ficus benjamina )をはじめ、食べる「イチジク ( Ficus carica ) 」、「ゴムノキ ( Ficus elastica ) 」と呼ばれている観葉植物、紀伊半島や四国南部で見られる「アコウ( Ficus superba var. japonica ) 」や沖縄を連想させる「ガジュマル ( Ficus microcarpa ) 」なんかもみーんなイチジクの仲間。ついでに言うなら「オオイタビカズラ」の名でも知られていて、ガーデニングの寄せ植え材料としてよく使われる「フィカスプミラ ( Ficus pumila ) 」もフィカスの文字通り、イチジクの仲間です。
皆さんが知っているだけでもけっこういっぱいあるってわかったでしょ?
漢字で「無花果」と書いて「イチジク」と読むのはご存知だと思いますが、(TOMは知らなかった…)イチジクは私達が想像するようなきれいなお花は咲かせません。だから「無花果」。でも実はなる…。いったいどこにお花が咲いているんでしょ?
不思議に思ったことはありませんか?
じつは実みたいに見えるモノの内側にびっしり付いているのがイチジクのお花の1つ1つ。写真は落ちたものなので、もうタネになっているものもあるのでしょうが、ちょっと前までここにお花がさいていました。…って言えばわかるかな? イチジクっていうのはたくさんのお花が集まって咲いている「お花のまとまり」でもあったんです。こういうタイプのお花のことを「イチジク状花」とか「隠頭花(いんとうか)」と言います。
こういうタイプのお花と実をつける仲間がクワ科のイチジク属でいーーーーぱいあるわけ。
熱帯植物を語るのに欠かせない…と最初に書いたんですが、イチジクはとっても面白い特徴をいくつか持っています。1つは「幹生花・幹生果」と呼ばれる花や実をつけること。「絞め殺し植物」と呼ばれる性質を持つ仲間がいること。「イチジクコバチ」との共進化。これらは1つ1つの説明が長くなってしまうので、今日はすっごく大切なことだけお伝えします。
イチジクがないと、森の動物達は生き残っていけないんですぅーーー!!!
シンガポール周辺の東南アジアの森の動物(昆虫、鳥、哺乳類ージャコウネコやサル、リス、クマなど)たちは、イチジクを餌にしていて、餌のほとんどがイチジクってこともあるそうです。オランウータンの食べる果物の4分の1がイチジクということもあるそう。
熱帯の植物達は気まぐれなので、温帯の植物たちのように、1年に1度決まった季節に花を咲かせ、実をみのらせません。木によっては数年に1度、10年に1度、数十年に1度しか実を結ばないものもあります。そういった気まぐれな植物達の実を待っていては、森の動物達は飢え死にしてしまいます。彼らを食いつながせてやっているのが、「イチジク」たち。イチジクは色々な種類のものがいつも森のどこかで実をみのらせ、動物達が食べて、種を遠くまで運んでくれるのを待っています。
でもシンガポールは都会だからイチジクなんてあんまりないんでしょ? って思う?
いえいえ、バスに乗っている時も、公園を散歩している時も、森の中を歩いている時も、歩けばすぐにイチジクにあたります。
子ども達は動物が大好き!いえいえ大人もですよね。ガイドをしているときも動物が出てきたら、説明は取りやめ。みんなが満足するまでゆっくりと動物を観察します。そんな動物達の命をささえてくれているのがイチジクちゃんたち。感謝、感謝!!
下の写真は「コモンレッドスティムフィグ ( Ficus variegata )」。こんな風に幹にボコボコ直接実をつけます。日本では遭遇したことがない代物で最初はびーっくり。でも面白いでしょ?!!
これからイチジクちゃん、どんどんご紹介していきますね!
資料:「熱帯多雨林の植物誌」P32~
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