ブラックリリーのお花の構造
Tacca sp.
先日のガイド講座で、ブキティマを歩いた時にはブラックリリーの株しかお見せできなくて残念!でも自然相手だからこういうときもあります。でもだからこそ、偶然に出会えたときは嬉しさ倍増!こんな感動を共有できる人が増えたら良いなと思って「ガイド講座」やブログをやってます。
で、今年3月にマクリッチをS先生(こちらの大学の植物の先生)と歩いた時には、ブラックリリーが咲いていて、長年の疑問をぶつけてみました。「先生、ブラックリリーのお花ってどこがオシベで、どこがメシベなんですか?」
そのとき見せていただいて、ちょっとわかった感じがしたので、自分の記憶のためにUPです。
左の写真は花のアップなんだけど、花びらやオシベ、メシベがどうなってるのか、よくわからないでしょ。花粉とか柱頭らしいものもよくわからないし…。
結論を言うと、縦に切って、横から見るとこんな感じの構造になってます。
周りの花びらとかオシベを取って、上から写したもの。一見、この上の部分が柱頭みたいに見えるでしょ。でもどうも上ではなくて、図のように下に回りこんだ部分が柱頭にあたる部分みたいです。(図参照)
土台になってる周囲の部分の色が変わっているところは花びらをはぎとった痕。
上のと同じ物を真横から撮った写真。柱頭みたいなところが見えますか?
でもって「はぎとった花びら?」と「オシベ」。
左の方に見えるオシベがわかりますか?
真ん中に花粉がついていました。この花粉がついている部分は花が咲いているときには下向きになっていて、外から花粉を見ることはできません。だから、花を見たときに花びらのほうから出ている突起のようなものが「オシベ」とはわからなかったのですね。
つまり、花が咲いているとき、普通のお花なら外から見えるメシベの柱頭やオシベの花粉が、ブラックリリーでは全然見えないわけ。
小さな虫になって一生懸命ゴソゴソっと花の中に入っていかないと花粉にも柱頭にも出会うことができません。中にはオイシイ蜜でもあるのかな?
ブラックリリーはその名の通り、黒い色をしていて、暗い森の中では全然目立ちません。何で虫を呼び寄せているのかコレも不思議。臭いか何かで引き寄せて、蜜で奥まで誘い込むのでしょうか?だとしても全体の姿は普通の花の常識からすると奇怪至極。この姿の意味も知りたいなぁって常々思っています。
左の写真はシャントリエリの花の終わった後の写真。前にアップした時はなんなのかわからなかったけど、オシベメシベのことが今回わかって、はっきりと実だってわかりました。
オシベは花が終わると用がなくなるので、落ちてしまって付いてた痕だけ残っています。柱頭だったところも痕になって残っているのがわかりますね。
単子葉植物だからか、柱頭がチューリップなどと同じように三角形をしているのがおもしろーい!オシベも6本。3の倍数をちゃんとしてますね。おお、よく見るとチューリップとよく似てる構造をしてるんじゃん。…と思ったら同じユリ亜綱でした。学者さんはよく見てるねー。
こんなネタばっかりでごめんねー! お花ってキレイの観点も面白いけど、どういう構造をしているかを知ると、虫とかをどう利用しようとしているのかとか、植物の知恵がすっごく感じられて、とにかく面白いんだもん。ついつい、はまってしまいます。
ブラックリリーの前の記事は下記のとおり。詳細はこちらに書いてありますので、こちらも遊びに行ってみてね!
Tacca sp. (園芸種)
Tacca integrifolia (森の中のブラックリリー)
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下の写真は3月に見たブラックリリー。うさぎの耳みたいなのと、オヒゲが面白いよねー。
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