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2006年6月22日 (木)

マルメラ?マルメロ?カリメロ?

Bunchosia armeniaca

Bunchosia_armeniaca001s

シンガポール植物園のビジターセンターから、本などを売っているショップの横の屋根のある園路をエボリューションガーデン方面に進むと、その左側にはフルーツなど実が面白い木々が植えられています。

6月のはじめに歩いていたら、今まで気がつかなかった黄色の花と赤い実が目に飛び込んできました。高さは3mくらいの低木。だからお花も実も間近で見られました。

樹名板を見ると一般名「マルメロ」とあります。マルメロって聞いたことがあるけど、どんなものだっけ?カリメロと混乱しそうな名前だなあー(TOMだけ?)などと思いつつ、観察。

きれいー。黄色のお花!

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お花は直径が3~4cmくらい。大きなお花ではないけれど、まとまって咲くので、きれいです。

お花の正面から撮った写真。5枚ある花びらのうち3枚しかまだ開いていないけど、構造はよくわかるでしょ。

左に写ってるつぼみも見て!めっちゃ、かわいい!!!

Bunchosia_armeniaca006s

Bunchosia_armeniaca005sお花を横からアップで撮ったもの。すっごく面白いなあって思ったのは、オシベとメシベの形。そう思いませんか??

花びらの出方もなんかおもしろーい!

熱帯植物要覧によると、高さは10mくらいにまでなるそうです。 

下のは、花序の写真と若い実の写真。ガクだったところかなあ。しっかりと形が残っていて、フリルみたい。

Bunchosia_armeniaca008s

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最終的には実は3~4cmの大きさになって、赤くなります。ガクのフリルは大きくなっても健在。Bunchosia_armeniaca015s

熱帯植物要覧には「果はほぼ球形、径2~4cm、淡緑。果皮薄、果肉クリーム色。やや厚、甘酸味。果は現地で生食。」とも書いてありました。ちょっと実際に見たものとは違います。本の記述は若い実を見て書いたのかな?

でも食べられると書いてあったので、かじってみました。赤いところがジューシーではないけど、カリカリと食べられました。「ん?甘くはないぞ。」どちらかと言うとアーモンドか何かのように香ばしい感じ。TOMは幸いにもおなかをこわしませんでしたが、誰もが大丈夫とはかぎらないので、挑戦してみる方は自己責任で。

Bunchosia_armeniaca

キントラノオ科 Malpighiaceae (バラ亜綱 ヒメハギ目)

原産地:エクアドルのアンデス山地原産、Pastaza河渓谷

Common name: Marmela, Ameixa, Ciruela , Ciruela de la China, ブンチョシア、アメイシャ、マルメラ

Bunchosia_armeniaca013s名前なんですが、樹名板には確かにマルメロと書いてありましたが、「1001 Garden Plants in Singapore」P315には「Marmela」とありました。どっちが正しいんでしょ。ちなみに他の資料には、似た名前さえも無かったので、どっちが正しいのか全然わかりません。

マルメロの名で「熱帯植物要覧」を調べたら、まったく別のミカン科の植物(Aegle marmelos)で、ヒンズーの聖木の木でした。色々使える植物らしいです。

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TOMの悩みに松沢さんが情報をくださいました。コメント欄をついでに是非お読みください。マルメロと呼ばれる植物はじつは複数あるのだそうです。

資料:熱帯植物要覧 P259

「1001 Garden Plants in Singapore」P315

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コメント

お久しぶりです。「マルメロ」ことアメイシャについて情報がありますので、のこのこと出てきました。

 動植物の名には、似たようなものが多くて、ややこしいですよね。「マルメロ」と呼ばれる植物には、複数の種があります。

 日本語で「マルメロ」といった場合、普通は、バラ科マルメロ属に属する
Cydonia oblonga
を指します。カリンに近縁な種で、花や果実の形も似ています。

 TOMさんが調べたミカン科の「マルメロ」Aegle marmelosは、普通、日本語名を「ベルノキ」といいます。これを「マルメロ」と呼ぶのは、ポルトガル語の呼び名から来ています。
 ベルノキは、ポルトガル語でMarmelo de Bengalaと呼ばれます。「ベンガルのマルメロ」という意味ですね。ベルノキはインドのベンガル地方に多いので、このような名が付いたのでしょう。

 そして、本題のBunchosia armeniacaです。
 この植物は、正式な日本語名は付いていないようです。原産地がブラジルやペルーで、日本から遠いため、馴染みがないからでしょう。
 一応、「アメイシャ」という名が、最も標準的なようです。

 アメイシャAmeixaというのは、ポルトガル語で、「スモモ」という意味です。ブラジルでこのように呼ばれます。果実の様子が、ちょっとスモモに似ていると見立てられたようです。
 ブラジルのアマゾン地方では、果実を食用にするために栽培している、と聞きます。

 アメイシャをMarmeloと呼ぶのは、どこの地方なのでしょうね? 私もこれは知りません。
 ポルトガル語の響きからすると、マカオか、インドのゴア地方あたりの呼び名かも知れませんね。どちらも、旧ポルトガル植民地です。

投稿: 松沢 千鶴 | 2006年6月23日 (金) 14時02分

松沢さん
いつもながら、すばらしい説明に惚れ惚れしてしまいました。すごいです。
結論としてはマルメラという記述がまちがいだったみたいですね。マルメロと呼ばれる植物が複数あるということもはじめて知りました。本当にありがとうございました!!

投稿: TOM | 2006年6月23日 (金) 20時20分

こんにちは。楽しく見せてもらってます。
懐かしい、「まるめろ」という言葉と、植物の写真を見てびっくりしました。
私の知っている「まるめろ」は青森の方言詩人
高木恭造さんの詩集「まるめろ」で、その中に出てくるまるめろは、カリンだったからです。
でも、松沢さんのコメントでよくわかりました。
植物とは直接関係はないのですが、津軽の方言そのままで語られる詩の朗読は意味は半分もわからないのですが、なぜか、懐かしく、せつなく、心を揺り動かされ、とても感動したことを覚えてます。
ソノシートの入った詩集、日本に置いて来ましたが今ではソノシートを聞くすべもありません。
歳がわかってしまいますね。。

投稿: 三好妙子 | 2006年6月24日 (土) 01時02分

「ベンガルのマルメロ」とポルトガル人が名づけたのですか? ベルノキの果実はドゥルガ・プージャというベンガル人のお祭りに参加させてもらった時(シンガポールで)見ました。 西岡直樹さんが「インドの樹、ベンガルの大地」p132で、”中にはパンプキンパイとマーマレードを練り合わせたような果肉がつまっている。そのままスプーンですくって食べてもおいしいが、水に溶いて冷たい飲み物にするともっとおいしい”と書いておられます。シンガポールでベルノキは見つけていません。

投稿: 熱帯樹 | 2006年6月24日 (土) 12時05分

 お役に立てたようで、良かったです。
 ついでに少し、追加情報を。

 マルメロmarmeloという名は、もともとポルトガル語で、バラ科のマルメロを指します。Cydonia oblongaですね。
 バラ科のマルメロは、江戸時代に日本に渡来して、日本でも栽培されるようになりました。
 おそらく、鎖国前の南蛮貿易の時代に、ポルトガル人によって伝えられたのでしょう。ポルトガル語の呼び名がそのまま付いたのは、たぶんそのためです。
 バラ科のマルメロは、カリンと混同されて、カリンと呼ばれることが多いです。

 ベルノキを「ベンガルのマルメロMarmelo de Bengala」と名付けたのは、ポルトガル人ではなくて、ブラジル人かも知れません。
 ブラジルは、旧ポルトガル植民地です。公用語はポルトガル語です。ブラジル原産のものに限らず、たくさんの熱帯果実が栽培されています。国の重要な産業です。
 ベルノキも、ブラジルで栽培されています。産業植物として導入するにあたり、ブラジルの公用語で、Marmelo de Bengalaと名付けられたのではないでしょうか。公用語で名付けるのは、自然なことですよね。

 アメイシャAmeixaというポルトガル語の名が、ブラジルで付けられたのも、むろん、ブラジルの公用語がポルトガル語だからでしょうね。

投稿: 松沢 千鶴 | 2006年6月26日 (月) 18時20分

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!

投稿: 履歴書の書き方 | 2014年8月27日 (水) 09時16分

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