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2006年8月31日 (木)

プランテーション界のヒーロー、ウィービル君

ヤシの実のアジア学」にアブラヤシの花についてちょっと面白い記事が載っていました。

1_15   アブラヤシは花粉を風と虫の両方に運んでもらっているんですが、20年ちょっと前までは東南アジアには花粉を運んでくれる虫がいなかったので、風だけにたよると受粉が十分にされず人間が受粉を行っていました。(人が関与することで収量が3割もアップしたのだそうです。)

2_24アブラヤシはアフリカ原産。だから当然花粉を運ぶ虫もアフリカ原産。植物だけを連れてきて虫は置いてきちゃったので、花粉運びをやる子たちがいなかったんだな…。

原産地のアフリカでは色々な虫が花粉運びを手伝っているようですが、アブラヤシ畑に連れてきたのはその中でも有望株のゾウムシ、ウィービル(weevil)君。なんでも200万米ドルものお金をかけてマレーシアのアブラヤシ畑に放したんだとか。1982年のことでした。

3_12それ以前は雄花から花粉を集めて乾かして雌花にかけてやってました。雌花が咲いているかどうかを1本1本の木ごとに調べていると大変なことになってしまうので、園内の全部の株に1本残らずかけてまわる。大体3000haくらいが最適規模のアブラヤシ畑で、これがどんなに大変なことか分かりますよね。

「あ、そーか。虫に運ばせればいいんだー」と気付いたのは、ある意味「コロンブスの卵」みたいなもんで、それ以降花粉かけ作業はなくなった上に収量がアップ。「研究者は貴族を称することを許された」と資料にはありました。

TOMが見たアブラヤシの雄花に群がっていた花粉団子を抱えた虫たちはその仲間なのかな?
それともシンガポールに元々いた昆虫?興味が尽きません。

ココから先はTOMの独り言…。Photo_49

プランテーション界にとってはウィービル君の登場はいいことずくめのようですが、生態系にとってはどうなんでしょう?あれだけの広大なアブラヤシ畑にウィービル君もともとの東南アジアの生態系と無関係でいられるはずはありません。

自然界は植物も動物も昆虫も、微生物達さえもお互いに影響を与え合って、それぞれの生きる場所(ニッチ niche )を見つけて暮らしています。その中に新しいものが入ってきても、もともとあったものが消えていっても、バランスは崩れて、思いもかけなかった現象が出てきます。新しい環境に合わせて進化する生物も出てきます。

2_25 かつて地球に酸素がほとんどなくて二酸化炭素ばかりがいっぱいだった頃にシアノバクテリアという光合成をする微生物が誕生しました。ありあまる二酸化炭素を利用するのが有利だったからです。
こう考えると、マレーシアとかで、ありあまるほど豊かなアブラヤシを利用する生物が出てくるのは当然の流れですよね。
今、東南アジアのアブラヤシプランテーションは他の商品作物と比べると目立った病虫害は少ないようですが、(それでも農薬は使われています。この話は次の機会に…)これから先も同じと言うわけにはいかないのが自然界の流れの常

巨大なアブラヤシプランテーションによって新たに発生した環境(アブラヤシ1種類がたくさんある)に対応した生態系はどんなものになるんでしょうか?

もしそれがアブラヤシの生産に逆行するものだった場合、虫や病気を皆殺しにするために大量の農薬を撒くのでしょうか?

アブラヤシプランテーションの脇にわずかに残ったスカウとかの熱帯雨林や、その中を流れる川とかにそれらは流れ込んでどんな影響が出るのでしょうか?先日の旅行で出会ったテングザルもオランウータンもボルネオゾウも汚染された水や木の葉を食べて、どうなってしまうんでしょうか?

やみくもにプランテーション反対を唱えるつもりはないのですが、考えれば考えるほどTOMは寒気を感じてしまいます。土着の自然の動植物たちと共存しながら、持続可能な農業をして、みんなが幸せになる方法はないのかなぁ。

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2006年8月30日 (水)

炎の美女

Carphalea kirondron

3_11

1_14アカネ科 Rubiaceae

原産地: マダガスカル

Common name: Flaming Beauty, フレイミングビューティー

最近よく公園や街路樹に植えられているのがこの子。遠目で見ると、赤いサンタンカか何かが咲いているようですが、正体は違っていました。

近くで見たのが下の写真。ポインセチアみたいに、赤いのは花ではなくて、葉の変化したもの。その中に白い小さな本物のお花が咲いていました。直径5mmくらい。うーーん。かわいい…。

資料:「1001 Garden Plants in Singapore」P83

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2_23

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2006年8月29日 (火)

スネークウィード

Stachytarpheta indica

06051821sシンガポールのちょっと放置された場所で出会う雑草です。

クマツヅラ科 Verbenaceae

原産地:南アメリカ

Common name: Common Snakeweed,スネークウィード

左の写真のように花序が長いの。ひょろりーんと伸びでヘビのようだから、「ヘビの雑草」なんて名前が付いているんでしょうか?

お花1つ1つの直径は6mmくらいで小さくて、下から順番に咲いていきます。

決して派手ではないけど、かわいいお花です。

株は全体で1mくらいの高さにまで育ちます。

Photo_48 06051822s 06051823s

2_22

資料:「A Guide to the Wildflowers of Sinapore」P88

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2006年8月28日 (月)

アブラヤシの雄花発見

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Elaeis guineensis

アブラヤシの花については色々調べても写真が発見できなくて、ちょっとフラストレーションがたまっていました。

いったいどんなお花を咲かせているんだろう?あまりにもよく見るヤシだけに、ヤシファンとしてはどうしても見たい!
普通のアブラヤシは背が高くてお花が咲いているところなんか見られないし、背が低いアブラヤシをたまーに見つけても、例のカスカスの雄花の残骸(左の写真のようなものです)しか見ることができなくて、「うー、アブラヤシのお花見たいよー!」と叫び続けていたTOMを友人達はきっと呆れ顔で眺めていたことでしょう。

1_13

ふっふっふ。ついに!発見したよー!

昨日、日本からの里帰り旅行(本帰国した人が遊びに来ることをこう言う…)の友人とフォートカニングパークに行ったときに、低いヤシを発見。いつものごとく「お花~!」と探したら…あった!

でもヤシは斜面の下。TOMは予定外の公園散策だったので生足にヒールのサンダル。
う…。どうしよう…。この足で下りていったらくじくかも…。
でもこのチャンスを逃したら、次のチャンスはいつやってくるか分からない…。

雄花の花序の周りには遠めに見ても、虫がいっぱい群れています。
絶対に、今、咲いている最中だ。
見たい!絶対に見たい!

そーっと下りればきっと大丈夫。よいしょ…。

ってことでの戦果が今日の写真でございます。

2_20

上の雄花の花序のアップが上の写真です。肉眼で見てもよく分からないんだけど、写真で撮ったらこんなんでした。1つのお花の直径は数ミリというところだと思います。

Photo_46花びらとか無くて、オシベだけがあるみたい。花を1つだけ取ろうとしても取れません。オシベが引きちぎれてくるだけ…。

花を取ろうと花序に触るたびに花粉がふわーっと飛び散ります。すごい量。

左の写真はちぎれたオシベ。

つんと鼻をつくような香りが漂っていました。この香りに虫はひきつけられて集まってくるのかな?甘い香りではなくて、悪い香りではなくいい香りなんだけど、ちょっと表現ができない香りでした。男性用の香水みたいな香り…って抽象的過ぎるか…。(すまん!)

たくさんの虫が周りをぶんぶん飛んでいました。小さめのハエみたいなの。ハチなのかな?足元に花粉の塊みたいなのをつけていました。下の写真なんだけどわかる?虫の長さは3~5mmってところだったと思います。

3_10

アブラヤシは雄花と雌花が別の花序に咲きます。1つの株の中で同時に両方の花が咲くことはないそうです。だからこうやって花粉を虫が別の株へと運んでいって受粉の手伝いをするんですね。

本によるとアブラヤシの送粉は風と虫の両方で行われるそうです。

もちょっと書きたいけど、今日は時間切れなので、また明日!

アブラヤシの説明はこちらです。見てね!

アブラヤシの畑をボルネオ島で見てきたよーという記事は こちらです。こちらも是非見てね。

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2006年8月26日 (土)

カニクイザル

Macaca fascicularis 

マクリッチのローニートレイルを8月24日に歩いていたらカニクイザルに出会いました。

2_19

カニクイザルはシンガポールで一番よく出会うおサルさんで、ニホンザルの仲間です。顔や全体の印象もよく似ていますが、しっぽがカニクイザルのほうが長いそうです

マレーヒヨケザルは出会えたらラッキーって感じですが、カニクイザルは好むと好まざるにかかわらず、朝とか夕方にマクリッチにお散歩に行くと、まあ、間違いなく出会います。群れで生活する子たちなので、それこそいっぱい。人間が害を与えることはないと思っているのか、人間を見ても逃げません。それどころか、食べ物を持っていたら、すかさず盗ってやろうと狙ってるので、人間のほうが緊張感を持って歩かないと危険です。小さな子ども相手ならあちらから威嚇してきます。うちの子どもは小さい時は狙われて半泣きになったこともありました。

東南アジアには広く分布するサルで、先日行ったボルネオでもテングザルと一緒にたくさんいました。果実や種子、若い葉、昆虫など何でも食べ、10~20頭の群れで生活し、1日中低い木の茂みで過ごすサルなのだそうです。(1日中木の上でしか過ごさないオランウータンなどとは対照的ですね)

何でカニクイザルって言うんだろう?と思っていましたが、安間氏の本にその答えが…。

カニクイザルには「タコの足のように張り出した気根にこし掛け、長い尾でカニを釣って食べる」という話があるそうです。「確かに川沿いに住んでいるし、よく水辺に下り、カニも食べているようだが、カニをしっぽで釣って食べる場面にはお目にかかったことがないし、あくまでも「お話」であってそんなことはしないと断言できる」と安間氏は書いています。でもこの「お話」を専門家でさえも否定しないと言うのだから笑えます。

1_12

話を元に戻します。

先日会った、カニクイザルたちはローニートレイルに座り込み、カリカリと音をさせながら一生懸命に何かを食べていました。道の上を探るようにしながら、何かを拾って食べています。

何だろう?と思って近寄ってみました。

2mmくらいの小さい黒い粒がいっぱい落ちていました。それを1粒1粒拾って食べているのです。ポリポリカリカリ。
確認はできなかったけど、マカランガの実の殻がいっぱい周りに落ちていたので、その実かもしれません。

手元の資料では見つけられなかったけど、前にブキティマのビジターセンターに展示されていたボードにカニクイザルは何でも食べる。実からお花までじつに何十種類もの食べ物を食べていて、森の種子を運ぶのに大きな役割を果たしている。…と書いてあったような記憶があります。

イチジクのように見た目に美味しそうなものを食べているというイメージがあったのですが、こんな小さなものを大事そうに1粒1粒食べている姿を今回見て、その意味を理解したような気がしました。
イメージとしては、部屋中にごまをばら撒いてしまって、でもそれしか食べるものがないので、1粒1粒大切に拾って食べているというイメージ。さぁ、想像してごらん!

動物園にできること」という本があるのですが、従来型の動物園で飼われている動物の多くはストレスを抱えていて、そのために自然状態では見られない異常な行動をしたりすると書いてありました。シロクマとかが檻の中を行ったり来たりひたすらし続ける姿は私達にはおなじみの風景ですが、あれはストレスによる行動だったんです。そういったストレス解消のためにアメリカの動物園では色々な試みをしていて、その中に餌を1日のうちで決まった時間に必ず与えるのではなく、1日に何回かそれも不規則な形で例えば、展示の中に巧妙に隠して何箇所にも置くとか、今回カニクイザルが食べていたような小さなものを展示の中にばら撒くとか、そんな形で工夫して与えると動物園の動物も餌を探すのに時間や体や頭を使うためか、ストレス行動が減るんだ…と書いてありました。(この表現はものすごく要約した表現なので、鵜呑みにせず、詳しいことを知りたい方は この本を直接読んで正しい情報を持ってくださいね。こういうことしか書いていない本だと思われると困ります。現代の人間必読と言ってもいいんじゃないかと思う良書。)

自然の中で動物達は餌探しに多くの時間を費やします。それがすごく大切です。その過程の中で、多くの種子を遠くに運び、森の生態系が維持されています

3_9ブキティマには「サルに餌をあげたら1万ドルの罰金」という看板があります。
サルはかわいいのでついつい餌をあげたくなりますが、ぐっと我慢。
かつてシンガポール植物園にもサルがいましたが、人間が餌をやっているうちに、こんどは人間を襲って餌を取るようになったので、駆除されたという歴史もあります。餌をあげるのは人間のワガママです。被害を受けるのは森とサルたち。忘れないでね!

左の写真はまだよちよち歩きの赤ちゃん。お兄ちゃんたちの後についていこうとお母さんから離れてヨタヨタしてるところ。この直後にお母さんに叱られて連れ戻されました。(笑)

4_5

ローニートレイルで見たサル達。何であんなところであんなことをやっていたんだろうと家に帰ってから思い起こしてみました。

トレイルの上から直接落ちてきた黒い粒もたしかにあったようですが、森の中から持ってきたらしいちょっと腐葉土化したような葉っぱの固まりみたいなのを振って、そこから黒い粒々を落として食べているように見えたからです
もしかしたら森の中は落ち葉がいっぱいあって、黒い粒々は森の中では見つけ難いのかもしれません。トレイルのように土だけど舗装されたように固まった上だと、黒い粒々は私達人間でもすぐに見つけられます。見つけやすくて食べやすいから、森の中からわざわざ引っ張り出していたのかも…と思い到ったら、サルの賢さに感心してしまいました。

Common name: Long-tailed Macaque 、カニクイザル 、オナガザル
原産地: ミャンマー~タイ、フィリピン、スマトラ、ジャワ、バリ周辺の島々

参考資料:「ボルネオ島 アニマル・ウォッチングガイド」 安間繁樹 文一総合出版 P112

      「動物園にできること」川端裕人 P88

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2006年8月25日 (金)

マクリッチでキノコ3種

眠い…。写真のアップでご勘弁。

1_11

昨日はマクリッチのローニートレイルを色々調べながら歩いていました。ただいまマクリッチのお散歩マップを作ろうと頑張ってます。

マクリッチは森なのでキノコがいっぱいあります。はっきり言って、全然わかりません。

なので、写真だけ適宜アップです。キノコだけ並べて見てみてもかわいいよねー。

この子は手すりからポコッとはえていました。見た目にはきれいに見える手すりでしたが、中に菌糸が入って分解が進んでしまっているようです。

傘の直径5cmくらい。

2_18

この子は地面からはえてました。まるでヨーロッパの物語に出てきそうな形ですね。表面の模様がきれいです。

直径4cmくらい。

下のは朽ちて横たわっている木からでていたもの。このタイプはよく見かけます。

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2006年8月24日 (木)

山丹花の性転換

Ixora sp.

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サンタンカ夏の鉢花として子どもの頃からよく見てきたんだけど、熱帯の街路樹にこんなにも使われているとは知らなかったよー。

最初は「サツキ??」なんて思ったりもしたけど、きれいに刈り込まれて、まるで日本のサツキかオオムラサキツツジかのように街路樹の下とかに使われている潅木の正体は、みんなサンタンカでした。

2_14

男と女の話を2回続けてきたところで(1回め 2回め)、その流れでこのお花です。

多くのお花は両性花を咲かせます。1つのお花にメシベとオシベの両方が付くんです。だけどこの両方が一緒に成熟すると、よほど運がよくないと、自分の花粉で受精完了してしまいます。(自家受粉という)

これは植物としては避けたいんだな…。(避けたい理由は こちらをお読みくださいね

サンタンカのお花をよく見たことある?1つの花はこんな順番で咲いとります。

まずはオシベが成熟して花粉が出ます。真ん中に出ている突起はメシベ。でもまだ成熟していないので硬く閉じています。

4_4

オシベの葯が花粉を出し終わってしなびてきました。メシベが成熟してきて、先が分かれてきているのがわかりますか?

2_17

とうとうオシベが取れてしまいました。オシベが付いていた痕だけが残っています。

メシベがういういしいのう…。 (スケベ親父か?)

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メシベが完全に成熟して開いてきました。

6_2

5_5

あーあ、受精を終えてメシベもとうとう落っこちてしまいました。子房の中では次世代の遺伝子を持ったタネが育っています。だからこのお花はただいま、妊娠中。

人寄せパンダならぬ、虫寄せ花びらは役目を終えたはずなんだけど、周りのお花はまだまだ恋の真っ最中。だから、お助けモードになってまだまだ赤い花びらを付けています。

下の写真を見て!

色々な段階のお花が一緒に咲いているでしょ。男の子のお花、女の子のお花。そして妊娠中のお花。

こんな風にオシベとメシベが同時に成熟しなければ、同じお花の中でのまちがいも起きないでしょ。隣のお花の花粉が付いてしまうこともあるかもしれないけど、他の株の花粉が付く可能性もぐーーーーんと高まります。なーんて賢いんでしょ。スゴイ!!

こういう風に両性花の中でメシベとオシベの成熟する時期をずらして同じ花の中で受粉や受精が起こらないようにすることを雌雄異熟」と言います。サンタンカのようにオシベが先に熟すタイプ雄性先熟と言います。逆にメシベが先に熟すタイプの花もあります。日本でおなじみのキキョウやユキノシタ、ホウセンカなどもオシベが先に熟すタイプなのだそうです。

Photo_45

夏によく見るサンタンカは、じつはこんなドラマを私達の目の前で繰り広げていたのでした。知ってた??

アカネ科 Rubiaceae

男と女のシリーズ、1回め 2回め)もついでに読んでね。

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2006年8月23日 (水)

ビンロウジュのお花

Areca catechu

Photo_42

ボルネオで泊まったコテージで、甘いジャスミンのような香りがふわふわっとしてきました。「お花?何の?」と思って正体を探ったらヤシでした。それも前にも紹介したことがある、シンガポールでもおなじみのビンロウジュ

…だと思います。もし違っていたら指摘して~~!!

ビンロウジュは前にも紹介しているので、先にコチラを見ていただいて戻ってきてあらためてお花を見てくださいね。

ヤシ科 Arecaceae ( 単子葉植物 ヤシ亜綱 ヤシ目)

原産地: マレー半島原産???(実を使うために東南アジア一帯で栽培されているけれど、wild plantは知られていないと書いてありました)

Common Name: Betel Nut Palm, Pinang, Areca Palm, ビンロウジュ

普段シンガポールでビンロウジュを見るときは、大抵は背が高くて、ずっと上の方でお花が咲いていたり、実がなっていたりして、細かく見たことが無かったのですが、泊まったコテージはレストランまでの通路がみんな高さ3mくらいのボードウォークになっていたので、ちょうど目の前に花序があって、そのせいで香りが漂ってきていたのでした。

Photo_43ヤシのお花がよい香りがするなんて、そんなことは想像もしたことがなかったので、ジャスミンのような強い甘い香りにビックリ

お花と言えば…小さいの!長さ2~3mmってところ。こんなに小さいのに香りで自己主張。すごいね。小さな蜂みたいなのや、1cmやそこらの小さな甲虫が群がっていました。

上の写真は花序全体の様子、下の写真は拡大したものです。白いお花が米粒みたいに咲いています。

2_13よく見てみると、米粒みたいな白いお花には花粉がありました。どれどれ。

ん?

メシベがないみたいだぞ?もしかしてオバナ、メバナが別々?

よく見ると花序の根元に近いところに変な塊があります。

1_9 

もしかして、これはココナッツの花のパターンと同じかな?

根元の塊を解体。

1_10

あったー。子房とメシベの柱頭らしき場所。やっぱりココナッツの花パターンだー。 2_15根元の変な塊が雌花で、雄花が咲いた後に咲くんだねー。たぶん。

Photo_44

ちなみに、花序ですが、 葉が落ちたところの根元から左のような剣みたいな塊が出てきます。その中に花序がきれいに入っています。まるで蓋が取れるかのようにカバーが取れて、花序が広がります。カバーの取れ方の写真は今まで撮れなかったのでパチリ。何かかわいくない?(お前だけだって…(^_^;)

2_16

近くの同じ木で実が大きくなっていました。長さが4cmもあるかなというくらい。これが色づくようです。雄花の咲いていた花序が残っている様子がわかりますね。

ヤシのお花も面白いよ!

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2006年8月22日 (火)

マレーヒヨケザル2

Cynocephalus variegates

Common name : Malayan Colugo , Flying Lemur

復活!昨日の今日なので多少は体力に不安があったものの、予定に組んでいたのでマクリッチに出かけました。ふっふっふーーー!

マクリッチのネイチャートレイルのペタイトレイル出口近くで、手招きするシンガポーリアンのオジサン(全然知らない人だよん)にすぅーっと近寄っていったら、「あれあれ、クリゴだよー」って教えてくれました。やっぱり「よいしょ」って思っても、出かけると良いことがあるんだよねー。

2_12

さーて。

どこにマレーヒヨケザルちゃん、いるでしょう?

真ん中あたりの木のところにいます。昼間にはじーっとして目立たないようにしているので、言われなかったらこんなに近くにいたのに気がつかないで通り過ぎるところでした。体毛に微妙なグラデーションがついているので、木の肌に溶け合って見えないんです。

前にも何回かマレーヒヨケザルちゃんを紹介しています。こちらがそうです。説明はコチラを見てくださいね。

下がアップ。まん丸の目が愛らしいでしょう?涙モノでしょうぉぉぉー。

Photo_41

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2006年8月21日 (月)

ごめんなさい!

すみません。夏風邪(1年中夏のシンガポールでこう言っていいのかわからんが)をひいて寝こんどりました。明日から頑張るのでよろしくお願いします。ペコリ。

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2006年8月18日 (金)

男と女の話-2

できれば先に「男と女の話」をご覧下さい。

植物にも男と女があります。
ただし、人間のように個体そのものが「性」を持つこともあれば、お花が「性」を持っていたり、はたまたオシベやメシベという形で1つのお花の中で別の「性」があったり、本当に色々!

Photo_38 そもそも。
「花」って何でしょう?
「人間は太古から花をめでていた、昔々の人間(?)のお墓にも花を供えていた痕跡がある…」なーんて何かのお墓の発掘結果の発表が世間で話題になったこともありましたが、(興味があればコレコレをお読みください)
「じゃ、結局、花ってなんなの?」
という問いに「植物の生殖器」と即座に答える人は、そうは多くないと思います。

Photo_39 そうなんですよ。ちょっと恥ずかしいけれど「植物の生殖器」が花なんです。小学校か中学校でやったでしょ。
お花には「メシベ」と「オシベ」と「花びら」と「ガク」と「子房」があるよ…って。
で、「メシベにオシベの花粉が付くと、子房の中にタネができるよ」…とも勉強したはず。

でもね。
現実にはこの5つ(上の青表示のものね)が全部揃っている花ばっかじゃなくて
雌花の場合は子房とメシベはあるけど、オシベはないし、
雄花の場合はオシベはあるけど、子房とメシベはないし、
ましてや「花びらやガクは無いお花」は山~~のようにいっぱいあります。

2_11 学校の勉強が片手落ちだなって思ってしまうのは、全部揃った基本形(両性花)は勉強するけれど、そうでないものの話はあんまりしない。一方、習った子どものほうは、最近は「実際のものを見る」という体験に乏しいから「植物はみーんな両性の花を咲かせる」と思ったまんま何にも考えずに大人になっちゃうことが多いのです。

でも最初に書いたように、植物は「多様な性」を持っていて、それがすっごく面白いの。
特にお花を咲かせる被子植物の多様さはスゴイ!おまけにそれぞれにドラマがあります。
(突然、性転換しちゃう植物もあるんだよー!!人間の何歩も先を行っちゃってる感じでしょ?)

Photo_40 植物の生殖器が「花」って言ったけど、正確には「オシベとメシベと子房」が生殖器にあたる部分で、 「花びらやガク」といった、人間が花を「花」と認識する部分は生殖活動を行うための「仕掛け」とか「舞台」とかの部分

この仕掛けが、虫や鳥や哺乳類などをも巻き込んでの、「騙しあい合戦」の様相を呈していていちいち笑えるんだよー!!!

で、ついつい「このオシベってどうなってるんだ…?」なんて道の真ん中に座り込んで写真を撮っているところを知人に見られて「タングリンモールの前で怪しい動きをしていたでしょ?」なんて後で言われちゃうんだな…TOMは…(涙!)

で、植物の男と女。
前回、男と女のいる理由は
「多様な遺伝子を持った子孫をいっぱい残すためだー」って書いたんですが、
よく私達が見る「メシベとオシベを1つの花の中に持った両性花は大きな問題を持っている」ということにお気づきの方も多いでしょう。

多様な組み合わせの遺伝子を作り出すためには、「自分の花粉で自分が受精してしまってはなんとも都合が悪い」んだな…。(笑)
近親婚になっちゃうんだよ。

つーことで、進化の最初の段階では両性花だった被子植物は、「性」を多様に変化させて、できるだけ近親婚をしないための工夫を重ねてきたのでした。

例えば、「1つの花の中でメシベとオシベが成熟する時期をずらす」とか、「雌花と雄花を別々に咲かせるようにする」とか、もっと進んで「動物のように雌花しか咲かない個体と雄花しか咲かない個体に分ける」とか。
そしてこれらに風や虫や鳥が加担して花粉は別の個体に運ばれるようになっているわけ。

今までこのブログの中で紹介してきた植物達の多くもこの「近親婚」をしないための工夫をしてきています。

色々な植物達の男と女…(ああ、恥ずかしいわぁ)

ココナッツの場合

ルリダマノキの場合 

スパティフラムの場合 http://tropicalplant.air-nifty.com/top/2006/05/post_9830.html
              http://tropicalplant.air-nifty.com/top/2006/05/post_958d.html

オスモキシロンの場合

でもさぁ。タネを作る目的はそれだけじゃないでしょ?
個体を増やしたり植物体の状態では生きにくい冬や乾季をタネで過ごしてやり過ごすって目的もあるんじゃないの?と思う人もいるでしょ。
その通り。色々頑張ったけど上手く他の個体との結婚ができないときもあります。
そんな場合の保険も植物の多くはかけています。

この話はまた次の機会に…。

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2006年8月17日 (木)

シンガポール植物園正門オープン

久しぶりにシンガポール植物園へ子どものお友達家族と行ってきました。朝、8時にビジターセンターに集合し、カフェレザミで優雅にブレックファースト。気持ち良いですよ。土日の朝ごはんにオススメです。カフェは朝7時半に開店しています。

子ども達は植物よりもたくさんの犬たちに夢中になっていました。

そして。約4年ぶりに正門が開いていました!待ちに待った正門のオープンです。長かったー。

Photo_36

2_10 門のデザインが一新されていて、前のデザインが好きだったのでちょっと残念でした。

この正門の近くに新しい施設もオープンし、駐車場やフードコートなどができました。HDB下のホーカーに比べれば、少しお値段は高めですが、街中のファストフードよりもお安くおいしくご飯を食べることができます。中華のエコノミーライスは2ベジタブル&1ミートで3.5$。お味は良かったですよ。TOMの最近のお気に入りです。

1_8 後の2つは今日の収獲。レインフォレストエリアのキツツキ君と、シンフォニーレイクの赤とんぼちゃん。

植物だけでなく、たくさんの鳥や動物や虫にも出会えるのがシンガポール植物園です。ぜひぜひ、日常のお散歩コースに加えてあげてくださいね。

シンガポール植物園の新しい施設についての昔の記事はこちらです。

http://tropicalplant.air-nifty.com/top/2006/07/post_22a4.html
http://tropicalplant.air-nifty.com/top/2006/07/post_dd89.html

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2006年8月16日 (水)

男と女の話

男と女、どうして性があるんでしょう?
どうして植物は花を咲かせるんでしょう?

答え。
多様な遺伝子を持った子孫をいっぱい残すため…
であります。

Photo_34ただ、種としての個体を増やしたいなら、アメーバみたいに分裂していけばこと足ります。どんどん分裂して増えていけばよいのよ。

でも。
多くの生物はそうしていません。

人間も女は着飾り、男は力を誇示してパートナーを探すでしょ。何でそんな面倒なことをするんでしょ。生きていくためだけなら、必要ないじゃん。植物もオシベとメシベがあったり、雄花と雌花があったり、雄株と雌株があったり、男と女があります。

すごいよね。
人間と植物、こんなに違っているように見えるのに、おんなじなんだよー!!

Photo_35で、男と女、二つの性を作って、双方から半分ずつ遺伝子を出し合って、合わせると遺伝子の新しい組み合わせを持った個体が生まれる。あっちでもこっちでも色んな組み合わせが起きて、どんどん新しい遺伝子を持った個体が生まれてくる。

人間なら頭のいい奴、色白の奴、手先が器用な奴、寒いのが好きな奴、ボーっとしてるのが好きな奴、色んなのがいる。
例えば、明日地球がすごく寒くなったら、「異常なくらいに寒いのが好きな奴」だけが生き残るかもしれない。
例えば、明日宇宙から隕石が降ってきて人類が滅亡するというニュースが流れたら、「頭のいい奴」や「手先が器用な奴」は何とか生き残ろうとあがいた挙句、パニックに巻き込まれて死んでしまい、「ボーっとしているのが好きで、隕石が落ちてくるのも知らなかった奴」だけが生き残るかもしれない。

誰が滅亡して、誰が生き残るかなんて偶然の産物でしかないけど、例えば、明日何かが地球に起こって、人類が滅亡しそうなことになったとしても、何十億人の何十億通りの遺伝子の組み合わせのうち、ほんの10人の10通りの遺伝子が何らかの偶然で滅亡から逃れられる因子を持っていれば、そのほんの10人が生き残って、人類はやり直すことができる。
命はつながっていく。
変化する環境に対応できる遺伝子を持った個体が、ほんの少しでいいから、いれば、ノアの箱舟の話は成立する。

そのために男と女はいて、色々な遺伝子の組み合わせを作るべく、涙モノの努力をしてるわけ。
(そう思うと、私達って…誰か、姿の見えないものに踊らされてるのねーなんて思ってしまうわ…)

均一な性質を持つということは、生物にとっては不利でしかない。例え、見かけ上、それがよい性質のように見えても、均一であればあるほど、何かが起こったときに対応できる柔軟さに欠けて、絶滅してしまう。

造園屋さんの立場から身近な例をあげると。

Kimura3 春にパンジーで花壇を埋め尽くしたとする。
色が多少違っていたとしても、遺伝子的にはさほど変わりの無い均一な個体群。アブラムシ、病気…、やられるときは全部一緒。あっと言うまに全部やられて全滅してしまい、花壇は見るも無残な姿に変身!!!やられないためには予防の農薬をまいたりしないといけない

春に色々な植物で花壇を埋め尽くしたとする。
パンジーはやられるけど、色々な植物全部がアブラムシに弱いわけではないし、病気にかかるわけではないので、パンジーが枯れても花壇全体はきれいなまま…。農薬もまく必要もない。

アナタはどっちがいい?

閑話休題。

今の地球上では、お花を咲かせる植物が植物界の頂点にいて、種類も一番多い。たった1億数千万年前に地球上に登場したお花がどうして成功したか。お花を咲かせて、虫や哺乳類などをうまーくあの手この手で利用して新しい遺伝子の組み合わせの数をを効率よく増やして、シダや裸子植物たちを圧倒してきたからに他ならない。

生物の世界では男と女があることはとっても重要で、多様性は善。その理由は生き残るため。

書いてしまえばたったの一行か二行。
でも考えたことも無かったという人が、あまりに多いのよー。

ちゅうことで。
この話を原則として、動物園の話や熱帯雨林を守ろう…なんて話に発展していく予定です。(いつの話になるかは神のみぞ知る…わはは)

上の写真はサンドボックスツリーの雌花と雄花。

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2006年8月14日 (月)

ココナッツの花2とアレコレ

Cocos nucifera

ココナッツは熱帯の人たちにとって欠かせない植物…ということでいくつか紹介してきたのですが、まちがい発見!ごめんなさい!間違ってるのはこのページです。ココナッツの花

何が違っているかと言うと、ココナッツは雄花が先に咲いて雌花が後から咲くんだそうだ…。

朝日の「植物の世界」P11-122を読んでいたら、「雄花は開花後すぐに落ちて、雌花はその後に開花するため、同一花序内では交配が起こりにくく、他個体との交配が促進される。」と書いてありました。

1_5

「じゃ、あのデカイ、実の赤ちゃんみたいのは何?」
って思ったら、あれが雌花のつぼみなんだって。直径約2cm。雄花が1cmにも満たない感じだから本当に大きいです。

1_7

ボルネオ島のロッジの庭で低いタイプのココヤシが花を付けているのを発見。写真を撮りました。
雌花と雄花の違いがわかるでしょ?
この雌花のつぼみ、先っぽにメシベみたいに出ているところがあるけれど、本当に花びらとか開くんでしょうか?

ヤシのお花って大体は小さくて目立たないけど、これが開いたら、ヤシの花としては破格にデカイよ…。ツバキの花くらいの大きさのヤシの花ってどうよ?見たことないよー!
雌花の咲いているところ…見たいよー!!!

1_6

こちらは雄花の写真。

3つに先が分かれたメシベの痕跡がありますね。

Photo_33

余談ですが、ココヤシは背が高いタイプと低いタイプがあるようです。

S_5
どちらも学名は同じだけど、「どっちかの方が実がよりおいしい」と誰かが言っていたような、ないような…??
おまけに今回写真を載せた花序は全体がオレンジ色をしてるんだよね。前回のは緑色です。全体の形を見ると、どう見てもどちらもココヤシなんだけど、本当は違う種類なんだろうか?この辺のこと、どの手持ちの資料を見ても書いてないのでTOMには不明です。

余談ついでに…「植物の世界」には他にも興味深いことが書いてありました。

ココヤシのように有用な植物って言うのは古くから人間が移住する時に一緒に持って放浪してきたので、原産地がわからないことが多いです。でも「最近の研究ではフィリピンやオーストラリアのクインズランド州に野生状態のココヤシが天然更新しているのが見つか」ったので、「太平洋の西部」には自生していると考えられているそうです。

昔々にココヤシがすごく大切だった理由は、砂糖が取れたり油が取れたり…ということよりも、安全な飲料水が確保できるということにあったとか。前にも書きましたが、若いココヤシの実の中には胚乳液があって、飲むことができます。昔のポリネシアの人々は長い航海の飲料水としてココヤシジュースを利用していて、彼らの海への冒険と共にココヤシも太平洋からインド洋まで分布が広がったのだろうとも「植物の世界」には書いてありました。水をただ積んだだけだと腐っちゃうもんね。知恵だわな~~。

蒸気船も何もない時代に、小さな手作りの船でココヤシを積んで海へ出て行ったポリネシアの人の日に焼けた顔を想像してなんだか愉快な気分になってしまったTOMでした。

もう一つ興味深かったのがイースター島の話。
イースター島と言えば、謎のモアイ象で有名なあの島です。
イースター島にはかつてココヤシに近い種類のPaschalococos despertaが生育していましたが、約700年前に絶滅してしまいました。今のイースター島は不毛の荒地の島ですが、人がここにたどり着くまでは亜熱帯林の島だったそうです。森の消滅の原因は人口の増加による森の伐採。あれこれTOMが書くより、色々書いてあるページがいっぱいあるので、興味があればこちらのページも見てみてね。

http://www.yomiuri.co.jp/nie/nature/01/01.htm

http://japan.patagonia.com/japan/enviro/reports/2005/mirror.shtml

資料:「朝日新聞社 植物の世界」 P11-122

ココナッツシリーズ ココナッツの花 ココナッツの砂糖 ココナッツの実 の回も見てね!

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2006年8月12日 (土)

シンガポールに牛出現!

最近、こんながシンガポールの あちこちに出現しています。

シンガポールって芝生の広場が多いんです。公園だけじゃなくて公営の団地(HDB)の周りとか、オーチャードロードとか、駅の前とか色々なところに芝生広場があって、時にはテントが建てられてショッピングモールになったり、にわか遊園地になったり…と、色々な目的の場所に変身する場所でもあります。

こういう多目的に使える緑のオープンスペースがたくさんあることはシンガポールの町並みの魅力のひとつにもなっています。

PRのために色々なオブジェが並ぶことも多いのですが、目立つ看板が立つわけでもなく、いったい何なんだろう?と悩むこともしばしば。

今回も赤と白の牛を見て、何の宣伝だろう?って思ってました。

ナショナルデーの記事を見た熱帯樹さんが下のようなメールをくださって、すっきり問題解決。TOMと同じように悩んでいる人も多いだろうと思って、UPです。

Nettaizyup1010154s

***********

今年は紅白の牛が面白いですね。

Moove  Salutes  Singapore !

牛のモーMoo前進Moveをひっかけて
シンガポール万歳といったメッセージです。

こんな看板はいつ撤去するのでしょうか?
やっぱり国旗の撤去時期と同じでしょうね。

***************

知らなかったぁ。ナショナルデーがらみのPRだったんですね。国旗と同じ赤と白…というところがいいですね!

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フィリピンの崑崙花

Mussaenda philippica cv.

06052723sシンガポールの街路樹の下でブッシュになっていて、きれいな色を町並みにくれているのが、この子。

丈夫で重宝なのか、街路樹だけでなくて公園とか、本当にあちこちで使われているので、大抵の人は見たことがあるよね。

ポインセチアと同じように本当の花は小さくて、周りのガクの部分が大きくて色が付いていて、長い間、お花が咲いているように見えます。

TOMが「シンガポールの街路樹にポインセチアがない!」と気がついたのはこのムッサエンダちゃんのおかげでした。姿形はポインセチアとあまり変わらないはずのムッサエンダがこんなにあるのに、どうしてポインセチアがないの???この疑問についてアレコレ悩んだページはコチラです。ついでに見てみてね。

020920_030s2

020920_031s

下記の資料には「フィリッピカは高さ1~3mになり、花弁状のガク片は白色卵形で大きい。結実はほとんどしないが、花粉親として有用で、エリトロフィラとの交雑などにより多くの園芸品種が作出されている。」と書かれていました。

色々見てみたけど、今回こちらに写真を載せたムッサエンダちゃんたちは、この元々は白くて色が変わっているガクも一重のフィリッピカちゃんと、先日紹介した真っ赤なガクがきれいなエリトロフィラちゃんとの交配で作り出された園芸品種のようです。あんまりたくさん見かけるので、このタイプが原種なのかと思っていましたけど、違ったんですね。

020920_032s

フィリッピカちゃんについて調べていたら、こちらのホームページに面白いことが書いてありました。

ムッサエンダ・フィリッピカ(Mussaenda philippica) の突然変異種の一つ、ドナ・オーロラ(Dona Aurora)は、70年くらい前にフィリピンのマキリング山で発見されたそうです。こちらのページに載っていた写真はガクは白くて、色つきのガクはまばらな、コンロンカにとてもよく似たものでした。園芸品種、ロセア(Rosea)は「ドナ・オーロラとアフリカ原産のヒゴロモコンロンカ (M. erythrophylla)と のF1に、もう一度ヒゴロモコンロンカを交配して作られたという」と書いてありました。

ムッサエンダ(コンロンカ)属エリトロフィラフィリッピカ(今日の御題)とパルウィフロラがよく知られています。パルウィフロラは日本では鉢花としてよく見ていたけど、シンガポールの街中では見かけません。派手じゃないからだろうなー(笑)。なので下のみのりさんのページに行って見てみてくださいね。

エリトロフィラ:ヒゴロモコンロンカ

パルウィフロラ:コンロンカ(みのりさんのホームページ) ハンカチノキとも呼ばれているらしいよー。

06052717s

06052720s

葉っぱはこんな感じ。葉脈のところに毛が生えていました。これがごわごわの原因だったんですね…。Rimg0177s

こちらはグレーイーグルス病院の前で見かけたムッサエンダちゃん。白いけれどフィリッピカの原種とも違うようです。白にオレンジのお花が清楚できれいでした。

アカネ科 Rubiaceae

Rimg0176s

原産地:フィリッピカはフィリピン、ニューギニア 街中にあるのはこれの園芸種が多い

Common name: ムッサエンダ、ハンカチノキ(本当は違う木の名前だそう…。詳しくは下記のみのりさんのページで。)

資料:「観葉植物」山と渓谷社 P382

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2006年8月11日 (金)

祝10位!

みんなのおかげで人気ブログランキングのランキングがはじめて10位の快挙!です。ありがとう!

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ってのがあるでしょ。これをクリックすることで投票されるんだって。1回に何回もやっても駄目で、1つのパソコンから1日1回だけ投票できて、1週間の得票数でランキングが上がったり下がったりします。

何位でもいいんだけど、ここの上位に表示されると、色々な人の目に触れる機会も増えるでしょ?熱帯植物とか熱帯の自然について、もっとたくさんの人に知ってもらいたいなと思って書いているので、たくさんの人に読んでもらえれば読んでもらえるほど、「書こう!」という元気がわいてくるんです。ここのところ(表には数字を表示してないけど…と言うかどうしたらそんなことができるのか分からないのだった…)毎日のアクセス数も200を越える毎日が続いていて、本当に皆さんに感謝。なので、お礼を書いちゃいました。

ありがとうございました。これからもよろしくお願いします!

PCをぼーと眺めていたらこんな記事がありました。怒られるといけないので、ちょっとだけ文章を変えています。

Photo_32 京都市の宅街で体長約70センチの大トカゲが見つかり、市の職員たちが下水道に逃げ込んだトカゲを3日かけて捜索、10日午後、捕獲。京都市動物園によると、これは東南アジアなどに生息するミズオオトカゲ。成長すると体長2メートル、人をかむこともあるという。京都市上下水道局によると、住民からの連絡を受けた市職員が8日、下水道内でトカゲを発見したが逃げたという。
http://newsflash.nifty.com/news/tt/tt__kyodo_20060810tt011.htm

S_4 ミズオオトカゲはシンガポールや東南アジアにはよくいるトカゲちゃん。臆病な子で、ちょっとでも脅かすと目にもとまらぬ速さで逃げていきます。でも脅かさなければ、のほほーんと人を襲うわけではなく、本当にのほほーんとしている優しいトカゲちゃん。大きいんだけどね。でも大きいだけなんだよー。

噛まれた奴は近づきすぎてトカゲの方が「襲われる~!こわいよー!」って思ったから、噛まれたんじゃないの?「窮鼠猫を噛む」って言うじゃん。職員に追われたミズオオトカゲちゃんは、きっとすーごく怖かったと思います。かわいそうに…。

日本の生態系に元々いないものを放すのはよくないこと。だから捕獲するのは当然としても、イタズラに「危険視」するのはやだな。だからやたらと清潔好きになっちゃうんだよ…。

シンガポールのオオトカゲちゃん2種類のページを見ておいてください。かわいいよ!

山のトカゲ と 水辺のトカゲ

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2006年8月10日 (木)

緋衣崑崙花

Mussaenda erythrophylla

06060969s

ボルネオ島のセピロクジャングルリゾートというロッジのお庭できれいにムッサエンダが咲いていたので今日はムッサエンダちゃん。

020920_030sシンガポールの公園でもよく見かけます。赤が本当にきれいです。TOMはムッサエンダと言えば、シンガポールの街路樹下のシュラブに、やたらめったら使われているムッサエンダだと思っていたのだけど(左の写真の子ね…)、調べてみたら、この子もムッサエンダのお仲間でした。赤がすごく鮮やかできれいだから印象が違ったんだよね。

ムッサエンダの仲間はアフリカ、インドなどの熱帯に約200種類もあるんだって。

06060968s

本当の花はポインセチアと同じように小さくて、目立っているのはガクの1枚なんだって。
この目立っているのがキレイで、花つきが良いので(こういう表現でいいのだろうか?)
色合いを出したいところでよく使われています。

060729037s

060730007s2今回発見したことは、このお花、夜は閉じるんだよーー!
昼に見たときは全開だったのが、朝に見たら開きかけていて、その様子がすっごく可愛かったです。

コンロンカというのは日本にいたときから知っていたんだけど、崑崙山脈(中国の)のコンロンだということは今回はじめて知りました。コンロンカの仲間の中に、ガクが赤ではなくて白いものがあるんだけど、この白をコンロン山脈の白い雪に見立てているんだって。う…、なんてロウマンティックな…。誰?こんなネーミングをしたのは…??「赤い旗のブッシュ(Red flag bush)」なんかよりも何倍も素敵じゃないのー!!

アカネ科 Rubiaceae
原産地:アフリカ(コンゴ、ザイールなど)
Common name: ヒゴロモコンロンカ 、サマーポインセチア、ムッサエンダ、 Red flag bush

資料:「観葉植物」山と渓谷社 P382

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2006年8月 9日 (水)

ナショナルデー

Photo_30本日8月9日は何の日でしょう?
日本では長崎への原爆投下日ですが、シンガポールでは建国記念日、ナショナルデーで、国民の休日です。
1965年8月9日にシンガポールは独立をしました。

シンガポールへ来た最初の年(4年前)は見るもの聞くものみんな珍しくて、ナショナルデーが近づくとあちこちに掲げられていたシンガポールの国旗に「おおー」と思ったものでしたが、さすがに慣れてしまって、ここのところは感動も薄くなってます。

とかなんとか言いながら「やっぱ見ないとね…」と、夕方6時過ぎからテレビの前に座って「ナショナルデーのパレード」を見ていました。なので、今日の原稿は書けませんでした。ゴメン。

4年前に友人に送ったメールがあったので抜粋です。

********************

8月9日。我が家ではせっかくナショナルデーなのだから、雰囲気だけでも 味わおうと、ナショナルデーの式典が行われるナショナルスタジアムの周辺に散歩に出かけました。日本と徹底的に違っていたのは、警備に当たっていたのが 迷彩服を着た、軍隊の人たちだということ。迷彩服のお兄さんたちに小学生の子どもはすっかり震え上がり、(日本ではあまり見かけませんものね)「チケット持っていないんだから帰ろうよー」 と駄々をこねていました。(笑)

スタジアムにはもちろん入れないので、外をうろうろしていたら、大きなモニターが据え付けられた、出店などが色々出ている場所に出ました。このモニターではテレビでやっているパレードの生中継を映していました。モニターでパレードの様子を見ながら出店で買い物をしたり、食べ物を買ったり…日本の縁日みたいで面白かったです。

Photo_31 どんな式典だったかと言うと、一言でいえば、オリンピックの開会式とか閉会式みたいな感じのもの。
スタジアムいっぱいに次から次へと 様々な趣向を凝らしたパフォーマンスが繰り広げられ、その中で首相のあいさつや軍隊のパレード、戦闘機が飛んだり、空砲の発射などもあっ て、 「シンガポールはこんなに素晴らしい国、みんなでこの国を 守り発展させていこう!!」という国威高揚のメッセージを 国民に送るための式典となっていました。

日本ではこういうもの見ないよね。あからさまな「国が国が…」という行為はあえて避けられているような気がするし、ましてや軍隊がこういった華やかな場所で、英雄のように扱われるということはありません。
都会的な生活の中で、日本とほとんど変わらないように錯覚してしまいがちなシンガポールの国についてあらためて思いをめぐらした日でありました。 (2002年に書いたお便りより)

**********************

2_9わはは。次の年からはパレードは、家で賢くビール片手にテレビで見ていますのことよ。

パレードの様子は今年も大差はありませんでした。でもシンガポールへの親近感が増しているので、ちょっと感動したかも…。

4年たって思うのは、これだけイスラム教の国々に囲まれている中で中華系、マレー系、インド系が、民族は関係なくみんなシンガポーリアンだと言い切って平和に暮らしていることはスゴイことだなとしみじみ感じています。(一党独裁に色々な意見があることはわかってるけど)

4月に子どもが学生交換プログラムでシンガポールの地元の学校に3日間通ったのですが「毎朝集会があって、国家を歌い、その後に今日のパレードの最後に全員で唱えていた誓いの言葉みたいなのを言うんだよ」と教えてくれました。
今日はぼーと見ていたので何を言っていたのかよく分かっていないのですが、「民族、宗教、言葉は関係なくみんなシンガポールの人だ」みたいなことを言っていたと思います。こういうことの積み重ねで今の国を作ってきたのだろうなあ…。

パレードを見ながら子どもが「建国の立役者(リークァンユーのこと)がこの場にいることがすごいよね」と一言。確かに、日本の建国記念日は神武天皇が即位した日だもんね。(何千年前の話??)たった41歳の国シンガポール。これからも幸あれと願いつつ、今日は寝ます…。

4年前の地元の新聞に掲載された「国旗の掲げ方の注意事項」。
・国旗を掲げる期間は8月1日から31日まで。
・9月の第1週目には、国旗をあしらった色々な飾りを撤去しないといけない。
・国旗を洗濯したときは衣類とは分けて室内に干さないといけない。
・他の洗濯物と一緒に外に干すのは厳禁。
・ 古くなった国旗を捨てるときは黒いゴミ袋に入れて捨てるか、
・コミュニティーセンターなどの職員に直接手渡すこと…などなど。

今も同じかどうか知りません…。

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2006年8月 8日 (火)

セピロクの森でのナイトウォーク

S_3 昨日紹介したオランウータンのリハビリテーションセンターカビリ・セピロク保存林の中にあります。カビリとセピロクというのはこの保存林の中を流れている川の名前なんだそうです。

この森は、1931年、第二次世界大戦以前にサバ州で一番最初に保存林に指定されましたが、この時は熱帯雨林を守るための指定ではなく、「熱帯林経営技術の開発と木材の生産」を目的としたものでした。しかし1957年の政策変更によって「純粋な保護と研究」が目的となり、現在では、「空から見ると原生林との区別がつかない」くらいの森に回復しているそうです。

ここまで森が回復できたのは、
①伐採時代から巨大な商業木だけを切るという選択的な伐採が行われてきたこと
②1957年の伐採終了後に目立った盗伐がなされていないこと
からで、比較的よい自然林が残った上に、50年近く天然更新をしてきた結果が今の森なのだそう

1960年以降、実際にボルネオ島のあちこちで行われてきた重機を使っての伐採や、プランテーションのための大規模な伐採の後には、こんな早い形での回復はありえません。ボルネオ島の中ではある意味とても運のよい森と言えるかもしれません。

現在の保護区は低地混交フタバガキ林とマングローブで構成され、広さは43平方kmです。

2_8

リハビリテーションセンターでオランウータンの餌場を見学した後、TOMたちは特別にロッジのスタッフにお願いして、夕方6時からこの保存林のナイトウォークに出かけました。料金は1人1時間25RM(約30円/RM)で2時間お願いしたので、親子で100RM。(友人親子と出かけていたので4人とガイドさん1人の計5人で歩きました)

リハビリテーションセンターは16時には閉まってしまうのですが、入り口の門には警備員さんがいます。ガイドさんは門の前で待っていてくれて、許可をもらって中へ入れてもらいました。

Photo_26

子どもが「Flying squirrel(ムササビ)が見たい!」とガイドさんにリクエストをしたせいか、まずは昼間にオランウータンを見た餌場の立ち見台に行き、待機。

夜の森は昼の森とは全然違う雰囲気で、聞こえてくる音も時間と共に変わっていきます。特に昼間とは違うセミが何種類か鳴き始めて、薄明かりの中、浮き上がる木々の姿は本当に幻想的で、何も動物を見れなくてもこの中にいられただけでも満足…と思えるくらいでした。
サイチョウ(hornbill)がウホウホっと鳴きながら飛んでいくのを見たりしながらどのくらい待ったでしょうか?

ガイドさんの手招きと指示で、1本の高い木に注目したTOMたちは、穴から顔を出したムササビの目が懐中電灯の光でキラリンと光ったのを見ることができました。

間もなく、ムササビは木をのぼって近所の別の木へ滑空!おおー、テレビじゃないのをはじめて見たよー!!感動!!
うちの子はけっこう目がよくて、あちこちでムササビが木に登って行くのを発見してくれて何回も滑空する様子を見ることができて、TOMたちはみんな大満足

上の写真の木の上の方にかすかに影があるのが分かりますか?

Photo_28

そうこうしているうちに辺りは真っ暗になり、いよいよ本当のナイトウォークに歩き出しました。

木道をしばらく歩いた後、いよいよ土のトレイルに入ります。雨の後だったのか、けっこう道がジュクジュクしていて、泥にはまったりしながら歩きました。

歩く時にはリーチソックスが必要と言われていたので、事前にシンガポール植物園で購入してきたリーチソックスをTOMたちは履いていました。(TOMにはmarikoさんが貸してくれた…)

リーチソックスってなんだか知ってますか?
ヒル避け用の大きな靴下のことです。

シンガポールでヒルにお目にかかることはないんだけど、マレーシアの森ではよくお目にかかるのでマレーシアに出かけるときには必須アイテム。おしゃれじゃないので、うちの子はいやがっていたけど、無理やり履かせ、長袖のシャツを持たせて出かけていました。

Photo_27本当はTシャツのすそはちゃんとズボンの中に入れて、長袖もちゃんと着て…とすると良くて、TOMはちゃんとしてたんだけど、おしゃれじゃないとか、暑いとか文句を言うので「もう知らん」と思った母は警告だけはちゃんとしてほっときました。

いやあ、出る出る。ヒルくん。
軽装の子ども達が餌食。でもくっついた時点で子どもは何故かすぐわかるんですね。「りーーっち!!」と同行のAkkey(友人の子ども)がガイドさんに知らせて、血を吸われる前に取ってもらい、流血沙汰はこのときは逃れることができました。(ゴメン、TOMはまだ慣れなくて触れないのだよ…)

Photo_29 うちの子もTシャツの中に入られて、ものすごくショックを受けたようで、それ以降は素直に厳重すぎるくらいに長袖シャツを着てましたよ。いやぁ、経験に勝る教訓はないですねぇー。(ニヤリ…)

下記資料では安間氏は「夜間保存林を歩くと、ベンガルヤマネコ、ジャワジャコウネコ、マメジカ、幸運であればメガネザルにも遭遇できるかもしれない。」と書いていたので、ネコ科動物フリークのうちの子は期待いっぱいでしたが残念ながら、ネコ科には会うことはできませんでした。

1_4 でもマメジカには出会えたし、小さな生物はちょこちょこ、大きな板根はいっぱいでナイトウォーク…楽しみました!

安間氏の本には「探索道は全て手すりのある木橋になっており、ここでオランウータンをはじめ、ブタオザルやカニクイザル、バナナリス、ミケリス、ボルネオコビトリスなどをほぼ確実に見ることができる」と書いてありました。また「日中に奥地をトレッキングすればヒゲイノシシやマメジカ、オランウータンに出会うだろうし、途中の沢では数頭のコツメカワウソを見ることがあるかもしれない。」とも。

今回は時間がなくてゆっくりできなかったけど、これはじっくりと昼間もトレッキングしなきゃもったいない!って思った場所でした。何にしても往復で何時間もかかるようなので、ちゃんと準備をして、ガイドさんをつけて歩いたほうがよいようです。

参考資料:「ボルネオ島 アニマル・ウォッチングガイド」 安間繁樹 文一総合出版 P66

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2006年8月 7日 (月)

オランウータン リハビリテーションセンター

2s_3 セピロクと言えば、オランウータンのリハビリテーションセンター(Sepilok Orang Utan Rehabilitation center)があることで有名ですね。と言ってもTOMは今まで知りませんでしたぁ。TOMと同じくらい知らない人もいるかも…と思ってご紹介です。

リハビリテーションセンターはボルネオ島北部のサバ州、カビリ・セピロク保存林の中にあります。サンダカンから24km。TOMたちは、サンダカン空港で待っていたガイドさんに拾われて、ほんの30分の距離でした。

3_5 保存林の入り口近くに、リハビリテーションセンターはあります。

ただし、リハビリテーションをしているエリアは一般人は立ち入り禁止で、見ることができません。観光客が見ることができるのは、森の中に設けられたオランウータンの餌台だけです午前10時と午後3時の1日2回、餌台にはバナナとミルクが出されます。観光客は餌台に訪れるオランウータンの姿を、10mほど離れた立ち見台から眺めることができるというわけです。

TOMたちは「セピロクジャングルリゾート」というすぐ近くのロッジにチェックインしていたので、午後の回を見るために2時半ごろロビーに行き、ロッジの人の案内でタラタラとリハビリテーションセンターまで歩き、受付で大人15RM(リンギット:約30円/RM)の入場料と、カメラ1台につき、10RM持ち込み料を払って、300m程の木道を歩いて餌台にたどりつきました。

2s_2 3時まではまだ時間がありましたが、餌台の周りに張られたロープには大きめのオランウータンが既にいてのらりくらりと遊んでおり、うちの子どもはおおはしゃぎ。無意味なほどの写真の山ができましたよ。

周りには西洋人の観光客の山。(ほとんど西洋人。このときは他には日本人は見当たらなかったです。)
ロッジの人は、午前の回はもっと人が多くて、午後は少なくて見やすいよと話してくれました。

5_43時になるとバナナとミルクを持って係員さんが餌台に登場。(写真は登場直後のもの)それを追いかけるように母子(だと思うけど)のオランウータンが餌台にやってきて食べ始めました。ちゃんとバナナの皮をむいているのを見て、TOMはビックリ。オランウータンがバナナの皮をむいて食べるなんてTOMは知りませんでしたぁ。(無知?)

ひとしきり母子が食べ終わって餌台を去ってから、3時前からロープにいたオランウータンが入れ違いに餌台に向かい、一人で黙々と残ったバナナを食べていました。

ここを訪れるオランウータンは野生ですが、ほとんどがリハビリテーションセンターで育った子たちなんだそう。赤ちゃんが一緒の場合は、リハビリを受けたお母さんが野生に戻って森の中で出産した子を連れてきている場合もあるとか。餌場へ来るか来ないかはオランウータン次第。だからオランウータンがあんまりいないときもあるらしい。

3_6 ここのセンターでは親を亡くした(密猟や事故などで)孤児や不法に飼育されていた子どもオランウータンを引きとって、野生に戻れる訓練をした後に野生に返しています

オランウータンは2才半までが幼児で、赤ちゃんは食事その他の一切をお母さんオランウータンに頼って生きており、それ以後も4才まではいつもお母さんと一緒にいて、移動する時はお母さんに抱えられ、一緒の巣で眠るとのこと。7才位までは子ども時代で、だんだんと自立をしていくものの、やっぱりお母さんと一緒。
1年やそこらで大人になってしまう犬や猫よりずっと人間に近いんだね~。

だから赤ちゃんのときはちゃんと世話をしてあげ、少し大きくなればちゃんと教育してあげないと赤ちゃんオランウータンは生きていけないわけです。赤ちゃんのときは授乳したり、抱っこしたり、お風呂に入れたり、少し大きくなると食べ物の探し方はもちろん、巣の作り方、泳ぎ方、木登りの仕方まで必要に応じて教えるんだそう。本当にセンターはお母さん代わりなんだなー。

Photo_25 3才以上になると屋外飼育場で生活させるんだけど、これが事実上の「森へ解き放つ」時。最初はセンターの近くにいても、野外に慣れるにつれてセンターから離れて暮らすようになるんだって。
これは、オランウータンにとって、「森で自由に自立して暮らすのが快適という証し」ですね。

ただし、森へ解き放っても完全に見放してしまうんじゃなくて、森の中の4箇所に作られた餌場へ行けばいつでも食べ物にありつけるようにはしてあるんだって。(観光客が見ることができる餌場は1箇所だけです)

1960年代はじめまでには、既にオランウータンの減少は明らかだったそうです。原因は乱獲や海外への輸出。そのため1961年に保存林長のブルゲス氏はリハビリテーションを立案、63年に「動物相保護条令」ができて、法律のもとで保護されることになり、翌64年にこのセンターが公式にスタートしました
現在ではオランウータンのリハビリだけでなく、自然保護教育、研究助成、希少な動物の調査研究まで行っているそうです。

オランウータンはスマトラ島北部とボルネオ島にしかいない動物で、昔はボルネオ島全体にいたということなんだけど、今はあちらこちらに点々と残された森に隔離された状態になっているそう。食べ物は森のくだものや葉っぱだし、樹の上で暮らすサルだから、あんなにアブラヤシ畑が増えちゃ、残された数少ない森に逃げ込むしかないよね。

野生のオランウータンのどのくらいの数が森の中で生き延びているのか、正確なことはわからないとか。でも今でも、もちろん違法なんだけど、お金になるという理由で、銃で撃ち殺したり、捕まえて売ろうという輩がたくさんいて、オランウータンはいつも脅かされています。

そんな中、少しでも自然の中にオランウータンを返し、なおかつ観光客に餌台を見学させることによって啓蒙活動を続けているリハビリテーションセンターの存在意義は大きいものなんだろうな思いました。

話を元に戻します。

餌台にいるオランウータンちゃんをじーっと眺めていたら、いつの間にか周りの観光客はすーっと引いていって、残りの人影がまばらになった頃、TOMたちは案内してくれたロッジの人に促されて、餌台を後にしました。「3時半からインフォメーションセンターで映画の上映があるから見るといいよ」と言うのです。リハビリの様子を詳しく見ることができました。その隣には写真や資料の展示室。こちらも思う存分見て、センターを後にしました。

ボルネオのコタキナバルまで成田から直行便だと6時間なんだそうです。なーんだ、シンガポールより近いじゃん。ボルネオ専門の旅行会社もあります。興味があれば調べてみてくださいね。TOMと子どもはボルネオ島がすごく好きになりました。また行こうねと話しています。

参考資料:「ボルネオ島 アニマル・ウォッチングガイド」 安間繁樹 文一総合出版 P70

日本人女性の研究者がリハビリテーションセンターで研究をしていました(羨ましい…TOMももうちょっと若かったらなぁ…)。オランウータンに関するアレコレをまとめてあるサイトです。こちらもぜひご覧になってください。

Welcome To Orang Utan Life

Sepilok Orangutan appeal UK

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2006年8月 6日 (日)

エコツーリズムの正体

2s_1 オランウータンを知らない人はいないと思うけど、オランウータンがアフリカとかアマゾンにもいるって思っている人はまだまだ、いるんじゃないかなって思います。オランウータンはスマトラ島とボルネオ島にしかいない動物だって、アナタは知ってた?
(TOMはダチョウがオーストラリアにいると思っていて、子どもに思いっきりバカにされた経験があります(涙!)

植物と同じように動物にもその地域なりの動物相というものがあります。動物園に行けば、全世界でゾウもオランウータンも見られはしますが、彼らをそのままその場所で野に放しても決して生きてはいけません。彼らが進化してきた場所でなければ、エサも環境も無くて、結局は死んでしまいます。

だから本当の意味で動物を守るためには、彼らが生きてきた環境を守らないと駄目なんです。
動物園で動物を見るとき、せめて親くらいは「私達人間のために、生きていける環境から無理やり切り離して連れて来たのだ。」という感覚はきちんと持っておくべきだと思います。

20年くらい前から、動物園は従来の「単に動物を展示して人に見せる場所」から「種の保存」をする場所へと変わってきています。それだけ生息地での生存が危ういってことなんですけどね。
展示方法も「コンクリート張りの檻の中に入れて見せる」という形から、「その動物にとってできるだけ快適な環境であるように工夫する」という形へと変わってきています。旭山動物園は生態展示と呼んで、日本でも話題を呼んでいますよね。

一方で、動物達が生きてきた環境の中で、エコツーリズムとうまく折り合いをつけながら動物達を守っていこう という動きもあります。

つまり、今までは
「動物を自然から切り離して、人間の生活環境の中に連れてきて、檻に入れて人間が外から眺める」
という方法だったものを、逆に
「人間が動物の生きている自然環境の中に出かけていって、人間が(ある意味)檻の中に入って檻の中から動物を眺める」
という方法も出てきているということかな。
これが最近流行のエコツーリズムの正体かななんて思います。

どちらが動物にとってストレスフルなのかは一目瞭然。
考えてみて。
「今、この瞬間に自分がわけもわからず捕まえられて、
中東とかの言葉も分からない国に監禁されて3度の食事だけ与えられたら…」

…やだよね。生きていく元気がなくなっちゃうよね。

4_3 オーストラリアのパースへ行ったときに、イルカを見に行くツアーに参加しました。
そのとき、「水族館で飼われているイルカの寿命はせいぜい15年くらいだけど自然の中で生きているイルカの寿命は50年なんだ。だから私達は捕まえて飼育するのではなく、こうやって人間を友達と思ってくれている自然のイルカと遊ぶツアーをして、少しでもイルカのことをわかってくれる人を増やしたいと思っているんだ」と説明されてショックを受けました。

5_3 (確認していないので本当はどうかは知りません。水族館での寿命についてご存知の方がいらしたら教えて下さい)

動物対象のエコツーリズムというのは…

自然の中に動物がいて、人間が追いかけるのも十分ストレスフルだと思うけど、それでも自然から切り離してしまうよりはずーっとマシ。

エコツーリズムのようなお金に換算できるものがなければ、人間は際限なく、環境を破壊していくから、その歯止めをかけるものとして、やはり必要なもの。

という感覚をTOMは持っています。

何より実際見て聞いたもの、触ったもの、そういったものから得られる実感や感動は何にも変えられないです。そこから自分がこれからどう行動していけばいいのかが見えてくることもあります。だから、TOM出かけちゃうのかもしれません。(こちらは昔、日本でアカウミガメの放流に参加したときのレポートです。良かったら見てみて)

Photo_24 エコをうたっていたとしても、お金が絡むからにはお客も色々な人間がいるし、ガイド側にも色々な人間がいます。お客は自分だけはできるだけいい位置で動物の写真を撮りたいし、ガイドもお客に喜んでもらいたい…というわけでマナーを忘れてるんじゃないの?と思う輩もいっぱい。
ボルネオゾウを見たときもたくさんのボートがゾウの前にひしめき合って、中には強引に割り込んできて、必要以上にゾウに近づきすぎるボートもあって、そんなわけでお食事を邪魔されたゾウたちは早々に食事を切り上げ、陸の方へ消えていってしまいました。

食事をこんなふうに邪魔されるのは、動物達にとってストレスフルだけど、エコツーリズムという手段が無ければ、動物は連れ去られ、生きていく環境が破壊されるしかない…
そう考えるとこの程度のストレスは動物達に我慢していただかないといけないのかもしれないです。
ごめんなさい。動物さん。

この乱暴なエコツーリスト達、アフリカのサバンナでも南米のアマゾンでも同様のよう。
くれぐれもエコツアーに行くこと自体に酔うこと無かれ…自戒です(涙!)

今日は今回行ってきたセピロクのオランウータンのリハビリテーションセンターについて書きたくて、こういう出だしになったのだけど、もう既にあまりにも多く書きすぎてしまったので、明日に回します。
しばらくシンガポールではなくてボルネオの記事が続きます。すみません。熱帯での自然散策の場所としてのシンガポールの位置付けはボルネオ島とかの現実と無関係ではないので、ちゃんと書いておきたいのでした。
ほんでわ。

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2006年8月 5日 (土)

ヤシ畑

Elaeis guineensis

Photo_227月29日から8月1日までの3泊4日でボルネオ島のサバ州に動物を見に行って来ました。

ジョホール(マレーシア)の空港から2時間40分でボルネオ島の北東にある町サンダカンに到着です。写真はサンダカン到着直前の空からの写真。空から見ると、土地がどんな風に使われているのか一目瞭然。

左の写真なら上部が森、下部は川と草原ですね。

そんな中、一面に広がっていた風景が下の写真でした。

なんだ? ヤシ畑です。一面に広がるアフリカンオイルパームの畑でした。

2_6

4_2

この後に続く写真は、2日目にセピロクからスカウに向かう途中のバスから撮ったヤシ畑の写真。

今回のボルネオ旅行では、何時間もヤシ畑の中の道を車で走って、テングザルたちの住む森へとTOMと子どもはたどり着きました。バスのガイドさんは「長い道のりだからゆっくりしていってねー。寝て起きてもヤシ畑、またまた起きてもヤシ畑だから、景色は変わらないから安心して寝ていいよー(英語だから、この通り言っていたかどうかはちょっと危ういのだが)」なんて冗談を言っていましたが、その通り。

Photo_20走っても走っても見えるのはヤシ畑。ずーっとヤシ畑でした。

TOMがシンガポールに来ることになったとき、熱帯雨林についての知識はほとんどありませんでした。TOMは日本では大学で造園を勉強し、造園・環境関係の仕事をしてきたんだけど、それでもこんな程度だから日本で都会生活を満喫している人はもちろん、ガーデニングで緑を楽しんでいる人たちでさえ、熱帯雨林についての知識がほとんどないのはアタリマエなのかもしれません

8_1んなんだから、シンガポールに来るまでは、赤道直下の東南アジアの地域は減少しているとは言っても熱帯雨林でいっぱいなんだろうなあ と思っていました。

だからはじめて車でマレー半島に出かけたときの衝撃は忘れられません。(シンガポールからほんの車で30分で橋を渡ってマレーシアに入れるのです。)
見渡す限りのヤシ畑!
熱帯雨林はどこ?ない!ない!全然ない!
熱帯雨林は地球全体の気候を調節する場所なんて言われてるけど、こんなんでいいのー???

数限りない種類の生物が住んでいたはず の熱帯の森だったところが、今はこんな状態です。
こちらのヤシ油を使って作られた環境に優しい(?)製品日本人の多くは、環境にやさしいと信じて安心して使っています。

いいのか?

7

これでいいのか?

シンガポール植物園のビジターセンターには、アブラヤシが植えられていて、TOMたちガイドはまず最初にアブラヤシの紹介をし、日本で環境に優しい石鹸やシャンプーと言われている製品の材料のヤシ油が、熱帯雨林の減少の原因の1つになっているんだよという説明をします
シンガポールに住んでいる日本人なら、一度はマレーシアに出かけ、見渡す限りのヤシ畑を見ているので、それがどういうものなのかを知ってもらいたいと思っているからです。

6_1

その中で時々出る意見が「同じ緑なんだから、熱帯雨林でもヤシ畑でもどちらでも問題はないんじゃないんですか?」というもの。

一言で言えば、「熱帯雨林は生物の多様性がある けれど、アブラヤシは1種の植物しかない」というのが問題なんだけど、長くなるので、これについてはまたの機会に…。

5_2

「アブラヤシのプランテーションがあることでマレーシアの人々が潤っているのは確かなのだから、それを使って安価にものを手にいれている日本人があれこれ言う権利はない」という意見もあります。
そうかもしれません。でも、多くの日本人が「環境にやさしい」という「うたい文句」を信じて使っている製品の多くがこういった原材料を使って作られているということを「知ったうえで選択」する必要はあると思うのです。

Photo_23

2_7

アブラヤシの実は道路端に集められ、集積場に集められて、工場に持っていくようです。上の写真は集積場と思われる場所の写真。

先日NHKの朝のニュースを見ていたら、化石燃料に替わって、ヤシ油を使った燃料で走る車をトヨタが開発。2009年くらいからヤシ油から作る燃料生産をマレーシアではじめるという話をしていました。化石燃料を使わないから「環境にやさしい画期的な試み」というような扱いだったと思いますが、家族達が異口同音に「これ以上、ヤシ畑を作るんですかー??」って朝っぱらから叫んでしまいました。
でもNHKでそう言っていたら、日本人の9割方が「環境にやさしい画期的な試み」って思うわな。
化石燃料をこれ以上使うのは良くない。それはわかってる。わかっていながら、今も電気を使ってTOMはこれを書いてるし、おまけにクーラーもつけてる。
でもね。でも…なんだよぉー!!
日本の学校ではこんなことをやらないんだろうなぁ。
シンガポールの小中学校でもやっていないだろうなぁ。
でも、知らないでいいのか?グローバルに地球をこれから背負ってく子ども達!

サバ州では年間に州面積の1.2%、9万haくらいがアブラヤシのプランテーションに変わり、残存森林面積率は51%。けれどもその大部分がすでに手つかずの熱帯雨林ではありません。ここ30年間で森林の30%が焼失し、対してアブラヤシ畑は25年間で15倍。2003年には州全体の15.3%にのぼっています。サバ州は東南アジア最高峰のキナバル山があり、エコツーリズムの盛んな場所で、熱帯雨林の動植物を見るために世界各地から先進国の人々が訪れています。でも現実はこうだということだけ知っておいていただけると嬉しいです。

熱帯雨林は有限の資源で、その生物の多様性は一度失われたら、二度と取り戻せません。何千万年もの自然の営みの中で進化と絶滅を繰り返して作られてきたものということを、私達はもうちょっと知ってもいいような気がします。

色々なホームページの紹介です。見てみてくださいね。

ヤシ油を使った石鹸のなにが問題なのか知りたい方は見てください。http://www.jca.apc.org/unicefclub/research/93_palm/index.html

サバ州の地図: 右側に表示のあるLower Kinabatanganが今回TOMたちが行った場所
http://www.bbec.sabah.gov.my/TheMap.htm

サラヤという会社のホームページ ボルネオゾウとアブラヤシとの共存を模索していますhttp://www.saraya.com/env/05env8_3.html

アブラヤシの説明はこちらです。見てね!

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2006年8月 3日 (木)

ボルネオ象

Photo_18 昨日「アジア象を見たよー」という記事を載せたら、F先生から情報をいただけたので、ボルネオの象について調べてみました。

まず基本知識から。
世界には大きく分けてアフリカゾウとアジアゾウの2種類のゾウがいます。
アフリカゾウに比べてアジアゾウは小さめで気性が温和です。
アジアで人間と仲良く暮らして人間のために色々働いてくれているのは、アジアゾウ。
アフリカゾウは気性が荒く、こういったことはできないらしいです。

NHKで昔やっていた番組では、こんな風に解説していました。
ゾウの祖先は約4000万年前にアフリカ北部の湿地帯で生まれたそうです
その後アフリカの草原に残って乾燥化に適応していったのがアフリカゾウ、アジアの森に移動したものがアジアゾウになったのだとか。
アフリカはライオンなどの大型肉食獣が多かったのに比べ、アジアの熱帯雨林にはゾウを襲うほどの肉食獣があまりいなかったために、アジアゾウの方が穏やかな気性を持つようになったのだろうと言っていました。

ボルネオのゾウは別の地域のアジアゾウに比べて「頭が小さい」「オスの鼻が直線的に伸びている」などの特徴があって、
ボルネオゾウ」という亜種名でよぶ研究者もいるとのこと。
つい最近までは「ボルネオのゾウは人間が持ち込んだものの子孫」という説もあったそうですが、つい最近になって遺伝子解析によって、人間が持ち込んだのではないことがわかりました
昔、7万年前~2万年前の氷河期の海水面が今よりも100m以上も低かった時代には、ボルネオ島、スマトラ島、ジャワ島、マレーシア半島は「スンダランド」と呼ばれるアジア大陸の1部の、「巨大な半島(?)(こういう大きさのものを半島と呼んでいいのか疑問ですが)」でした。世界地図を持ってきてください。ボルネオ島がどこにあるか定かでない人も中にはいるでしょ。シンガポールを含む、この島々が全部繋がっていたと想像してみてください。「デカイ!」って思うでしょお?

2_4TOMの想像ですけど、最初、この地域全体にアジアゾウはいたんでしょうね。
でも2万年くらい前に直近の氷河期が終わって、100m以上も海水面が上昇、海抜が高かったところだけが島として残りました。その各地にアジアゾウさんも取り残されて、その地その地で独自の進化をしていったんでしょう。
F先生が教えてくださったサイトには「ボルネオ島に生息するゾウは更新世(新生代第四紀の前半:200万年前から約1万年前まで)の中期から後期に移動し、遺伝的に隔離されてきた個体群であることを示めしました。そして、ボルネオに生息しているアジアゾウは進化上貴重な隔離群である」という表記がありました。
詳しく見たい人はこちらをどうぞ。
http://www.bbec.sabah.gov.my/japanese/01_nature/na_040331.html

 ちなみにこちらのトップページは こちらのページで、メールマガジンも発行しています。 ボルネオの自然に興味がある方がいらしたら、ぜひ登録されるといいと思います。役につ立つ、 現地にいないと得られない雰囲気を感じられるメルマガです。

Photo_19 現在、ボルネオ島のサバ州のゾウの個体数は1000頭くらいと考えられているそうですが、
下記資料で安間氏は「群れの数は驚くほど少なく、、私は合計でも600頭が限度だと私は考えている」と書いています。

サバ州では1980年代以降、アブラヤシなどのプランテーションが急速に広まり、多くの熱帯雨林がプランテーションに変わっています。
そのため、ゾウが生息できる地域が急速に狭められてきました
同時に害獣駆除という名での合法的な射殺、密漁なども行われ、個体数は減少し続けているのだそうです。
現在、アブラヤシなどの農園にやってくるゾウは射殺するか、できるなら捕まえてタビン野生生物保護区へ放逐しているとも安間氏は書いています。捕まえて放逐するにしても、どの範囲の地域の農園で捕まえたら野生生物保護区へ運ぶのか、資料には細かいことまでは書いてありませんでした。
先日TOMと子どもが行ってゾウを見たのは「キナバタンガン下流生物サンクチュアリ」と呼ばれるあたりですが、この地域も、ほんの少し行けば見渡す限りのアブラヤシ畑の風景に変わってしまいます
TOMたちが見たゾウさんたちが農園に現れたら、どうなるんだろう…
資料を読んでちょっと悲しい気分になってしまいました。
日本のクマと同じように、人間が開発して山の自然が少なくなって食べるものがなくなるから、彼らは人間の生息域に出てくるのです。その結果射殺されてしまう…。
単にカワイソウと思うのではなく、解決策を考えられないのだろうか…そんなことを強く感じます。
少しでも現実を伝えたいなって思うと、こんなに長いページになってしまいます。飽きちゃった人、ゴメンネ。

ゾウのような大型の動物は、1頭生きていくのに最低限必要な森の広さがあります。タビン野生生物保護区(1205平方km)でもこのまま放逐を続ければ、この地域の生息可能な限度を越えてしまいます。そのためサバ州政府はゾウの輸出を始めているそうです。自然環境の中でなくても、遺伝子が世界のどこかで残っていればいいってワケか…。うーん。

あまりに長くなってしまったので今日はこの辺で。

ゾウの写真撮影 : Sachiho 

参考資料:「ボルネオ島 アニマル・ウォッチングガイド」 安間繁樹 文一総合出版 P123

 この本は、ボルネオ島に行こうと思ってるなら、アジアの熱帯雨林の動物について興味があるなら絶対お勧めの1冊です。 TOMがこの本を紹介した人のほとんどが後で、自分で買っています。スンダトゲネズミの見分け方の絵なんか、もう大うけ!

ウィキペディアのゾウについての記事はこちら 

アジアゾウとアフリカゾウの違いについて書いてあるページ http://www.paopaoland.com/data/data/data.html

上記のページのTOPページ パオパオランド http://www.paopaoland.com/
ゾウさんのページ。あったかい語り口調がとってもいい!絶対見てみて!

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2006年8月 2日 (水)

ただいまー

Photo_17ボルネオ島から帰ってきました!

帰りの飛行機が予定より2時間早まったことで飛行場への往路がボートから陸路へと変更されてしまい、ボーっとしていては天井に頭をぶつけてしまうくらいの悪路を4時間走りました。おかげでもともと痛めていた腰を悪化させてしまい、PC前に座るのが辛い…。てなわけで、ちょっとお休みしてしまいましたぁ。

たった3泊の旅行でしたが、面白かったです。出会うことができないだろうと思っていたアジアゾウの群れにも出あえて子どもは大満足。ゾウさんはご飯を食べているのを邪魔されてイヤだっただろうと思うんですけどね。

また今日から頑張ります。

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