« エコツーリズムの正体 | トップページ | セピロクの森でのナイトウォーク »

2006年8月 7日 (月)

オランウータン リハビリテーションセンター

2s_3 セピロクと言えば、オランウータンのリハビリテーションセンター(Sepilok Orang Utan Rehabilitation center)があることで有名ですね。と言ってもTOMは今まで知りませんでしたぁ。TOMと同じくらい知らない人もいるかも…と思ってご紹介です。

リハビリテーションセンターはボルネオ島北部のサバ州、カビリ・セピロク保存林の中にあります。サンダカンから24km。TOMたちは、サンダカン空港で待っていたガイドさんに拾われて、ほんの30分の距離でした。

3_5 保存林の入り口近くに、リハビリテーションセンターはあります。

ただし、リハビリテーションをしているエリアは一般人は立ち入り禁止で、見ることができません。観光客が見ることができるのは、森の中に設けられたオランウータンの餌台だけです午前10時と午後3時の1日2回、餌台にはバナナとミルクが出されます。観光客は餌台に訪れるオランウータンの姿を、10mほど離れた立ち見台から眺めることができるというわけです。

TOMたちは「セピロクジャングルリゾート」というすぐ近くのロッジにチェックインしていたので、午後の回を見るために2時半ごろロビーに行き、ロッジの人の案内でタラタラとリハビリテーションセンターまで歩き、受付で大人15RM(リンギット:約30円/RM)の入場料と、カメラ1台につき、10RM持ち込み料を払って、300m程の木道を歩いて餌台にたどりつきました。

2s_2 3時まではまだ時間がありましたが、餌台の周りに張られたロープには大きめのオランウータンが既にいてのらりくらりと遊んでおり、うちの子どもはおおはしゃぎ。無意味なほどの写真の山ができましたよ。

周りには西洋人の観光客の山。(ほとんど西洋人。このときは他には日本人は見当たらなかったです。)
ロッジの人は、午前の回はもっと人が多くて、午後は少なくて見やすいよと話してくれました。

5_43時になるとバナナとミルクを持って係員さんが餌台に登場。(写真は登場直後のもの)それを追いかけるように母子(だと思うけど)のオランウータンが餌台にやってきて食べ始めました。ちゃんとバナナの皮をむいているのを見て、TOMはビックリ。オランウータンがバナナの皮をむいて食べるなんてTOMは知りませんでしたぁ。(無知?)

ひとしきり母子が食べ終わって餌台を去ってから、3時前からロープにいたオランウータンが入れ違いに餌台に向かい、一人で黙々と残ったバナナを食べていました。

ここを訪れるオランウータンは野生ですが、ほとんどがリハビリテーションセンターで育った子たちなんだそう。赤ちゃんが一緒の場合は、リハビリを受けたお母さんが野生に戻って森の中で出産した子を連れてきている場合もあるとか。餌場へ来るか来ないかはオランウータン次第。だからオランウータンがあんまりいないときもあるらしい。

3_6 ここのセンターでは親を亡くした(密猟や事故などで)孤児や不法に飼育されていた子どもオランウータンを引きとって、野生に戻れる訓練をした後に野生に返しています

オランウータンは2才半までが幼児で、赤ちゃんは食事その他の一切をお母さんオランウータンに頼って生きており、それ以後も4才まではいつもお母さんと一緒にいて、移動する時はお母さんに抱えられ、一緒の巣で眠るとのこと。7才位までは子ども時代で、だんだんと自立をしていくものの、やっぱりお母さんと一緒。
1年やそこらで大人になってしまう犬や猫よりずっと人間に近いんだね~。

だから赤ちゃんのときはちゃんと世話をしてあげ、少し大きくなればちゃんと教育してあげないと赤ちゃんオランウータンは生きていけないわけです。赤ちゃんのときは授乳したり、抱っこしたり、お風呂に入れたり、少し大きくなると食べ物の探し方はもちろん、巣の作り方、泳ぎ方、木登りの仕方まで必要に応じて教えるんだそう。本当にセンターはお母さん代わりなんだなー。

Photo_25 3才以上になると屋外飼育場で生活させるんだけど、これが事実上の「森へ解き放つ」時。最初はセンターの近くにいても、野外に慣れるにつれてセンターから離れて暮らすようになるんだって。
これは、オランウータンにとって、「森で自由に自立して暮らすのが快適という証し」ですね。

ただし、森へ解き放っても完全に見放してしまうんじゃなくて、森の中の4箇所に作られた餌場へ行けばいつでも食べ物にありつけるようにはしてあるんだって。(観光客が見ることができる餌場は1箇所だけです)

1960年代はじめまでには、既にオランウータンの減少は明らかだったそうです。原因は乱獲や海外への輸出。そのため1961年に保存林長のブルゲス氏はリハビリテーションを立案、63年に「動物相保護条令」ができて、法律のもとで保護されることになり、翌64年にこのセンターが公式にスタートしました
現在ではオランウータンのリハビリだけでなく、自然保護教育、研究助成、希少な動物の調査研究まで行っているそうです。

オランウータンはスマトラ島北部とボルネオ島にしかいない動物で、昔はボルネオ島全体にいたということなんだけど、今はあちらこちらに点々と残された森に隔離された状態になっているそう。食べ物は森のくだものや葉っぱだし、樹の上で暮らすサルだから、あんなにアブラヤシ畑が増えちゃ、残された数少ない森に逃げ込むしかないよね。

野生のオランウータンのどのくらいの数が森の中で生き延びているのか、正確なことはわからないとか。でも今でも、もちろん違法なんだけど、お金になるという理由で、銃で撃ち殺したり、捕まえて売ろうという輩がたくさんいて、オランウータンはいつも脅かされています。

そんな中、少しでも自然の中にオランウータンを返し、なおかつ観光客に餌台を見学させることによって啓蒙活動を続けているリハビリテーションセンターの存在意義は大きいものなんだろうな思いました。

話を元に戻します。

餌台にいるオランウータンちゃんをじーっと眺めていたら、いつの間にか周りの観光客はすーっと引いていって、残りの人影がまばらになった頃、TOMたちは案内してくれたロッジの人に促されて、餌台を後にしました。「3時半からインフォメーションセンターで映画の上映があるから見るといいよ」と言うのです。リハビリの様子を詳しく見ることができました。その隣には写真や資料の展示室。こちらも思う存分見て、センターを後にしました。

ボルネオのコタキナバルまで成田から直行便だと6時間なんだそうです。なーんだ、シンガポールより近いじゃん。ボルネオ専門の旅行会社もあります。興味があれば調べてみてくださいね。TOMと子どもはボルネオ島がすごく好きになりました。また行こうねと話しています。

参考資料:「ボルネオ島 アニマル・ウォッチングガイド」 安間繁樹 文一総合出版 P70

日本人女性の研究者がリハビリテーションセンターで研究をしていました(羨ましい…TOMももうちょっと若かったらなぁ…)。オランウータンに関するアレコレをまとめてあるサイトです。こちらもぜひご覧になってください。

Welcome To Orang Utan Life

Sepilok Orangutan appeal UK

ブログランキングの投票にご協力を!…ぽちっ

|

« エコツーリズムの正体 | トップページ | セピロクの森でのナイトウォーク »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。