山丹花の性転換
Ixora sp.
サンタンカは夏の鉢花として子どもの頃からよく見てきたんだけど、熱帯の街路樹にこんなにも使われているとは知らなかったよー。
最初は「サツキ??」なんて思ったりもしたけど、きれいに刈り込まれて、まるで日本のサツキかオオムラサキツツジかのように街路樹の下とかに使われている潅木の正体は、みんなサンタンカでした。
男と女の話を2回続けてきたところで(1回め 2回め)、その流れでこのお花です。
多くのお花は両性花を咲かせます。1つのお花にメシベとオシベの両方が付くんです。だけどこの両方が一緒に成熟すると、よほど運がよくないと、自分の花粉で受精完了してしまいます。(自家受粉という)
これは植物としては避けたいんだな…。(避けたい理由は こちらをお読みくださいね)
サンタンカのお花をよく見たことある?1つの花はこんな順番で咲いとります。
まずはオシベが成熟して花粉が出ます。真ん中に出ている突起はメシベ。でもまだ成熟していないので硬く閉じています。
オシベの葯が花粉を出し終わってしなびてきました。メシベが成熟してきて、先が分かれてきているのがわかりますか?
とうとうオシベが取れてしまいました。オシベが付いていた痕だけが残っています。
メシベがういういしいのう…。 (スケベ親父か?)
メシベが完全に成熟して開いてきました。
あーあ、受精を終えてメシベもとうとう落っこちてしまいました。子房の中では次世代の遺伝子を持ったタネが育っています。だからこのお花はただいま、妊娠中。
人寄せパンダならぬ、虫寄せ花びらは役目を終えたはずなんだけど、周りのお花はまだまだ恋の真っ最中。だから、お助けモードになってまだまだ赤い花びらを付けています。
下の写真を見て!
色々な段階のお花が一緒に咲いているでしょ。男の子のお花、女の子のお花。そして妊娠中のお花。
こんな風にオシベとメシベが同時に成熟しなければ、同じお花の中でのまちがいも起きないでしょ。隣のお花の花粉が付いてしまうこともあるかもしれないけど、他の株の花粉が付く可能性もぐーーーーんと高まります。なーんて賢いんでしょ。スゴイ!!
こういう風に両性花の中でメシベとオシベの成熟する時期をずらして同じ花の中で受粉や受精が起こらないようにすることを「雌雄異熟」と言います。サンタンカのようにオシベが先に熟すタイプは雄性先熟と言います。逆にメシベが先に熟すタイプの花もあります。日本でおなじみのキキョウやユキノシタ、ホウセンカなどもオシベが先に熟すタイプなのだそうです。
夏によく見るサンタンカは、じつはこんなドラマを私達の目の前で繰り広げていたのでした。知ってた??
アカネ科 Rubiaceae
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コメント
TOMさん
いつも興味深いお話、楽しませていただいてます。
タチアオイやクサギなど、雄性が先というのは結構よく見かけますが、雌性が先というのもあるんですね。
一番先に出てきた彼や彼女のお相手は? 気になります。
投稿: waiwai | 2006年8月27日 (日) 20時06分
waiwaiさん
確かに最初のカレカノのお相手は気になりますね~。あ、でも熱帯だといつも咲いてるから最初のお花ってないのかな?うーん。
投稿: TOM | 2006年8月28日 (月) 20時29分
はじめまして!
山丹花の花が枯れた後
花の茎の部分を切ってしまったのですが、
切った後に実のようなものが2つ程付いていることに
気が付きました。
これは、種なのでしょうか…
受粉のお話を今読んでちと焦ってます…
切らない方がよかったのでしょうか…
投稿: みそしる | 2008年7月24日 (木) 12時07分
みそしるさん
あまりに遅いレスなので読んでいただけるかどうかはわかりませんが。ごめんなさい!!!! 実を付ければ株は体力を使うので、株を元気にしておきたいか、実を見たいかで判断すると良いかもしれないですね。どちらがお好みですか??
投稿: TOM | 2008年8月13日 (水) 22時30分