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2006年10月10日 (火)

仏陀のココナッツ

種子のことばかりで恐縮ですが、Pterygota AlataBuddha’s coconutブッダナッツ)というのをご存知じでしょうか。シンガポールでも見られると聞きますが、実態はよく分かりません。殻はドライフラワーやアレンジ素材などとして輸入されているようですが、種子の様子は全く分かりません。カエデのような翼をもっているようですが。教えてください。

Pterygota Alata

「ジャカランダの実が見たい!」というリクエストにお応えして、ジャカランダをアップしたら、コメント欄にこんな質問をtodokiさんがしてくださいました。とりあえず熱帯植物要覧とかコーナー博士の本とかで学名を検索したけど、載ってないし、「知らんなぁー、わからんなぁー、お手上げー」と思ってました。教えてもらったブッダナッツでインターネットで検索すると出るわ出るわ、山のようなヒット。ドライフラワーの材料としてポピュラーなもののよう。

1_41 属名からアオギリ科ということがわかったので、セブンスシスターみたいな実なのかなと思ってました。左のはセブンシスターズ(Sterculia monosperma)の実の写真です。でもこれは決して「翼果」とは言わないシロモノ。謎は深まる…(涙!)

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しかし。偶然というものはあるもので、その矢先、写真を整理していたらこんな樹名札の写真を発見。

「見てるじゃん。私…」記憶の糸を辿ったら、シンガポール植物園のパームバレーで撮ったことを思い出しました。2005年の7月に撮ったもので、このときはお花が沢山下に落ちていました。

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詳しいことを知りたいと思ったんだけど、グーグルで検索してもヒットはするものの、なかなかよいページが見つからなくて、ここでもお手上げ状態。1つだけ「パキスタンのフロラ」ってなサイトを発見。

これによるとブッダナッツには雄花両性花の両方があるよう。雌雄異株とはなかったので、1本の木に2種類の花が咲くということかな?

6_19  雄花の葯の頭は1-2mmの大きさでまとまっていて4-6mmの長さの柱の先にくっついているとあり、両性花のオシベの葯は無柄で子房の曲線に沿って4-5個の房になってくっついている…と書いてあるようなので、この写真はどうも両性花みたいだなって思います。

花びらに見えるところはガクらしくて4枚~7枚。不定。分厚くて数ミリはありそう。中はこんな風に赤っぽい紫色をしてるけど外側は茶色で毛が生えています。うーーん、けったいなお花じゃ(でもカワイイ…)。資料には花序は小さくて、お花が数個付くって書いてありました。木の上のほうでどんな風に咲いているんでしょ?見てみたいです。原産地では花の咲く時期は決まっているらしく、2月~3月に咲く とありました。原産地は雨季と乾季がはっきりしているようだから雨季の前に咲くって感じなんでしょうか?

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どんな木だったか全然覚えていなかったので、あらためてパームバレーに出かけてみました。デカイ!

比較対象になるものがないので、わからないと思うけど、最低でも30m以上はあるわな。葉っぱの様子も何も、下からは全然わかりません!

下に落ちていた葉っぱは下の写真のようなものでした。日本のキリの木とも似てる感じがしますね。

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ブッダナッツでインターネットで検索すると、商品説明として「ブッダココナッツは、インド南部原産の落葉樹であるゴルダーの果実です。熟して一方が割れ、種子が飛び出た後の果皮を色抜きし、乾燥させたものです。」という一文が出てきます。このゴルダーという名称がどこの国での呼び名なのかどんな綴りなのかは、全然わからずじまいでした。

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さてさて。todokiさん念願の種子ですが、救世主がいましたー!このコメント覧を見てガイドグループの先輩hitomiさんが写真を送ってくれました。これはマレー半島の自然保護区で撮った写真だそうです。シンガポールの植物園では何年も見ているけど、花は咲くことはあっても実がなったところはまだ1度も見ていないと教えてくれました。

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実の直径は7~12cm、ちょっとゆがんだ球形、その中に横長で平べったい種子が2列に並んで40個ほど入っているそうです。(資料より)

todokiさん情報の通り、カエデのような翼果ですね!あの高い高い木の上から、この翼果がくるりくるりと回りながら落ちてくる様子…見てみたいよー!新たな事実を知ることが出来てTOMも大満足。todokiさんありがとう!

写真提供hitomiさんも本当にありがとう!!!

パキスタンのフロラの資料には、「樹形がかっこいいので庭や道路に植えられて日陰を作るのに使われている。種子は食べられると言われていてSylhetでは麻酔の代用品として使われている」とあったのだが、麻酔になるようなものを食べて大丈夫なんだろうか????

アオギリ科 Sterculiaceae

原産地:南西インド、インドのSikkim, Assam 、アンダマン諸島、ビルマ、バングラデシュ

Common name:Kasah, Buddha’s coconut, ブッダナッツ、ブッダココナッツ

資料:パキスタンのフロラ 注:TOMの英語能力はとってもとってもpoorです。すべてを鵜呑みにしないように。きちんと知りたい場合はちゃんと自分で訳しましょう(涙…)。

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コメント

TOMさん。いつもきれいな写真や楽しいコメントありがとうございます。この度は、私の質問のブッダナッツについて色々調べていただき、ありがとうございました。そして、すばらしい写真を提供していただいたhitomiさんにも感謝します。質問後、とりあえずフラワーアレンジ素材として販売されている殻を購入してみました。12センチ程の非常に堅い肉厚の殻で、内側には種子が並んだ形跡のスジが残っていました。しかしこれだけでは、種子の様子をうかがい知ることができず、益々、種子への思いが募る一方でした。今回、明瞭なブッダナッツの殻と種子の写真をアップしていただいたお陰で、目から鱗、いっぺんい悩みは解消できました。改めて感謝します。なんとカエデそっくりですね。しかもデカイ!空を舞うところを絶対に見たいです。やはり、南インドでないと見られないのでしょうか。更なる種子の情報がありましたら教えてくださいね。

投稿: todoki | 2006年10月10日 (火) 17時34分

Todokiさん
知りたい!って思ったときの気持ち、とってもよくわかるので、お役に立てたなら嬉しいです。
Hitomiさんのお話だとマレー半島にもあって実がなるみたいですね。いつか私も実がなるところに遭遇できるといいなあって思ってます。

投稿: TOM | 2006年10月10日 (火) 18時56分

初めまして。「ゴルダー」がどこの国での呼称か分からないとの事ですが、もしまだ手元に『熱帯植物要覧』をお持ちでしたらもう一度めくってみて下さい。第4版の308頁には「ゴルダー S. guttata Roxb. Golder, Kukur〔マラッタ〕」とあります。これを額面通りに信じるのであれば golder はマラッタ、つまりインドのマラーティー語での呼称という事になります。ただしこの Sterculia guttata は現在 Pterygota alata のシノニムではなく全く別の種扱いとされています(http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:825255-1)。実は Pterygota alata も Sterculia guttata もシノニムに Sterculia alata を持つという共通点があり、これが混同の元であるものと思われます。

投稿: Eryk Kij | 2021年4月18日 (日) 07時30分

今朝、友だちのブッダナッツのフラワーアレンジメントのInstagramを見て、ブッダナッツって初めて聞いたので検索したところ、木についてはこちらの情報しかありませんでした。ありがとうございます。
みんな手作り材料として実が手に入れば、他のことは興味ないのかしらね。私はついついどんな木なのかなって思っちゃいます。
後で英語で検索したら木を売ってました。
budda coconut tree と言うみたいですよ。

投稿: まつだ あけみ | 2021年4月30日 (金) 10時26分

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