Samanea saman
Synonym : Enterolobium saman , Mimosa saman , Pithecellobium saman
シンガポールの街路樹で多いのはこの子です。チャンギ空港からECPを通ってシティエリアに向かう時には、大きな樹冠を広げた街路樹が日陰を作ってくれています。日本の街路樹の常識からすると、とても大きくて、「これはなんだろう?」って思うのですが、この子。

じつは「この~木何の木気になる木~」と日立のコマーシャルで使われている木は、このレインツリーちゃん。
日立の樹オンラインというサイトでは、歴代のCMを見る事ができます。現在は9代目のCM、第2代でレインツリーちゃんは初登場、3~5代目はなんと別の樹で、6代目以降がレインツリーに定着しています。撮影場所はハワイのオアフ島。地元では何の変哲もないのに、日本人旅行者が行きたがる不思議な樹として有名らしいです。(笑)ハワイではモンキーポッドと呼ばれています。
このサイトでコマーシャルをあらためて見ていただくと、レインツリーがどんなに大きくなる木か想像が出来ると思います。大きくなると言っても樹高は30mくらい、横に枝葉が広がるんですね。それでCMのような形の樹になるようです。シンガポールでは街路樹として下の枝が切り払われているので、CMのイメージとはちょっと違います。
葉っぱはこんな感じの2~4回羽状複葉。小葉2~6対で、いびつな楕円形をしています。1枚の小葉は3~4cmくらいの小さなかわいい葉っぱです。


夜になるとこんな風に葉を閉じます。
資料には「降雨前に雨を予知し葉をたたむのでレインツリーと言う」と書いてありますが、単に暗さを感じて葉っぱをたたんでいるだけのようです。でも見ていると夜は確かに葉を閉じているけど、本当に昼間でも葉を閉じているのだろうか?と疑問に思う部分があり、この記述は眉につばを付けて読んでいます。
レインツリーの名前はこういった理由で付けられたのは確かなんでしょうね。

お花が咲いているときに遠くから見るとこんなふうに見えます。ピンク色の花が咲いているのをよく街路樹や公園で見る事ができますよ。
近づくとピンクの細い糸のようなものがいっぱい集まっているのだということがわかります。

この花なじみの花に似ていると思いませんか?
そう。ネムノキです。レインツリーちゃんはネムノキとはご親戚。この花の形と原産地から和名をアメリカネムと言います。覚え易いでしょ。


さらにアップにします。左と上と下の写真3枚はKeikoさんが提供してくれたもの。Keikoさん、ありがとーーー!樹の高いところにお花が咲いていることが多くて、TOMは結局アップの写真が撮れていないのです。(涙!)
ピンクの部分はじつは花びらが目立たない小さな花のオシベの花糸の部分でした。この小さなお花が集まって、1つの花みたいに見えてるんですね。
花びらの部分とガクの部分がわかりますか?
小さな花が集まっている真ん中には大きめの花があります。ここにメシベと子房があるって聞いた覚えがあります。
レインツリーのお花を見る機会があったら、1つだけ違うお花があるのを探してみてくださいね。

こんな感じのサヤがなります。中のマメが熟しても開きません。サヤには糖分を含むので、家畜の飼料として使われると資料には書いてありました。

どこに書いてあったか忘れましたが、レインツリーというのはもともとはアメリカ大陸に1万年くらい前まで生息していた大型の哺乳類にタネを運んでもらうように進化していたのだろうと言われているそうです。人間がアメリカ大陸に入ってきて、動きがのろめの大型哺乳類たちはあっと言う間に絶滅してしまいました。その後、タネを運んでくれる生物がいなくて絶滅への道を歩んでいたところを救ったのがスペイン人たちが連れてきた馬や牛たち。…ってどこかに書いてあったと思うのだけど、資料が手元になく、根拠を示せないです。ゴメン!

樹皮がごつごつしているので、着生植物がくっつきやすいらしく、こんなふうにいっぱいバーズネストファーンやらシダやランがいっぱいくっついている様子をよく見る事ができます。
人に日陰を提供してくれるだけでなくて、他の植物たちにも住処を提供してくれる。太っ腹な樹ですねーーー。
マメ科 Leguminoaeae
原産地: 熱帯アメリカ
Common name: Rain Tree , Pukul Lima , Cow Tamarind, Monkeypod Tree , レインツリー、モンキーポッド、アメリカネム、アメフリノキ
「1001 Garden Plants in Singapore」P438
「熱帯植物要覧」P200
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