マレーゲール
Myrica esculenta
「マレーゲールってヤマモモのことなんだよー。」って言葉が何年も耳に残っていました。
ヤマモモ(Myrica rubra)はTOMが公共造園のお仕事をしていた時代に慣れ親しんでいた植物で、公園などの設計でよく使っていました。赤いボンボンみたいな実がかわいくて、1回食べてみたいなと思いつつ、日本の公園に植えられているヤマモモは薬剤散布されているためにためらって、結局1回も口にしていなかった木です。
そんなこともあって、シンガポールのヤマモモってどんなんだろう?ってずーっと気になっていました。
TOMの周囲の人たちは、みんなよく知っているマレーゲールちゃんだったんですが、何故か縁のない植物はあるもので、ずっと出会えなかったのがこの子。先日マレーゲールちゃんに会いたくて、クレメンティウッズパークに出かけて、ようやくかわいい赤い実に出会えました。
「Illustrated Guide to Tropical Plants」で、渡辺先生は「高木、果は赤く熟し食用、日本のヤマモモとほとんど同じ。同一種かもしれない。」と書いておられましたが、TOMのイメージの中にあったヤマモモよりは実がずーっと小型で目立たないもので、「なんか違う」というのが正直な感想。
左のが実なんだけど、直径8mmくらい。「日本の樹木」でヤママモモを調べてみたら、日本のは直径が10~20mmと書いてあったので、私が覚えているのは実が大型の園芸品種かなんかなんだろうか?
大きさのことをのぞけば、マレーゲールちゃん、可愛かったです。でしょ?ノイチゴみたい!
お花はどんなんでしょう?
探してみました。
こんなんあったんですけど、花序みたいに見えるけど、うーーーん。
花序みたいに見えるもの。花みたいに見える小さな突起はわずかに1mmかそこらです。
拡大。
う。なんか2本出てる。もしかしてこれでお花???
「前はもっと派手な花が咲いていたよ」との言葉があったので、ますます???のTOM。コーナー先生の本なら何かヒントがあるかな?と思って家に帰って探してみました。
あった。
ヤマモモちゃん、雌雄異株。これは雌花でした。日本のヤマモモの雌花のメシベは赤っぽいけど、マレーのはこんな風に緑色をしているようです。こんな目立たない色をして、どうやって花粉が運ばれるんでしょう?
PCをよく探してみたら、雄花の写真がちゃんと撮って保存してありました。先日セントーサ島に行ったときに出会ったマレーゲールちゃんです。でもこのときは赤い実に出会えなくてぐっすんって思っていたのでした。なるほど、雄株だったから、実がなかったんですね。
いわゆる、無花被花のたぐいで、花びらとかないタイプの雄花と雌花。日本のヤマモモの雄花はホウの中にオシベが5~8本入っているそうです。
コーナー先生は「マレーゲールの雄花は触ると花粉の雲ができる」と書いています。「風媒花に違いないだろう」とも書いています。
虫や鳥に運んでもらう必要がないから、こんな目立たないお花をしているんですねぇ。
コーナー先生の本には幼木の葉っぱは全然違う形をしていると書いてあって、写真を探してみたら、「あ、私、ちゃんと撮ってるよ」と幼木の葉っぱの写真もPCの中に発見。
幼木の葉はこんなふうに切れ込みが入っています。もっと極端に切れ込みがはいっているのもあるらしいです。
成木の葉っぱはこんなん。ずーっと小さいです。
全体はこんな感じ。高さは13mくらいになる高木。
マレー半島やマラヤ南部ではよく見られる植物。海岸沿いの砂地などに生えます。シンガポールでは二次林でよく見られるのだそう。
ヤマモモ科 Myricaceae
原産地:マラヤ南部、マレー半島、シンガポール
Common name: Malay Gale , Telur Chichak , マレーゲール
資料:「Illustrated Guide to Tropical Plants」P13
「Wayside Trees of Malaya」Corner P559
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