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2007年1月20日 (土)

クロトン

Codiaeum variegatum cultivars

日本でも観葉植物としてとってもポピュラーなクロトンちゃん。正直言って今回こんなにいっぱい発見があるとは思わなかったので、嬉しい驚きでした。

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クロトンって知ってますよね。シンガポールでは中国系の人たちのお墓にたくさん植えられています。公園や街路樹で使われることはあんまりなかったのか、クロトンを街中でじっくり観察することはあんまりないまま、月日が流れていました。

去年の7月にオープンしたシンガポール植物園のタングリンゲートの周囲には結構色々な種類のクロトンが使われていて、TOMがずっと気にかけていた「クロトンのお花」を観察することがようやくできました。

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で、遠めに見るとこんなん。「観葉植物」には「花は雌雄異株で総状花序に多数つくが、小さく観賞価値はない。」と書いてあるとおり、色鮮やかな葉に比べて、あんまり目立つものではありません。でも、そこまで言うほどかわいげがないとも思わないけどなあ…。

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でもって、だんだん拡大していきます。

いやん。かわいいじゃん。確かに小さいけど。直径1cm未満のお花でした。

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よく見るとオシベの奥の方に黄色い小さな弁が見えます。最近、気が付いたんだけど、こんなふうに黄色い弁や、輪っかが花の奥のほうにあるものって結構多いんだよね。それも小さめのお花。

以前、別のこう言うタイプのお花の小さな弁を舐めてみたら、甘かったことがありました。もしかしたら、「ここに美味しいものがあるよー!」という花粉を運んでくれる虫たちへのコマーシャルなのかも…って最近は思ってます。どう思う???

「お花がかわいいー」と騒いでいたら、変なもの発見。

むむ。これは何?

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2本に分かれている下のほうに伸びている花序は…、もしかしなくても雌花じゃん

ぱっと目に付く雄花で「花だー!」と騒いでいたけど、あのかわいいのは雄花だったのでした。

それにしても花っぽくないぞ、おまえ。メシベだけで、色もなくて、どうやって虫くんを呼んでいるの???蜜とかがどこかにあるの?不思議です。トウダイグサ科のお花はどうもアピールが弱いです。だって、この雌花だって長さも1cm未満。小さいの!!!

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話は飛びますが先日の話。 ラフレシアはトウダイグサ科だった!」の記事を読んだ方で、トウダイグサ科の花って普通はどんなん?って思った人もいると思うんだけど、こんなんです。ラフレシアとクロトン、この子たちのお花の共通項ってどこ????

一生懸命長年にわたって研究をしてきた植物学者たちが、ラフレシアをトウダイグサ科に入れることができなかった…という事実、本当に心底理解できます。花や実の形態から一生懸命調べていた人たちは、「生命の進化の妙」に先日のニュースで打ちのめされたに違いない…なんて、クロトンのお花をじっくり見ながら思っちゃいました。

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でもって雌花が受粉をすると、実がなります。左上が実の赤ちゃん。熟すと左のような実がなります。

クロトンは雌花の花序と雄花の花序が2本一組で出るのが普通のようです。クロトンを観察した時に、TOMは雄花ばかりを見つけたのですが、その横にもう実の段階になった雌花の花序が必ずくっついていました。

面白いことに、植物は雄花やオシベ先行のことが多いけれど、クロトンは雌花が先に咲いて、自家受粉を避け、先に実を成らせるようです。

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熟した実を割ってみました。3つの部屋に分かれて1つずつタネが入っています。おおーーー。この形は何かにそっくり!!! (友の会の人たちなら一目瞭然だよね)

楕円形のタネは長いほうで5mmくらい。小さいです。カワイイです。

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家に帰って、その何かの実と並べてパチっ!

ねね、そっくりでしょ。

右側が何かの実とタネで、左側がクロトンの実とタネです。同じトウダイグサ科というのがよくわかりますねー。

何か については近いうちにアップします。あまりにもアタリマエの基本の木で、紹介するのを忘れていましたぁ。

「観葉植物」には、「原産地がはっきりしないが、変異を生じやすいので、多数の選抜された園芸品種が、熱帯各地で生垣や庭園樹として広く栽培されている」と書いてありました。日本には観葉植物として紹介されていますが、お日様が大好きなようで、熱帯の直射日光の下で元気に育っています。原産地はどんな環境だったんでしょうね。知りたいなあ。

園芸品種がたくさんある…という言葉の通り、色々な葉の色、形のものがいっぱいあります。観葉植物の本を見るといっぱいパターンが載っているので、興味がある人は見てみてね。

トウダイグサ科 Euphorbiaceae

原産地: マレー半島、太平洋諸島、オーストラリア北部に15種(「観葉植物」)

Common name: Croton 、クロトン、クロトンノキ

資料:「観葉植物」山と渓谷社 P208

「1001 Garden Plants in Singapore」P90

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熱帯植物図鑑 (目次…時々更新中)

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