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2007年3月10日 (土)

ブログのお休みのお知らせ

いよいよ日本への本帰国が近づいてきました。

12日(月)に船便を出すためにこれからしばらくの間、我が家はPCがない状態に突入します。残念だけど、ブログも1ヶ月かもうちょっとお休みになります。

船便が新しい住所に到着してネット環境が整ったら復活しますので、また、遊びにいらしてください。この機会に昔の記事を少しずつ見ていただけると嬉しいな。始めの頃の記事は文も堅くて、写真も小さくて…。だんだんとノリがよくなって、言葉は話し言葉そのまんま、写真もどんどん大きくなってきています。笑えます。お暇な日はぽちっもよろしく!

5年間のシンガポール生活でした。面白かったー。素晴らしかった。人も自然も町もみんな。全てのものに感謝してここを去れることを本当に嬉しく思います。ありがとう!

それと同時に熱帯の自然の現状を目の当たりにして、もっと興味を持ってくれる人を増やしていきたいなという気持ちが自然と私の中に残りました。こんな素晴らしいもの、楽しいもの、みんなにもっと楽しんでもらいたいです。そしたら自然保護とか熱帯雨林保護とかきれいごとの上っ面なものに感じなくなるかも。TOMは少なくともそうだったから。

そして、最後に。みんなの楽しさの結晶が昨日、日本人会から出版されました。

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タイトルは「101 Trees of MacRitchie-マクリッチ自然保護区で出会う樹木たちー」。22ドル+GSTだそうです。

2002年から5年間マクリッチを歩いてきました。TOMは途中から参加させていただくようになりました。それらをまとめたものです。A4版 約120ページ ほぼオールカラーで、自然保護区で見る事ができる101本の木々に付いて宮下さんの素晴らしい写真と町田さんの素敵な文章でまとめられています。TOMはそれらがマクリッチの中でどこにあるのかを地図に落とす作業で参加させていただきました。この本があると、シンガポールの自然保護区で出会うことができる、でも滅多に出会えない花や実にまでも出会うことができます。

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シンガポール日本人会で今日から購入できるそうです。手前味噌ながら内容から言って22ドルは安いと思います。作ること、編集すること全部がボランティアで、印刷費のみだったこと(おまけにシンガポールだったこと)なんかで安くできました。

日本人会会員以外でご興味がある方は、直接日本人会へお問い合わせください。

たくさんの人に見ていただけると嬉しいです。

ではTOMはネット上からしばらくお休みのモードに入りまーす!おやすみなさい!

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2007年3月 9日 (金)

ゴクラクチョウカ(極楽鳥花)-2

Strelitzia reginae

極楽鳥花-2は極楽鳥花-1を読んでからお読みくださいね。

昨日は「ゴクラクチョウカのお花は爬虫類が花粉の運びやだったかもしれない、ちょっと珍しいお花かも…」って記事でした。

今日はその理由の説明です。

まず下の写真。ゴクラクチョウカのお花のメシベとオシベが入っている青い棒のように見える部分です。1つのお花に1本ずつあります。

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まじまじと今まで見たことが無かったので、おおー、こんな格好をしてるんだーと思いました。

青いお皿のような格好をしている部分から飛び出しているのが(写真の右側の白いの)どうもメシベのようです。

このままではオシベは見えません。どこだ??

メシベの先っぽを指で押してみました。

あ、なんか入ってる。なんか出てきた。花粉です。

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もっと開いてみます。

すっごいぞー。花粉だらけ。

オシベの先っぽから花粉が出てくるんじゃなくて、長い花粉が入っている袋があって、そこからどこどこ花粉がでてきているみたい。

この花粉、サラサラしていません。濡れちゃった小麦粉みたい。ちょっと粘り気もありました。

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上のものだと花粉がいっぱい過ぎてオシベの様子がわからないので、もう少し咲き始めのお花の先っぽを押してみました。

糸みたいなオシベが整然と並んではいっているのを見る事ができました。

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再びお花の全体像。蜜は右奥に入っています。

現在、原産地でゴクラクチョウカの蜜を吸いに来るタイヨウチョウ類は、この青い部分に「とまることはめったになく、花の側面にしがみついたり、上向きに広がったオレンジ色の花弁にぶら下がり、身を乗り出して蜜を吸います。ちょうど葯(オシベの花粉が入っている部分のこと)が飛び出してくるのを避けようとしているようなかっこう」なので、花粉は鳥には全く付かないのだそうです。(資料より)

じゃ、この子、ゴクラクチョウカは誰に花粉を運んでもらうためにこんな格好をしているの?

再び疑問に立ち戻ります。

そこで登場するのが爬虫類。人間が属する哺乳類よりも、鳥よりも早くに地上に出現した動物です。

爬虫類の中でもトカゲのような動物がこのお花の蜜を吸いに来たらどうなるでしょう?

青い棒のような部分に、よっこらしょと寝そべるようにのりかかると思いませんか?

そしたらどうなるでしょう?

葯が飛び出してきて、上の写真のように花粉がどこどこ出てきます。トカゲちゃんのおなかは花粉だらけ。

めでたく蜜を吸ったトカゲちゃんが次のお花に移動します。メシベは飛び出していますから、よそで付いてきた花粉はまずそこのメシベの柱頭に付きます。トカゲちゃんは新たな花粉をつけて、また別のお花に移動するという寸法。

おおーー、めでたく受粉完了です。すごいねー。

資料にはこんなふうに書いてあってこの項が締めくくられていました。

「ストレリチアはもともとトカゲを誘うようなかたちで進化をとげたのかもしれませんが、いつのまにかトカゲのかわりに、もっとすばやく蜜を吸うことのできるタイヨウチョウ(アフリカ~アジアの熱帯に分布する蜜食の鳥)がストレリチアにやってくるようになると、野生のストレリチアのほとんどは花粉を運んでもらえず、種子をつくることができなくなってしまったのです。」

今では野生ではほとんどタネをつけなくなってしまったゴクラクチョウカちゃん。人間が知らない進化の歴史のはるか昔の彼方には、ゴクラクチョウカちゃんの蜜を吸って生きていたトカゲがいたのかもしれません。ゴクラクチョウカのお花はそんな進化の歴史にまで思いを馳せられる秘密が潜んでいたのでした。

面白いでしょー!!!!

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今回、さらにTOMは発見。

花粉もベタベタしてるけど、お花の根元からこんなベタベタゼリー状のものが出ていました。トカゲが這い登ってきてここを通過するとベタベタのノリがおなかに付きます。さらに青い棒の上に乗って花粉が付けば、より確実に花粉はたくさんおなかにくっつきます

そのための仕掛けかしら…なーんてTOMの妄想は果てしなく広がっていったのでした。わはは。

資料:「植物の私生活」デービッド・アッテンボロー 山と渓谷社 P114

この資料、すっごく面白いです。読み物としても最高!定価は面白いのにたったの3200円。買って損はないよー。シンガポールにいる方は日本人会の図書室にあるのでぜひ読んでみて下さい。

ゴクラクチョウカ科 Strelitziaceae

原産地:南アフリカ

Common name: Bird Of Paradise , Crane Flower、ゴクラクチョウカ、ストレリチア、ストレリッチア

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ゴクラクチョウカ(極楽鳥花)-1

Strelitzia reginae

本帰国にむけてとってもバタバタ走り回っている日々です。PCを日本に送り出す前にブログはあと何回書けるかな?日本でネット環境が整い次第、再会しますので、またよろしくお願いしますね。(ペコリ)

10万アクセス突破…も ありがとう!嬉しいなあ。感謝感謝!!!

さて。ゴクラクチョウカこと、ストレリチア(orストレリッチア)です。

キャメロンハイランドで何回かきれいにお花が咲いているのを見ました。シンガポールではなぜかあんまり見かけないので、ここしばらくはあんまり気にしてもいなかったお花です。日本では切花や鉢花として売られているので、名前は知らないまでも、姿かたちを知っている人も多いですよね。

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全体の形はこんなんです。

葉っぱの形がヘリコニアやバナナに似ていて、確かにショウガ目の仲間なんだなーとわかります。

今回注目して欲しいのはお花!

というか、ある本を読んだ時に 「ゴクラクチョウカのポリネーターは爬虫類かもしれない」 ということが書いてあって、いつかゴクラクチョウカのお花を見る事があったら、実物をよく見てやろうと思っていたのでした。

ポリネーターというのは花粉の運び役のこと。

植物は生き残るために、多様な遺伝子を持つ必要があって、そのために花粉を作り、それを別の個体のメシベの柱頭に運んでもらって、新しい遺伝子の個体を作ります。

植物は一人では歩けないので、その役目を他のもの、例えば風や水などの無機物、虫や鳥などの動物にお願いしてきましたお花が多様な色と形を持つわけは、花粉をいかにして運んでもらうか…試行錯誤した結果なんです。

で。多くの植物が風や虫や鳥に花粉を運んでもらっている中、数としては多くないんだけど爬虫類に運び役を頼んでいる植物もあるんだって。

一般的にはゴクラクチョウカは鳥が花粉を運ぶと考えられているらしいんだけど、どうもそうではなさそうだという考え方もあるんだって。

何故って。鳥が花粉を運んでいるところを誰も見ていないんだって…。 (大笑!…なのになんで鳥がポリネーターって誰もが思ってるんだろう?人ってこういう思い込みをするところが厄介ですねー(苦笑)

確かに鳥は蜜を吸いにやってくるんだけど、花粉が体に付くようには動かない らしい。これでは花粉の運び屋としての役割は果たせません。

ついでに言うと、現在では自然の状態ではゴクラクチョウカはほとんどタネを付けないんだそうです。これはタネを作る能力がないからではなくて、人工受粉をしてやればタネができるんだけど、ほっておくとできないんだって。つまり、ゴクラクチョウカの場合、本来の花粉の運び役が現在その役目を果たしていないということを示唆しています。だからくだんの蜜を吸いに来る鳥たちは、ゴクラクチョウカにとっては花粉の運び屋ではなく、ただ蜜を盗みにやってくるぬすっと(盗人)ってわけ。

というわけで「本当の花粉の運び屋はなんなんだー?」という疑問がわいて来る訳で、「トカゲとかの爬虫類ではないか?」という話が出て来るわけなんです。面白いでしょ。

さて、下のがよく知っているゴクラクチョウカのお花の形。どこがどこだかわかりますか?

青い棒のような部分にオシベとメシベがしまわれています。

オレンジの色の部分は花びら(でいいのかな?)。下の写真の部分全部が1つの花というわけではなく、写真下のほう(包?ごめん、正しい漢字が出てこないよ…)の部分から次々の新しい花が出てきて、全体としてこんな形になっているようでした。下の写真では、古いお花が右側に反り返るようにして2個あり、一番新しいお花が左側に1個あって、合計3個のお花があって、こんな形になっています。(1つの花につき1本ずつ、青い棒のようなものがある ので、判断できるんだけど…わかる?)

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わかりやすいように一番咲きはじめのお花が1つしか咲いていないものの写真です。古い花がないから、反り返ってるものがないでしょ。だから1つのお花の形がよくわかりますよね。

たぶん古いお花は受粉能力は無くしてしまっているんだけど、古いお花が残って色の量を多くすることで、 花粉の運び屋の目により付きやすいようにしているんだろうな。

ああ、もう時間切れ。思ってたより長くなっちゃった…。」続きはまた明日にでも。

ねね!

すっごくゴクラクチョウカのお花に興味が出てきません?? (続く)

資料:「植物の私生活」デービッド・アッテンボロー 山と渓谷社 P114

ゴクラクチョウカ科 Strelitziaceae

原産地:南アフリカ

Common name: Bird Of Paradise , Crane Flower

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2007年3月 2日 (金)

モッシーフォレスト

キャメロンハイランドのオプショナルツアーでよくあるのが、

グヌン・ブリンチャンに登る⇒モッシーフォレストトレッキング⇒ボーティーファクトリーあたりで半日ツアーというもの。

ちゅうことはツアーでなくても同じコースを楽しめるはず。おまけに自分達のペースで…。ふふ。

グヌン・ブリンチャンに登る」は、どうもツアー用の車の動向を見ていると車で峠まで行って、見晴台に上ってくるといものらしい。見晴台はこちらを見てね

ではモッシーフォレストは?

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峠をちょっとくだったところに車をとめられそうな広場がありました。ココか???

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大当たり。この階段を上るとトレイルがあります。

この写真はかなり霧が出ていますが、TOMたちが森に入った時点では、曇っていたもの霧は出ていませんでした。

専門のガイドがいる場合は良いかもしれませんが、素人が自己責任で森に入るときには、霧が濃いときには入らないようにした方がいいです。

TOMたち家族は、家族だけでこのトレイルに入りましたが、道がかなりぬかるんでいて、おまけにわかりにくく、ともすると迷ってもおかしくない道でした。でもその時は周りが明るくて見通しがよく、トレイルが続いているのが見渡せたので進みましたが、ここまで霧が出てしまうと危険な感じがします。

時間としては30分~50分行って見切りをつけて戻ってきましたが、あれやこれやを見つけてはしゃぎまくるTOMと子どもなので、実際に進んだのはほんのわずかな距離。帰りはあっと言う間に戻ってきてしまいました。

帰りはかなり霧が出てきて、森を戻ってきたら、あたりはこんな風だったわけ。時間は まだお昼前です。

だからとっても素敵なトレイルだけど、十分気を付けて入りましょうね。

このトレイルは入るとすぐに木の根をまたいだり、色々な関門がありました。だからあまり小さな子どもには不向きで、小学校高学年以上のグループの方がベターだと思います。

前書きが長くなりましたが、階段を上ってほんのすぐ先はこんな世界でした。

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うおー、すごい!

想像以上!

本当にモッシーフォレスト(苔の森)だよー。

29_2

写真では何回も見てきた熱帯雲霧林。実際はどんな場所なんだろうと思っていましたが、写真の通りの世界が目の前に広がりました。

子どもは「もののけ姫の森みたいーーー!」と感動しています。

森の精霊が出てきてカタカタと歌っても何の違和感もなさそうな場所に、TOMたち家族は立っていました。

すごいよー。

どんな写真を載せれば、この素晴らしい風景をお伝えできるんでしょう? TOMにはとても出来ません。

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33_2

熱帯雲霧林は世界中の色々な場所の中で、ランの種類が一番多い場所とも聞いていました。でも見つけるのはこんなのばかり。ランのお花にはめぐり合えないのかな?と思っていたら1輪だけ見つけました!

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なんというランなんでしょう?TOMにはわかりません。

苔むした枝にこんな風に咲いているラン。どんなハイブリッドよりもTOMにはきれい!って思えました。

1輪しかなかったということで、株がないかと言うと、そんなことはありません。こんなのがあっちこっちの苔の間にくっついています。お花は咲いていないけど、きっとラン。どんなお花が咲くのでしょう?

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歩いている途中で、晴れたときに見た風景。

晴れていれば山の峠でももっと素晴らしい風景が見れたんでしょうね。32_3

くどいけど、もう1枚。

31_3

明日からはこの森で出会ったお花たちです。

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2007年3月 1日 (木)

グヌン・ブリンチャンの峠の植物-3

峠の植物、最後です。

いやもう撮った写真をそのまま丸投げじゃー。

26_3

TOMたちが行った時、最初はまだ良かったんですが、しばらくするとあたりの様子はこーんな感じで、霧が立ち込めてきました。

熱帯雲霧林って言葉を知ってますか?赤道直下では普通は気温が一年中暑いと思われていますが、それは低地でのはなし。

赤道に近くても山に登ると、日本と同じように低地よりも気温が下がって、暑い気候ではなくなります。

TOMたちが行った時も、キャメロンハイランドはむしろ寒いくらいの気候で、持って行った長袖をめいいっぱい着込んだのでした。

で。

赤道近くで山の上だとどんな気候になるのかと言うと、1年中涼しい気候の、常春(とこはる)状態になるわけです。そんな場所では朝や夕方は濃い霧が立ち込めるのが常。

そういう森を熱帯雲霧林と呼ぶのだそうです。

キャメロンハイランドの森はそういう森だよ…とは聞いていたのですが、まさにグヌン・ブリンチャンの山頂あたりはその通りの森でした。(反対にホテルの近くはそんなでもありません。高い山に登ると出現してくるようでした。)

朝に夕に霧が立ち込める森がどんな状態になるかと言うと、こんな感じになります。木の幹とかに びーーーっしりと苔がくっついています。」苔が美しいわー!

22_3

次の何枚かは、トレイルの両側にひっそりとあった植物たちです。

 

23_3ピンク色がなんてかわいいの!

長めの方が2cmくらい。

こういうところの植物は毛がはえたような葉っぱが多いんだけど、これも例に漏れず毛がくっついていました。

25_3

これはクフェア。え、何で?こんなところに?

TOMも思ったよー。

原産地ははるか遠く、中米方面だから、誰かの靴にタネがくっついて運ばれてきていたのかな?と思いました。

それとも意外なことにこの地方の原産の木??まさかねー。

24_4 こんなキノコもいました。

他の植物と同じように苔の中から生えています。

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こんな感じでグヌン・ブリンチャンの峠で見た植物はおしまい。明日からはmossy forestの中で見たものたちを紹介していきます。

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