ブラジルヤシ
Butia capitata
ブラジルヤシは以前もアップしたことがあるんだけど、写真の整理中に雌花を撮っ てるのに気が付いたので編集して再アップ。
シンガポール植物園のパームバレーにあるヤシ。国立ラン園入り口に向かって右側がパームバレーなんだけど、国立ラン園側から階段を下りて、すぐ左にある小さな青緑色の葉のヤシがコレです。
葉のアップ。鳥の羽状の葉っぱで、軸についてる部分が逆V型についてるのがわかるかな?(内輪受けのネタでごめん)
ご覧の通り、白っぽくてきれいです。
パームバレーの株は2mくらいの高さなんだけどこれは幼木で、もう少し大人になると1本立ち になって伸び、高さ6m、幹の直径45cmくらいになるんだそう。45cmってけっこう太いよねぇ。
羽状葉のヤシとしては最も耐寒性が強く、マイナス7℃まで耐えられるなんて書いてあるサイトもありました。本当かな?そんなに寒いところでも大丈夫というイメージが、ヤシには無かったのでビックリ。だったら東京あたりならかるーく屋外で越冬できますねー。青色の葉が美しいし、造園材料にもいいかも。
花のまとまりは葉の付け根部分からこんな風にでてきています。
下の写真はつぼみと咲いてるお花。
つぼみがほんのり赤っぽくて可愛かったです。長さ5mmくらいかな?例によって無意味なほどにアップしてごめんなさい。
だって可愛いんだもん。
ブティア(Buteia)属は雌雄同種。
葉っぱの間から出る肉穂花序は花軸の基部に近いほうにはトリアド型(Triad)の花群、先っちょには雄花が2つか1つずつつくんだって。
「トリアド型の花群」ていうのは雌花1つと雄花2つが(1つの雌花を2つの雄花が取り囲んでいる)セットになったもの。
本で確認はしていないんだけど、トリアドタイプのはまず先に雄花が咲いて、それらが終わった後に雌花が咲く感じなので、雄花か雌花のどっちかが咲いていると、もう一方のお花は同時には見られないみたいです。
で下の写真はトリアドタイプなんだけど雄花が咲き始めるところで、雌花のつぼみはまだ小さくて写真ではよくわかりません。
お花の超アップ。指のしわしわまで見えるわ…。
メシベが1本あるように見えるけど、これは雄花なのでこれはメシベが退化したもの。先が3本に分かれているのが見える?ヤシって退化してもこんなふうになってるメシベが多いんだよね。面白い。子房が3室ってのもこれから想像できます。
オシベは6本。花びらは3枚。隠れているけど、ガクが3枚あります。
その後雌花を発見しました。
上の写真をアップ。
一見つぼみみたいに見えるけど、3つに先端が分かれているメシベが出ていて、これでも咲いてる状態なんだなってわかります。
トリアドタイプの雄花はもう完全に終わってしまっているので、痕跡も残っていない感じ。
同じ株を観察していなかったら気が付かなかったことでした。
お花の大きさは雄花、雌花共に1cm弱。
実は下の写真のようなオレンジ色の大きさ2.5cmくらいの実がなりました。この実は食べられるそうです。(このサイトを見て何かを口にするのはやめてーー。熱帯植物は毒のものが多いから生半可な知識で何かするのはとっても危険です。)
資料には「中果皮は肉質、果肉は酸味があり、ゼリー用となる」とありましたよ。
ゼリーパームやワインパームの名前は、こんなところから来ているんでしょうねぇ。
ブティア属はブラジル、パラグアイ、アルゼンチンに約12種類あるのだそうです。
姿が似ていて混同されるヤタイヤシは、同属の Butia yatay で原産地はアルゼンチン、パラグアイ。資料によると羽状葉や花序、実の大きさもブラジルヤシより一回り大きいみたいです。
日本ではヤタイヤシとブラジルヤシを交配したものが出回っていて、まとめてココスヤシと呼んで流通しているそう。
ヤシ科 Palmae
アレカヤシ亜科 ココヤシ連 ココヤシ亜連(Arecoideae Cokoeae Butiinae)
原産地:ブラジル
Common name: Jelly Palm, Pindo Palm , Wine Palm、ゼリーパーム、ワインパーム、ブラジルヤシ、ココスヤシ
資料:「1001 Garden Plants in Singapore 」 P246
資料:園芸植物大事典 小学館 P118
ヤシも可愛いじゃんって思ってくれたら…ぽちっ!
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コメント
ヤシマニアです。30-40種ほど育てています。ヤタイヤシは日本で普通に植えられていますよ。
投稿: west | 2006年6月11日 (日) 12時12分
westさん
いっぱい育ててますねー。スゴイ!ヤタイヤシ、東京近辺の公園とかにもいっぱい植えられているんですか?全然気がつきませんでした。うーん、勉強不足。今度日本に帰ったら探してみよう!情報ありがとうございました!
投稿: TOM | 2006年6月12日 (月) 02時38分