トックリヤシ
Hyophorbe lagenicaulis
トックリヤシの名前は全体の形を見ればすぐ理解できますね。英名はBottle Palmで、トックリヤシの名前はこれを訳したものかもしれません。
左の写真は2本の株がくっついているように見えますが、本来は1本でたっています。根元の部分がプックリ膨らんでボトルのよう。一度見たら忘れません。
ヒオフォルベ(Hyophorbe)属は、モーリシャスに5種類が分布し、このように1本立ちで、そのうちの1種類だけがこんなふうに根元の部分が膨らむのだそう。高さは10m以下、径25cm以下とありましたが、シンガポール植物園の株は高さがせいぜい5m以下でした。大人になるともう少し大きくなるのかな?
花序は葉っぱの間ではなくて葉っぱの下のほう、葉鞘の落ちたところにホウに包まれて出てきます。左の写真だと左下から右上に斜めに延びている棒です。ホウが取れて花序が出てきます。
花序の様子は下の写真みたいな感じ。
資料によると この属は雌雄同株。「小花軸の基部に雌花、先端部に雄花をつける。」とありました。
左の写真はつぼみの写真。
残念ながら雄花の写真は発見できず。PCのどっかに眠ってると思います。見つけたらあらためてアップするね。
「1001」P479には雄花らしい写真が載っていました。こちらのサイトで雄花が見られるかも。
で、こっちが雌花。かわいい!子房がけっこう膨らんでいてメシベが3つに分かれています。受粉前はこんな風に透明に近い白。子房の周りに花びらみたいに見えるのは、退化したオシベ。基部でくっついて杯状になっているそうです。その周りのごっつくて分厚いのが花びら。ほんのりピンクなのがなんともういういしい!ガクはこの写真ではちょっと見えないです。
花を下から見た様子。あ、ガクが見えた。わかる?
TOMが騒ぐんだから例によって数mmの小さなお花。TOMの巨大な指と比べてみて。
ヤシのお花って小さくて目立たないものが多いんだけど、今が盛りって時は背が高いヤシでも多少離れていてもわかります。だってハチみたいな小さな虫がモアンモアンしてるんだもん。ブンブンって表現だとミツバチくらいなイメージがあるんだけど、もっと小さめのハチあるいは甲虫かな。静かに花序に群れてるの。TOMがヤシの花に敏感なせいかもしれないけど、小さな虫達が騒いでいるのを感じて、見上げるとヤシの花が盛りだったりするのです。種類によってはけっこうよい香りがしたりして、花は小さいながらも自己主張が強いのだよ。色も白だったり、クリーム色だったり、ピンクっぽくても強烈な赤みたいなのは実にはあっても花にはないのに、よく虫達はお花に気がつくなあと思います。
ヤシは風媒花と一般には考えられてきた…と本にはよく書いてありますが、ヤシを観察してると、必ずといっていいほど、花が咲いているときには虫がいっぱい来てる。どうして風媒花って考えられているんでしょう?ってくらいに虫ちゃんとの関係は深いように思えます。
話がずれちゃったね。
左の写真は雌花がもう受粉を終えた後。メシベの先っちょが黒くなって子房も緑に変化しています。
左の写真だけじゃなくて上の写真もなんだけど、雌花の咲いてる脇になんか米粒みたいな細長い黒い斑点があるよね。TOMはこれは雄花が咲いていた痕じゃないかなと思うんだけどどう思う?
資料にはこの属は「小花軸の基部に雌花、先端部に雄花をつける。」とあったけど、どうもこの子は違うような気がする。雄花が咲いてるところを見ないとなんとも言えないんだけど。まず雄花が咲いて、その雄花群の中に雌花が雄花より少ない量であって、その後、雌花が成熟して小花軸にポツポツ咲くって感じに見える気がするんだけど、どうなんだろう?ココヤシのように明確に根元が雌花、先に雄花と明確に分かれているようには感じないんだけどなぁ。誰か雄花が咲いたら、お願い!写真を撮ってTOMに見せてーーーー!!!!
上の写真をもう少し広範囲にしたもの。受粉が終わった直後かな。花びらはまだくっついたまんま。でももう虫は来ていません。
こんな感じの実がなります。熟すと色が変わるのかどうか、何色に変わるのか残念だけど観察できていません。実も最終的にどんな大きさになるんでしょう?
下は花序ごと実を撮ったもの。あんなに沢山の雌花が咲いても実になるのは少ないですねぇ。
意味も無く雌花。やっぱかわいい。メシベの色が最初とちょっと変わってきています。
ヤシ科 Palmae
ケロクシロン亜科 ヒオフォルベ連 Ceroxyloideae Hyophorbeae
原産地:Mascarene Islands
Common name: Bottle Palm
資料:園芸植物大事典 小学館 P112
ヤシも可愛いじゃんって思ってくれたら…ぽちっ!
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