ワイルドペッパー
Piper sarmentosa
(昔に書いた記事の追加リメイクです。)
上の写真を見てくださいね。緑の葉がつやつやしてきれいでしょ?
シンガポールでは街路樹の下や、公園の木の下などで頻繁に見かけるグランドカバーです。シンガポールに元々あった草なので、気候もあっていて強い強い!
高さはせいぜい50cmくらい。暗い場所にかなり強いらしく、他のグランドカバーが弱っているような場所でも、ワイルドペッパーだけは青々と美しい葉を茂らせています。
白いのは「花」…かな?「つぼみ」…かな?この白い塊の長さが1cmくらい。たぶん1つ1つの粒々が花の部分だと思います。小さすぎてね、いつ花が咲いているんだか全然わかりません。
花が終わるときちんと受粉できたお花だけ緑色の粒々に成長します。最終的には黒い粒々になります。
ワイルドペッパーの名前からもわかるようにコショウの仲間ですが、この子から私たちが香辛料として使うコショウは取りません。
ただ、昔から薬として使われてきたようです。この葉を頭に湿布して子どもの頭痛の薬として使ったり、根っこをベテルナッツと一緒に噛んで、喘息とかしつこい咳の薬として使ったり…そんなこと資料には書いてありました。
シンガポールやマレーシアの田舎では野菜として使うそうです。話を聞いて、私も食べてみました。ちょっとぴりっとするけれど、慣れてしまえば嫌な感じではないのでは?って思いました。庭のシソの葉を食べるとかなりの刺激があるでしょ。風味は違うけどあんな印象でした。
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さて。ここまでのくだりが前に記事をアップしたときのもの。その後、花の謎にはまり、ワイルドペッパーを見るたびに花に張り付いていました。でもなかなかわけがわからなくて…。今回はTOMが観察して、「こんな感じかな?」と思った結果を書いときます。「違ってるぞー」とわかる方は、ぜひぜひ遠慮なく教えてください。
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コショウの仲間は被子植物の中でも古い部類に入る植物なのだそうです。朝日の「植物の世界」P9-50には「どうやらコショウ科は被子植物のなかでは非常に古くに分化した特殊な群であるらしい。」とあって、コショウ科とドクダミ科は近い関係にあり、モクレン亜鋼の一群に含まれるらしい…とありました。そう言えば、いわゆる花びららしいものがなくて、ものすごく小さな花がぐちゃぐちゃとまとまって付いている様子は同じです。そんな観点でお花をよーく見てみることにしました。
花序全体がせいぜい1cmくらいの長さ。太さは5mmかそこら。そこに見えるボツボツが多分、1つ1つの花だったりするんだろうなあ。両性花なんだろうか? それとも雄花、雌花が別々なんだろうか? わからないことだらけで、最初は何がなんだかわかりませんでした。
一番よく目にしたのはこんなん。何でしょ?どうやら、これらの1つ1つが実の赤ちゃん(子房)のようです。…ということは、この1つ1つのふくらみの上のバッテンみたいな黒い模様は、メシベの柱頭だったところみたいですね。多分、受粉が終わって、さぁ、実を大きくしていくぞーといった感じの段階のようです。
ね、実が大きくなってもバッテンみたいな模様の名残があるでしょ。
上の状態がメシベが受粉を終えた後なら、メシベが成熟して、まさにお花が咲いている状態の時があるはず…と思って、探し続けました。
見つけたのが左の写真です。
メシベの先端がきれいに3つ(かな?)に割れて、虫さん来て来てーーと呼んでいるよう。(虫媒花かどうかもわからないんだけど)
でも、どんなに探しても花粉らしきものを見つけた花序を見つけることができません。
もしかして、これは雌花?
雄花はないの?
そうこうしているうちに、ちょっと形が違う花序が時々あるのに気が付きます。あれ?これがもしかして雄花???
もしかして花粉が出てる??
いつも見ている雌花がいっぱいくっついている花序よりも細くて長い感じです。
ぼこぼこした感じもいつも見ているのとなんとなく違うような感じがぢますが、目で見ている限りは何がどう違うのか全然わかりません。
でもなんとなく花序の下の方から上のほうに咲きあがっていく感じがします。
ぼこぼこした感じのところにあたりをつけて拡大。なかなかピントがあった写真を撮ることができなくて苦労したけど、これならわかるかな?
葯が出ています!!!やった、これが雄花だよーーー!やっぱり花びららしいものはありません。
もう少し咲き進んだと思われる部分の拡大です。花粉を出し終わった葯が黒くなっているのがわかります。
上のほうの写真では葯の中の花粉が見えるんじゃないかなと思うんだけど…。
もうすっかり咲き終わってしまった部分。あれ?この丸と言うか、六角形と言うか、このお花みたいなのは何?いわゆる花のほうみたいなものなのかしら?
不思議に思って雌花をもう一度よく見てみると、ありました。同じもの。
左の写真でわかるかな?いくつかの子房にまたがってある丸くて薄い膜みたいなもの。
これ、なんだろう?
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わかんないなあ…と思いつつ、写真を整理していたら、中にあったつぼみの写真。
あ…これって…。
この鱗(うろこ)状のもの。これじゃない???
で、これが何かはTOMにはホウかなぁ…くらいしか思いつかないんだけど。どうでしょう? ご意見がある方、知ってる方はどうか教えてください。
何気なく見ているワイルドペッパー。なかなか深い、お花の世界がありました。
そうそう。この子はどうも雌雄異株のよう。だからあんまり雄花を見られなかったんですね。
花粉を運んでいるのが何者なのかもよくわかりません。きっと小さな虫かなんだろうなと想像しています。
コショウ科 Piperaceae
原産地:シンガポール、マレー半島 ボルネオ島 ジャワ島
Common name: Wild Pepper, Chabei. Kodak,ワイルドペッパー
資料:「A Guide To Growing The Native Plants Of Singapore 」P109
「1001 Garden Plants in Singapore 2nd Edition 」P370
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