クスノキ(日本)
Cinnamomum camphora
5月中旬頃からしばらくクスノキのお花が咲いていました。
日本に前にいたときは、クスノキの花なんて興味がなくて、今回見たら「あれれ?」。
…そう言えばご親戚だった…。
シナモンをまとめようとしていた矢先だったので、「丁度いいや」とクスノキちゃんを先にアップして、交通整理です。
というのは、TOMの中で「ニッキ(肉桂)と言われる、子どもの頃に食べたお菓子の中に入っている香料」と「シナモン」はどんな関係にあるのかが、ハッキリしていなかったから。
あと、クスノキから作られていたと言う樟脳についても。
じつはクスノキちゃんを含むクスノキ属は Cinnamomum と言います 。要するにスパイスのシナモンの仲間達で、この仲間は香りがよくて色々に使われているらしいんです。
で、クスノキちゃんからは樟脳が採れるので昔から植えられてきました。
樟脳は根や幹、枝葉を蒸留して採取します。英語で「カンファーcamphor」、医薬上は「カンフル」。古代エジプト、ギリシャの時代から薬用、宗教上の儀式に用いられ、現代でも殺虫剤、医薬材料、工業原料として昭和30年代までは生産されていたが、今は合成樟脳にとってかわられているとのこと。
なるほどなるほど。やっぱ、クスノキちゃんから作っていたのね。雨が降った後なんかにクスノキちゃんの近くに行くと、樟脳っぽい香りがすごいものねぇ。
樟脳はクスノキを蒸留して作るけれど、シナモンは樹皮を丸めて作るんだね…。
下はクスノキの葉っぱ。縦に3本の葉脈が通っていて、シナモンに良く似ています。
あと、シナモンとニッケイとケイヒの違いってなんかあるのかしら?
そもそも違うものなの?
朝日の「植物の世界」に書いてあったのは、こんな感じ。
C.sieboldii ニッケイ(肉桂)、シナニッケイ:根の皮に特有の芳香を持った辛味と甘味があり、芳香性健胃剤や菓子の材料にする。(中国南部、インドシナ半島原産)
C.verum または C.zeylanicum. セイロンニッケイ:いわゆるシナモンを樹皮から作る。
C.cassia ケイヒ(桂皮)、カシア:樹皮を桂皮と言って、薬用やシナモンの代用とする。(インドシナ半島原産)
C.japonicum ヤブニッケイ:日本の森にある木。ニッケイに葉などがよく似ているが、葉の香気は乏しい。
ほぉーー。そもそも木から違ったのね。長年の疑問がすっきりして嬉しいです。そもそもインド産のシナモンの代用品としてケイヒもニッケイも使われたってことなのかな??それが日本ではお菓子とか薬に使われてきたのかな?
話が横道にずれてしまいました。詳しくはシナモンの回で。
クスノキちゃんに戻ります。現代では街路樹や公園、神社仏閣などでよく見られるクスノキちゃんですが、自然の状態では関東以西のカシ類、シイ類などの照葉樹と混じりあって生えています。まれに純林状になることもあるそうです。
ワイルドシナモンのお花そっくりなクスノキのお花はこれ。お花だけアップで見せられたら、TOMはクスノキかワイルドシナモンか見分けがつきませーん。
1つの花は直径5mmにも満たない両性花でした。かわいいーー!
クスノキ科 Lauraceae
分布:日本の関東地方以西、韓国済州島、台湾、中国南部、インドシナ半島…しかし、古くから栽培されてきたので自生の範囲ははっきりしていない
資料:朝日「植物の世界」P9-74
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コメント
さすが、TOMさん!
視点もまとめも見事ですね~!
ワタシもずっとクスノキ気になってました。
お花の写真もたくさん撮ったのに、いまいち良くない・・・。
オマケにワイルドシナモンのお花もあまり良く撮れたものがない・・・・_| ̄|○・・・・縁がないのかしら?(笑)
「ホウショウ(芳樟)」ってのもありますよね。違いが全くわからないの。
樹皮と葉の付き方でわかるって書いている方もいらっしゃるんですけどねぇ。。。。。
投稿: hal | 2008年6月 2日 (月) 16時08分
こんばんは。
クスノキってシナモンの仲間だったんですね。
知らなかった。そして花が最近咲いていたことも。
近所の木をヨーク見てみます。
camphorといえば、Oエリアのボルネオカンポールを思い出します。香りのある木って日本にもあるんですね。
とっても灯台元暗しな気分です。
ところでクスノキといえば、やっぱりトトロにでてくる
大きなクスノキがイメージです。あんなのが神社には
あるんでしょうね。
投稿: arai | 2008年6月 2日 (月) 23時44分
halさん
資料を見れば見るほどわけがわからなくなってくるシナモンちゃんの歴史です。今後の記事にこうご期待!
投稿: TOM | 2008年6月 3日 (火) 07時40分
araiさん
資料によると日本最大のクスノキは鹿児島県蒲生町にある蒲生の大樟で、高さ30m、目の高さの周囲24.2m、推定樹齢は800年以上なのだそうです。
http://www.asahi-net.or.jp/~mr5t-tr/kyoju2-2.htm
でも樹齢は負けたけどカルカッタのベンガルボダイジュはもっともっと大きいねぇ。(笑)
投稿: TOM | 2008年6月 3日 (火) 07時57分
おお、ヤブニッケイ、懐かし〜。
子供の頃に山に遊びに行くと見つけては香りを楽しんでました(^^)
なるほど、ニッキとシナモンはそういう関係だったのですね。
私もスッキリしました!
投稿: パパイア牛乳 | 2008年6月19日 (木) 09時04分
TOMさん、シンガポールのアオスジアゲハはシナモンの葉っぱが主食です、日本では楠の葉っぱが主な食樹なのに!
投稿: blair Rd | 2010年3月26日 (金) 13時52分
blair Rdさん
やっぱり所変われば何でしょうが、ちゃんとお仲間を好むところがスゴイところですね。日本でも似たような例がいっぱいあるそうです。蝶の食草がなくなって、絶滅しかかっていたのが、外来種の仲間の植物を食草にするようになってがぜん復活してきた蝶とか…。
投稿: TOM | 2010年3月26日 (金) 14時11分