Tacca leontopetaloides (Tacca pinnatifida)
今回は実際に見たわけではないので写真なしでGO。
ブラックリリー、つまりタッカの仲間は1科1属と言われていて、その科名は「タシロイモ科」。(朝日の「植物の世界」では2属10種としている)タシロイモと言うからには芋なんだろうけれど、TOMはスーパーとかでお目にかかったことも無いし、日本でブラックリリーみたいな奇妙キテレツなお花の植物が畑に植わっているのを見たこともない。
だから調べてみました。
まずはウィキペディア。でもタシロイモではなくて、ブラックリリーも含む「タシロイモ科」の記述。日本語でネット検索するとほとんどがこちらからの引用。なのでとりあえずコピペで紹介。(だってウィキはそのまま項目にリンクできないんだもん)
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タシロイモ科 (Taccaceae) は単子葉植物の科で、タシロイモ属(Tacca、ただし一部をSchizocapsa属として分けることもある)の31種ほどからなる。世界の熱帯に産する。
地下にはいも(根茎)があり、葉はサトイモ科のスパティフィラムなどに似て幅広く、根元から叢生する。花は6枚の花被をもち、茎の先に散状花序をつくる。花序は苞葉で包まれる。
東南アジア原産のタシロイモ(田代芋、T. leontopetaloides:中国名は「蒟蒻薯」)などは、いもからデンプンを採るために栽培される。田代芋の名は、これを台湾から日本に初めて紹介した植物学者、田代安定にちなむ。
またクロバナタシロイモ (T. chantrieri) は、ブラックキャット・バットフラワーなどの名(黒い苞葉とひげ状突起が、黒猫やコウモリを思わせることから)で観賞用に栽培される。
ヤマノイモ科に近縁である。
APG植物分類体系ではヤマノイモ科に入れるが、2006年現在は独立の科としている。
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とまあ、こんなん。イモを食べるんだ。やっぱり。田代芋のタシロは人の名前だったのね。
でもさ。シンガポールで食べたことないなあ…。
「ハワイ魅惑の花図鑑 熱帯・亜熱帯の花1000種」ではカヌープランツの1つとして紹介されていました。
カヌープランツっていうのはこんなん。
上記資料のP48には「古くポリネシアンが風や潮の流れ、星を頼りにカヌーで初めてハワイへ移住した。そのときに持ってきた29種の植物が知られている。彼らは食料、医薬、灯火、繊維、生活用品の原料植物を計画的に持ってきた。」と説明がありました。
ふむふむ。で、食べるの??
「救荒食料」…とある。
食べるけど…普段は食べないんじゃん!!
救荒食料ってのは飢饉のときに食べる植物。普段は加工が面倒だったり、毒があったりで食べないんだけど、食糧難がやってきて食べるものがいよいよなくなると手をつける食料として昔の人が自分達の周りに植えていた植物。
日本中の田舎のどこでも見かけるヒガンバナは3倍体でタネをつけないし、日本原産でもない。だけど、今みたいに日本じゅうに広がった理由として、救荒植物として広がったからという説があります。所変われば救荒植物は変わるので、シンガポールではクワズイモが昔ながらの民家跡にはどこにでも植えられていました。昔の人は本当にイザという時のための備えをちゃんとしていたらしい。偉いよね。(今の日本にその施策はあるのか??国民として不安…)
で、ポリネシアンはタシロイモを救荒植物として導入したと…。
あ、なんか面白くなってきたぞ…。
塊根、つまり芋からデンプンが取れるので、英名では「ポリネシアン・アロールート」と呼ばれるそう。アロールートとはクズウコンのことでやはり芋を食べる植物。
で、TOMが見つけた中で一番良かったページがこちら。
http://www1.plala.or.jp/maui/starch/arrowroot.htm
親ページも良かったので、こちらも行ってみて。
このページにあった記述は「芋の肉質は、しっかりとして白い。苦味成分を含むため、擦り潰し、水に晒し、デンプンを沈殿させる作業を繰り返して、デンプンのみを取り出す。乾燥に強く、地味の貧弱な珊瑚島でもよく生育する。」
あと、朝日の「植物の世界」には「タヒチのアロールート」とよばれ、デンプン材料として、かつては太平洋の島々で広く栽培されていた。偏球形の塊茎は、苦味と毒性のあるタッカリン(taccalin)を含有し、食用にするには注意深い処理が必要である。」とありました。
あ、やっぱり食べるのに結構手間がかかるんだね。だから普段はもっと加工が簡単なものを食べて、飢饉とか食べるものがなくなったときに食べるんだ…。納得、納得。
原産地は「分布域が広く旧熱帯の全域で見られる」とあり、「熱帯アジアや海岸の植物群落の中でよく目立つ」と資料にはありますが、昔から食べ物として利用されてきたようなので、実際のところの最初の原産地はどのあたりなんでしょうね?
タシロイモ属の果実は「肉質の液果」なんだそうで、そうだとすると、いくら海岸線に生えていたとしても、通常のマングローブ植物のように海の流れにのって運ばれて広がるタイプには思えないんだよね。だから人間が食料として広げたのかなと思うんだけど…。
で、果実についての記述がないか調べてみると、こんな記事をのっけてるサイトが。
http://pub.ne.jp/coerulea/?entry_id=613779
「タッカ・シャンティエリ ( Tacca chantieri Andre, 1901 ) は優秀な個体で戦後型です。戦前型は、花が葉に隠れそうな感じで咲く。 オマケに、花の数が少ないんでつ。 多くの植物園で植えられているモノはたいがい戦前型。 昨今、販売されているモノはここ10年の間に東南アジア経由で国内に持ち込まれたモノ。 コヤツの果実は白い清らかな身にキウイの様な細かいタネが混じった感じで、とても甘い香りがします。ちゃうどアップルと蜂蜜を混ぜた感じかな? 味は割とサッパリしながらも甘かったです。毒があるかは知りません。一個喰っただけでは、オジサンはしにませんですた(笑) 」
とあって。爆笑。(勝手に引用してます。今から許可をもらいます~) 芋には毒があるが、どうやら果実は動物に食べてもらって運んでもらうタイプのように思えますねーー。
その他にタッカの育て方を書いたサイトを発見。
http://studio-gnome.net/Tacca.html
こちらにも「Taccaの果実は液状なので、乾くまではドロドロです。」とあります。
上記はシャントリエリについての記事ですが、果実に関してはタシロイモについてもそんなに大きな違いはなさそうです。
で、実際タシロイモってどんなん?って知りたくなったらこちらへ。英語だけど画像も多くてGOOD。残念ながら芋自体の写真は見つからず。ヤマノイモに近いと言うから、自然薯か長薯みたいなのかなあ…。
グーグルの画像集はこちら。変なのも混ざっているので要注意ですが。
タシロイモの葉柄からは繊維が取れて、帽子や魚網に使われるそうです。食料にも繊維にも使う…。とっても便利な、熱帯の植物らしーい子ですね。
資料:ハワイ魅惑の花図鑑 熱帯・亜熱帯の花1000種
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