オニソテツの仲間
Encephalartos hildebrandtii
ソテツの仲間は原始的なだけに何そそられるものがあって、新しい子に会うとドキドキしてしまいます。
シンガポール植物園の進化園にはソテツ園なるものがあって、けっこうな種類のソテツをコレクションしています。
TOMがいた当時はまだ整備が終わったばかりで、ソテツの名札もあんまりちゃんとついていませんでした。なので、名前が付いている子は貴重です。
ソテツの仲間と言っても、この子はザミアの仲間。
ソテツ目はソテツ科とザミア科とスタンゲリア科の3科からなり、ザミア科は8属からなります。
マツの球果をラテン語で「azaniae」と言うそうで、そこからザミア属の名がつき、科の名前になったのだそう。
ザミア科は雌雄異株。ふつうは男の子と女の子で球花の大きさはかなり違っているけれど、基本的な構造はよく似ていて、中央にある軸とたくさんの胞子葉からできています。
ちょっと離れたところからしか撮影できなかったのですが、拡大した感じだと、明らかにこの子は男の子ですね。
この丸い粒粒の裂け目から花粉が飛んだのでしょう。すごい量!
飛んだ…って書いちゃいましたが、ソテツの仲間は、多分、虫、それもゾウムシの仲間が花粉を運んでいるだろうと言われているそうです。
進化の過程の中では球果植物と同じように古くて、しかもイチョウと同じように精子で受精するくらい古いソテツの仲間が、虫を利用しているというのは、進化と言うのは一本道ではないのだなあと今さらながらに気づかされます。
Encephalartos(エンケファラルトス属)は熱帯アフリカから南アフリカにかけて約60種が分布。特に南アフリカのインド洋側に多いんだって。
球花の色や質感ではソテツ目の中で、一番多様性に富んだ科で、女の子の球花と胞子葉の大きさや形は、属や種を識別する手掛かりになるとのこと。ということは花がないと識別が難しいのかな?
オニソテツと日本で呼ぶのは、エンケファラルトス属の栽培種をひっくるめて呼ぶのだそうで、改めてオニソテツで検索したら、とても素敵な女の子の写真がいっぱい載ったサイトを発見しました!
http://shitteruhawaii.web.fc2.com/encephalartos-manikensis.htm
http://shitteruhawaii.web.fc2.com/encephalartos-ferox.htm
これらのサイトの写真を見るとより魅力的に感じますね。ぜひ見てみて!とても素晴らしい写真がいっぱいのサイトです。ハワイもいいですね。
ザミア科 Zamiaceae
原産地:タンザニア、ケニア
2006年6月2日 シンガポールにて撮影
ソテツも可愛いじゃんって思ってくれたら…ぽちっ!
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コメント
原産地はタンザニア、ケニアなんですか!?だとしたら、とてもはるか彼方、随分とエキゾチックな所から、日本にもやって来たのですね。すごい、ロマン。世界各地の人に相当、アピール力あったとみた!日本では、ちょっと盆栽ちっくですし。
シンガポールのボタニックガーデンでかなり背の高いソテツ君が公園中央にあって注意をひかれました。何歳くらいなのかな?日本でも、分布を北上中のクロマダラソテツシジミが、ソテツ君のにっくき敵なのでしょうね。この前、新芽はこの蝶々のちっちゃな幼虫に丸裸にされていて、ちょっと胸が痛みました。。。。(成長のおそいので有名なソテツ君なのに。)
シンガポールはまだ雨期のはずなのに干ばつ続きで、昨日やっとちょっと雨が降りましたが、地面はコンクリートの様にからから。大谷渡り君もよれよれで、ちょっと危険な状態。昨年の今頃も確か雨が数週間降らず、はらはらしましたが、変な天候のシンガポールです。
投稿: blair Rd | 2010年2月10日 (水) 10時24分
blair Rdさん
いつもありがとうございます!寒さが厳しい日本と比べると色々なソテツの仲間がシンガポール植物園にはあって、ヤシと共にTOMにとっては生唾モノの場所になっています。いいなあ。現地にいて…。
日本にいると本家の蘇鉄を除くとソテツの仲間にはほとんど出会いません。なんとはなしにお題に選んだこの子がオニソテツとは私自身驚きました。
世界を旅する植物の話ですが、今、中尾佐助氏の「花と木の文化史」を読んでいます。世界中から色々な植物が観賞目的や食料のためにはるか昔から旅をしていることを知って、とても興味深く読んでいます。オニソテツちゃんの旅にロマンを感じるとしたら、お勧めの一冊です。
投稿: TOM | 2010年2月12日 (金) 01時18分