Amorphophallus titanum
ショクダイオオコンニャク …こと「スマトラオオコンニャク」。今、すごい話題です~。
おとといの夕方から咲きだしたと言うので、昨日植物園に出かけましたが、「入場者が多くて、12時過ぎには「閉園しました!」」という掲示が茗荷谷の駅にあって、片道1時間かけて出かけて行ったTOMは、さびしーく、帰ってきました。
でもまあ、いい機会なのでアップ。でも写真がない~と思いながら書いていたら、ハルさんがちゃんと入場できたとのことで写真を送ってくれました。ハルさん、ありがとう!ハルさんのブログに開花した昨日の様子がアップされています。つぼみの時の様子はこちら。
葉っぱだけの写真なら、シンガポール植物園の小さな株の写真が確かにあったはずなんだけど、整理が悪くて見つからないです~(涙!)Lエリアのチークの下に植えられていたような気がするんだけど、今はどうなっているでしょう?もし運よく咲いたら「植物園の話題にしよう」という魂胆見え見えの植栽でほほえましく思ったりしたものですが。
この巨大な花を咲かせるコンニャクちゃんは、TOMの仲間の中では、アッテンボロー先生の「植物の私生活」という本の中で有名な子。この本には素敵な(?TOM的にね…)写真がいっぱい載っているのですが、さすがに本の写真をこちらに載せてしまうわけにはいかないので、「ネット上に無いかな~?」と、ちょっとお散歩してみました。
あった、あった。
http://www.flickr.com/groups/titanarum/pool/
よいよ~ このページ。
コンニャクの生活環はこんな感じ。何年も葉を出して、光合成で養分を塊茎を大きくし、十分に養分を貯め大きくなると、花を咲かせ種をつけ、枯れていきます。タネでももちろん増えるのだろうけど、多くの南方系の多年草と同じようにクローンでも殖えます。「短いストロン(走出枝)の先にできた小塊茎が多数残る」と「植物の世界」には書いてありました。
http://www.flickr.com/photos/30974168@N06/4820466618/in/pool-titanarum
私たちが食べているコンニャクちゃんは、原産地は日本では無くて、インドシナ半島じゃないか?と考えられているらしいです。サトイモと同じように南方系の芋類が日本の生活にしっかりと根付いているというのは、興味深い話ですね。文化が中国方面からだけでなく、南方からもわたってきているということもわかります。日本固有のヤマコンニャクと言う子もいますが、四国とか九州とか日本でも暖かい地域の子です。
さてコンニャクちゃん。
受粉の方法は、閉じ込めタイプです。閉じ込めタイプはだいたい雌性が先。つまり雌しべちゃんが先にお年頃になります。(なんでそんな面倒なことをするのか?はこちらを読んでね)
オオオニバスとかウマノスズクサちゃんなんかと同じで、香りとかで惹きつけて花粉をつけて飛んできた虫ちゃんを閉じ込めて、とりあえずすでにお年頃になっている雌しべに受粉をさせます。その後、「ここから出たいよー!!」と暴れまくる虫ちゃんに、後からお年頃になった雄しべの花粉が降り注いで、そのころにお花が枯れて晴れて脱出!別のお仲間に花粉をまんまと運んでいただける寸法…。
そんなタイプのお花を持つ子。
そもそもこの子はインドネシアのスマトラ島中央部の熱帯雨林だけにいる子。「スマトラ島の絶滅危惧種」とプレスリリースにはありますが、スマトラ島の熱帯雨林も他の島の例にもれず減少していて、その影響を受けているということなんでしょう。そしてアッテンボロー先生は「原産地でも森の中でスマトラオオコンニャクを見つけるのは大変」と言っています。「スマトラオオコンニャクのように寿命の短い花を見つけるのは大変です。地元の人でも、密林の中で高く茂った葉が立っていた正確な場所をおぼえているとは限りません。たとえおぼえていたとしても、それが何年目のものなのかを見分けるのはむずかしく、こんどでてくる芽が葉なのか、それとも花んおか、よくわからないのです」
でもってこの子が確実にお仲間のところに花粉を運んでもらうのも大変なことなんだな。
だからこんな巨大な花になる…??
今回、小石川植物園で咲いたお花はせいぜい高さが2mといったところのようですが、原産地では「仏炎苞の直径は90センチ、仏炎苞の開口部は地上から1.2メートル、花序の高さは付属体を含めて2.7メートルもある」そうです。
今回、これを書くにあたって資料をひっかきまわしたんだけど、見つからなくてどれに書いてあったか不明なのですが、TOMの記憶では、この背が高くなる付属体がお仲間に花粉を運んでもらうためにはとっても重要。
この付属体は開花直後から「内部の温度を周囲の気温より数度上げ、花序の芯から分泌した精油成分を蒸発させ」「このにおいは花序の側面にある裂け目から外に漂って」いって、遠くまでにおいを届けます。森の中にぽツンポツンとしかない、この花から別の花へ確実に花粉を送り届けてもらうためには、できるだけ遠くまでにおいを届けないといけません。そのためには、できるだけ高くなることが有利とこの子は考えたんでしょうね。
どんな臭いをとどけるかと言うと、「悪臭」。だから「腐った肉に群がっているつもりで「うっかり花粉を運んでしまう」シデムシ類が花粉を運ぶと考えられているそうです。でもアッテンボロー先生の取材の時には、「シデムシは1匹も見かけなかった」そう。本当は何が花粉をはこんでいるのでしょ?
ともあれ、その悪臭に魅かれて個体の近くに行くと、虫ちゃんの前に広がっているのは、こんな世界。
http://www.flickr.com/photos/hope2007/3490537817/in/pool-titanarum
お花は夜に咲いて、早速悪臭を出しますから、わずかな光の中では、この花の奥は白っぽい色のために明るい光の空間になっているに違いないです。虫はなぜか光に飛び込みますから、まんまとお花の中に誘い込まれてしまいます。
もしもこの仏炎苞をめくって下を覗き込むと…
http://www.flickr.com/photos/carthamus/4334248113/in/pool-titanarum
下にはっきり見えてるのがめしべで、上にあるぼやっとしているモコモコ部分はおしべ。めしべの下にはしっかりと子房が見えますね~。美しいわーー! もうひとつ!
http://www.flickr.com/photos/sevenbirches/490672908/in/pool-titanarum
ね!美しいでしょ! 雄しべ群と雌しべ群の位置関係がよくわかりますね。
で、花粉をつけて入り込んだ虫ちゃんたちは、ここで雌しべに花粉をつけてあげます。
でも入り込んだ虫ちゃんたちは上手く外に出られません。
もがきます。「出して~!出して~!」
ジタバタジタバタ。
そのころ、雄しべが今度はお年頃になって花粉を出します。
http://www.flickr.com/photos/planthead667/775604266/in/pool-titanarum
この花粉が中でもがく虫たちに降り注ぎます。
その後、お花は枯れ始め、運がよい虫ちゃんたちはお花から抜け出し、再び悪臭に導かれて飛び立っていきます。
「2日たつと、花はこわれはじめ、クモの巣のような繊維がつまった丈の高い灰色の付属体は、ぐにゃぐにゃになって倒れ、仏炎苞のへりにおおいかぶさる」とアッテンボロー先生は書いています。
http://www.flickr.com/photos/sftrajan/1089703377/in/pool-titanarum
「この仏炎苞もしおれて縮んで、ふちが付属体の周囲にしっかり巻きつくので、巨大な防水性の袋が出来上がります。この安全な袋の中で、受精した雌花の子房はふくらみはじめます。」
なんだそうです。
「全体を支えている花茎はその後も成長をして、どんどん太くなり、この袋を高く押し上げていきます」
きっと鳥の目に留まりやすいように、上に伸びていくのだね~。
「やがて袋が腐って落ち、数千個の果実がむき出しになります。」(この実は1つ1つは3cmくらいの大きさ)
http://www.flickr.com/photos/sftrajan/2117548238/in/pool-titanarum
「果実が真っ赤く熟すと、サイチョウが食べにやってきます」
サイチョウはこの地域に住むかなり大きめの鳥ちゃん。なるほど、1つ1つの実が3cmというのは、大きいなあと思いましたが、サイチョウちゃんが食べるのなら納得!
以上、お花の一生でした(@_@;)
養分をためるための葉っぱは、葉っぱがあるときはこんな風。十分に塊茎に栄養が溜まって大きくなるまでお花は咲きません。十分に充実するといったん葉っぱは枯れて、半年くらい地上部は何にもなくなって、そのあとお花がにょきにょきと出てくるのだそうです。面白いですね。
http://www.flickr.com/photos/aeranthes/2460040739/in/set-72157594157213817/
http://www.flickr.com/photos/aeranthes/4354350889/in/pool-titanarum
今日こそは!入園できるといいなあ…。もう枯れる方向に向かっているんでしょうけどね(ー_ー)!!
資料:「朝日 植物の世界」
「植物の私生活」 P134~140
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