Ficus benjamina
ブキティマ山の頂上に直径5mmくらいの赤い実がいっぱいなっている木がありました。下にはおびただしい量の、実が落ちてつぶれた痕。さて、何でしょ?
先っぽには小さな穴。開いてみましょ。 おおー、イチジクだぁー!
日本のスーパーにも、季節になるとならぶイチジクの仲間でした。(大きさはずーっと小さいけどね)
街中に落ちている実がイチジクの仲間かどうかは、実を開いてみれば一目瞭然!それを確かめたくてついつい立ち止まっては開いてしまう…(既に病気です(涙!)
中に見える粒々はじつはタネにあたる部分。イチジクを食べるとじゃりじゃりした食感があるでしょ。あれはタネがジャリジャリいっていたものだったんです。
このイチジクの仲間は中のタネが熟すと赤く食べごろになって、リスやサルや鳥ちゃんが食べに来てくれるのを待ちます。そして、彼らのウンチの中に潜んで、遠くまで運ばれていくんです。
イチジクが熱帯の動物達の大切な食料と言うお話は前にもしたので、こちらを見てみてくださいね。
実がなるからには…、タネが実るからには…お花が咲いていたはず。
どこに?
じつは、このタネができているところ1つ1つに花が文字通り人知れず、咲いていました。イチジクは雄花と雌花に分かれているので、タネができているところには雌花が咲いていたんです。
イチジクはイチジクコバチという小さいハチに花粉を運んでもらっています。他のどの昆虫にも頼らず、イチジクコバチだけに頼って、花粉を運んでもらう代わりに、子どもが育つ場所と食料を提供してあげているという関係を持っています。つまり共生しているわけ。
だから、目立つお花は咲かせる必要は一切ありません。甘い蜜で虫を誘う必要もありません。人知れず花を咲かせてるので「無花果」って呼ばれているんですね。
最小限の投資で最大限の効果をあげてる…。うーん、賢いねー。
ちなみにこのイチジクコバチの子どもが育つのはイチジクの第3の花の中。第1と2は雄花と雌花で、3番目は「虫えい花(ちゅうえいか)」と呼ばれています。
「虫えい?」 どっかで聞いたでしょ。
前回登場した「虫こぶ」、またの名を「虫えい」とか「ゴール」とか言います。
私達はこの「虫えい花」を「ガルフラワー(gall flower) 」と呼んでいるのですが、この「ガル」という言葉、英和辞典で調べたら「虫こぶ」のことで、発音は「ゴール」でした。私達、今までガルフラワーと呼んでいたけど、本当は「ゴールフラワー」だったんだー。
つまりイチジクの「虫えい花」は「虫こぶ花」だったんですねー。厳密に言えば、虫の刺激を受けて作られる虫こぶと、もともと虫のゆりかごとして作られている「虫こぶ花」とは違うものなんでしょうけど、うーーん、どうなんだろう?
閑話休題。中身のアップ。キレイでしょ。美味しそうでしょ。ふっふっふー。
お次は葉っぱ。
「あれ?何か見覚えあるぞ?」って思ったアナタ、鋭い!
そしてお次は魅力的なグネグネの幹!見たことあるでしょー?!
いいかげん、じらすのはやめます。日本で観葉植物でとってもおなじみの「ベンジャミン」ちゃんでした!
ベンジャミンってこんなに大きくなって、こんな実がなるんです。以前も紹介したことがありますよね。
フォートカニングパークのベンジャミンの写真
ベンジャミンちゃんの枝からは気根と呼ばれる細い根っこが幹に沿うように垂れてきます。気根は地面に付くと、太くなるので、こんなな風にからんだような幹が出来上がるわけ。
ベンジャミンちゃんは「絞め殺しの木」と呼ばれる植物の仲間で、この仲間は、こんな風に上から気根をたらすのが特徴です。でも気根の垂れ方は絞め殺しの木の種類によって特徴があるので、気根の垂れ方で、どの「締め殺しの木」か遠くからでも予想することができます。
絞め殺しの木のほとんどは雌雄同株だそうなので、ベンジャミンも熱帯地域にたくさんあるアコウ亜属(約270種)の一員で、雌雄同種なんだろうなと思うのだけど、ネット検索や手元の資料では確認できませんでした。もうちょっと探してみます。
ベンジャミンが雌雄同種なら、あの1つの実(花嚢)の中に、雄花と雌花と虫えい花の3種の花が咲いていて、人知れず、イチジクコバチとお花のドラマが繰り広げられていました。おおー、パチパチ…。
日本では観葉植物で家の中でおとなしくしているベンジャミンちゃん。じつはこんな子だったんでした。じつはお日様大好きだから、夏はお日様にも当ててあげてね! (あ、でも突然当てると日焼けしちゃううから徐々に当てていくのを忘れずに…)
クワ科 Moraceae (マンサク亜項 イラクサ目)
原産地:インド
Common name: ベンジャミン、ベンジャミンゴムノキ、ホソバアコウ
資料: 「熱帯植物要覧」P35
朝日百科「植物の世界」P8-141
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