Ravenala madagascariensis

バナナみたいな実が3つに割れて、中に青い繊維と黒い種。
←これなーんだ?
なんとタビビトノキの実です。
すっごい青!!
着色してあるんじゃないの?と正直思いました。
この写真、シンガポール植物園の誰でも入れるライブラリーに展示してあるものです。シンガポールにはタビビトノキは刷いて捨てるほど植えられていますが、花が咲くのはとっても珍しいのです。だからこんな風にガラスケースにいれて大切に展示してあります。
TOMはずーっとタビビトノキの花を見たいと思っていたのですが、シンガポールでは御目にかかれず。
先日、夢の島熱帯植物館に行ったときに、温室のタビビトノキが花序をつけていました。うぉーーー!何で花が咲いているタイミングじゃないのよー(涙…)
下の写真でわかる?
葉っぱの間から花序が出ています。ストレリッチアに似た花序。


花序の部分を拡大。
花のつぼみとおぼしき場所を拡大したのが下の写真です。
ゴクラクチョウカと同じで透明なベトベトしたのが出ているよ!!
タビビトノキの花粉を運ぶのはなんと哺乳類。
エリマキキツネザルなんだそうです。


花序を見られて嬉しかったのでしつこく後ろ側からもパチ。
お花の写真がないとピンとこないと思うので、ネットを検索。下のページの花が一番良く分かったので是非ご覧あれ。
花序や花の様子がとってもよくわかるページ
で、エリマキキツネザルの話。
タビビトノキのお花のメシベの受粉可能時間は24時間。この間に「花についている小部屋に蜜がたくさん分泌される」と資料には書いてありました。

うーー、ネットで探した写真からは小部屋なんてわかんない!
もしかしてこの透明にベトベトしたように見えるのが蜜なのか??
それはともかく。エリマキキツネザルは近くの森の木の上から降りて、花が咲いたばかりのタビビトノキにやってきて、花の苞(ほう)をつかみ、苞をむしりとって中の花を取り出し、葉で花をこじ開けて鼻先をその中に突っ込んで蜜を飲むのだそうです。
へぇー、お猿さんが送粉者って、珍しい!
タビビトノキは2~3ヶ月もかなりたくさん花を咲かせるので、その間はタビビトノキの蜜がエリマキキツネザルの主食になるんだって!
「マダガスカルには花を守っている苞葉をひきちぎれるほどの力のある昆虫も爬虫類もいないようなので、エリマキキツネザルとタビビトノキはおそらくお互いに適応しながら進化してきたのでしょう。」
と資料には書いてあって、もうブラボーって感じ(何が?)
資料は「植物の私生活」という本なのですが、この本の元になったBBCの番組があって、その番組ではエリマキキツネザルが蜜を食べにタビビトノキに来ている映像がありました。DVDを持ってる方はご覧あれ。
それにしても同じ「アフリカ原産のゴクラクチョウカがじつは爬虫類が送粉者だったのではないか」と考えられていることと酷似してますねぇー。以前のゴクラクチョウカの記事も読んでいない方はご覧下さいね。
で、お花が終わると実がなります。
豊橋動植物園で以前、花序ごと実を展示してあったことがあったそう。ネット検索をしていたら見つけました。面白いよ!!
それから実の中に入っているタネの様子がわかるものも発見。こちらのブログも面白い!

シンガポールで花序や花を見たことが無かったので、夢の島熱帯植物館ではかなり興奮してしまったTOMでしたが、職員の人はあんまりワクワクしていない様子。どうして?と思いましたが、どうも日本の温室では結構花はつけてる感じで、ネットを検索すると意外に花の写真が出て来る出て来る…。なんでーーーーー?シンガポールであんなにいっぱいあって咲かないのに、日本で温室であっさり咲くの??悔しい!
答えはシンガポールで撮った説明板から見つけました。
「シンガポールではお花はとってもレアー。なぜかと言うと、タビビトノキは強い乾季を経験しないと花芽をつけないから」と看板には書いてありました。
はぁー、シンガポールは雨が多すぎなんですね。
ゴクラクチョウカ科 Strelitziaceae
原産地:マダガスカル
Common Name: Traveller's Palm, Traveller's Tree、タビビトノキ、トラベラーズパーム、オウギバショウ(扇芭蕉)、ラベナラ
説明は以前の記事をご覧下さい。
タビビトノキの形の回も見てね!
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追加の記事です。
お花と実をもっと見たい!って騒いでいたら、花探し爺さんが「お花と実をアップしたよ」ってお知らせしてくださいました。見てみてーーー!!!
花探し爺さんのページは、「フィリピン植物研究会のページ」です。こちらも熱帯植物満載。ぜひご覧ください。
その中でタビビトノキのページはこちらです。
http://www.e-amo.net/amano/plants/basyou/tabibitonoki.htm
花もさることながら、実がなっている写真は初めて。バナナに似ていますねー。さすが、元バショウ科。
花探し爺さん、ありがとうございました!!
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資料:「朝日新聞社 植物の世界」 P10-207
「植物の私生活」デービッド・アッテンボロー 山と渓谷社 P121
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