ゴクラクチョウカ(極楽鳥花)-2
Strelitzia reginae
極楽鳥花-2は極楽鳥花-1を読んでからお読みくださいね。
昨日は「ゴクラクチョウカのお花は爬虫類が花粉の運びやだったかもしれない、ちょっと珍しいお花かも…」って記事でした。
今日はその理由の説明です。
まず下の写真。ゴクラクチョウカのお花のメシベとオシベが入っている青い棒のように見える部分です。1つのお花に1本ずつあります。
まじまじと今まで見たことが無かったので、おおー、こんな格好をしてるんだーと思いました。
青いお皿のような格好をしている部分から飛び出しているのが(写真の右側の白いの)どうもメシベのようです。
このままではオシベは見えません。どこだ??
メシベの先っぽを指で押してみました。
あ、なんか入ってる。なんか出てきた。花粉です。
もっと開いてみます。
すっごいぞー。花粉だらけ。
オシベの先っぽから花粉が出てくるんじゃなくて、長い花粉が入っている袋があって、そこからどこどこ花粉がでてきているみたい。
この花粉、サラサラしていません。濡れちゃった小麦粉みたい。ちょっと粘り気もありました。
上のものだと花粉がいっぱい過ぎてオシベの様子がわからないので、もう少し咲き始めのお花の先っぽを押してみました。
糸みたいなオシベが整然と並んではいっているのを見る事ができました。
再びお花の全体像。蜜は右奥に入っています。
現在、原産地でゴクラクチョウカの蜜を吸いに来るタイヨウチョウ類は、この青い部分に「とまることはめったになく、花の側面にしがみついたり、上向きに広がったオレンジ色の花弁にぶら下がり、身を乗り出して蜜を吸います。ちょうど葯(オシベの花粉が入っている部分のこと)が飛び出してくるのを避けようとしているようなかっこう」なので、花粉は鳥には全く付かないのだそうです。(資料より)
じゃ、この子、ゴクラクチョウカは誰に花粉を運んでもらうためにこんな格好をしているの?
再び疑問に立ち戻ります。
そこで登場するのが爬虫類。人間が属する哺乳類よりも、鳥よりも早くに地上に出現した動物です。
爬虫類の中でもトカゲのような動物がこのお花の蜜を吸いに来たらどうなるでしょう?
青い棒のような部分に、よっこらしょと寝そべるようにのりかかると思いませんか?
そしたらどうなるでしょう?
葯が飛び出してきて、上の写真のように花粉がどこどこ出てきます。トカゲちゃんのおなかは花粉だらけ。
めでたく蜜を吸ったトカゲちゃんが次のお花に移動します。メシベは飛び出していますから、よそで付いてきた花粉はまずそこのメシベの柱頭に付きます。トカゲちゃんは新たな花粉をつけて、また別のお花に移動するという寸法。
おおーー、めでたく受粉完了です。すごいねー。
資料にはこんなふうに書いてあってこの項が締めくくられていました。
「ストレリチアはもともとトカゲを誘うようなかたちで進化をとげたのかもしれませんが、いつのまにかトカゲのかわりに、もっとすばやく蜜を吸うことのできるタイヨウチョウ(アフリカ~アジアの熱帯に分布する蜜食の鳥)がストレリチアにやってくるようになると、野生のストレリチアのほとんどは花粉を運んでもらえず、種子をつくることができなくなってしまったのです。」
今では野生ではほとんどタネをつけなくなってしまったゴクラクチョウカちゃん。人間が知らない進化の歴史のはるか昔の彼方には、ゴクラクチョウカちゃんの蜜を吸って生きていたトカゲがいたのかもしれません。ゴクラクチョウカのお花はそんな進化の歴史にまで思いを馳せられる秘密が潜んでいたのでした。
面白いでしょー!!!!
今回、さらにTOMは発見。
花粉もベタベタしてるけど、お花の根元からこんなベタベタゼリー状のものが出ていました。トカゲが這い登ってきてここを通過するとベタベタのノリがおなかに付きます。さらに青い棒の上に乗って花粉が付けば、より確実に花粉はたくさんおなかにくっつきます。
そのための仕掛けかしら…なーんてTOMの妄想は果てしなく広がっていったのでした。わはは。
資料:「植物の私生活」デービッド・アッテンボロー 山と渓谷社 P114
この資料、すっごく面白いです。読み物としても最高!定価は面白いのにたったの3200円。買って損はないよー。シンガポールにいる方は日本人会の図書室にあるのでぜひ読んでみて下さい。
ゴクラクチョウカ科 Strelitziaceae
原産地:南アフリカ
Common name: Bird Of Paradise , Crane Flower、ゴクラクチョウカ、ストレリチア、ストレリッチア
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