カテゴリー「昭南島に関する記事」の記事

2007年1月13日 (土)

食用になる野生の動植物

「食用野生動植物」 馬來軍政監部  編集:昭南植物園・昭南博物館

の内容を載せます。この本については先日説明したのでこちらを読んでくださいね。

 天地の恵の豊かな熱帯の地ではいたるところ食料は豊富にある。一般に人々が食料としている牛・山羊・鶏・魚など、また米・麦をはじめ野菜・果物のほかに野生の動物、植物で手近にあり、また普通目に触れるもので食用になるものは沢山ある。考えたり工夫したりすることにより食べるものに不自由するということはまずないものである。ただ、今までは贅沢に慣れたのと、食べつけないので判断がつかず、不安で尻込みしていたにすぎないのである。この自然に与えられた恵を知らないで、あるいは、捨て顧みないでいるのはもったいないことである。できるだけ、それを利用しなければいけない。それには最初は若干の勇気と工夫とを要するのである。その参考にもと思ってこの小冊子をまとめてみたが、忽卒の際、拙速を要するので不十分であることは免れない。極めて一部の、わずかに参考になるものだけに止めたのである。
 

 食用になるものが多いと同時に、また食べられないものもある。毒になるもの、硬かったり苦かったり渋かったり、またまずくてしかたのないものなどがある。毒になるものでは草や木の果・皮・葉にもある。豆の類はどれも食べられそうに思われるが、多くのものは青酸を含んでいるから危険である。海の魚には時々有毒なのがあるから注意を要する。できれば現地人について毒の有無、また用法などを確かめておくことも必要である。硬いものや、まずいものなどは処置なしのように思われるが、毒でない限り、工夫をすると存外に食べられるものもある。フグのような猛毒魚でさえ食べている。また気味が悪いので食べないでいるものがなかなか多い。うわばみ、とかげ、ワニなど、最初はそうとうに勇気を要するが、我慢して食べると意外にうまいものである。なまこ、ゲンゴロウ虫、ザザ虫(とんぼの幼虫)など、見るからに気味の悪いものを初めて食べた人のことを考えれば何でもないことである。食べ慣れれば当たり前の食物になってしまう。だいたい、陸生の動物、鳥類、淡水魚には、うまいまずいはあるにしても、有毒なものは殆んど無いと言ってよい。
 
 要するに勇気と工夫と用心とを以って、自然の恵を十分に利用することが大切である。この小冊子が極めて至らないものであるが、その示唆ともなり参考ともなれば幸いである。

 昭和18年11月

全体の内容は…

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第 1 部 野生動物

ゾウ・野牛・水牛・トラ・ヒョウ・シカ・マメジカ・クマ・イノシシ・サル・ムサン・リス・オオトカゲ・ワニ・オオコウモリ・ヤマアラシ・アリクイ・ウワバミ(ニシキヘビ)・毒ヘビ・スッポン・カメ(?? 漢字が読めなくてわからん)・カエル・カタツムリ…などの食べ方。これらの動物の捕獲法のワナまで図解で載っています

第 2 部 淡水魚

鯉に始まってウナギ・エビ・カニ・トビハゼまで色々載ってます。こちらも漁獲法も載っています。

第 3 部 食用植物

1.ヤシ : ココヤシ・砂糖ヤシ・油ヤシ・サゴヤシ・ニッパヤシ

2.野生の果実 : たくさんあって書けないです

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以上、「食用野生動植物」の序文と概要でした。

なんともはや、時代とは言え、全部が面白いと言うか興味深いと言うか…という感じなので、雰囲気だけでもということで「ゾウ」のところだけ、抜粋してみます。

象(ガジャ)

 皮の厚さが2寸以上もあるので、ナイフの刃がすぐに止るから料理の前に砥石の用意がいる。肉は暗紅色で極めて硬い。大味であまりうまくはないが、鼻・心臓・舌・鞍下肉がまずよろしい。硬肉処理法を行えば、象テキ、スキヤキもまた可なりである。

 ジャングルの中に住んでいて、時々ゴム園や畑を荒らしに出て来る。群れているのは危険であるから注意を要する。捕獲は鉄砲で打つのが早い、できるだけ近づいて眉間か「コメカミ」かを狙えば一発で十分である。他の部を打つことは危険である。罠は生け捕りにして飼養して労役に使う時に用いる。

 牙と尻尾の毛は粉末にして媚薬に用いるという。

野蛮とか言わないでね。時代などを考えながら資料として読んでいただければと思います
原文をできるだけそのままにしていますが、読みやすいように句点を打ったところもあります。仮名遣いは読みやすいように変えてあるところもあります。

「媚薬かい?」って叫んでしまいましたよ。中国系の人はこういうのが好きそうですねぇ。

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2007年1月 8日 (月)

馬來野生食用植物図説と食用野生動植物

今TOMの手もとに「馬來野生食用植物図説」「食用野生動植物」という2冊のコピー本があります。元がどんな本だったわかりません。昔、友の会で廃棄される本の中で見つけて、拾ってきたもの。出版元は両方とも馬來軍政監部、編集は両方とも昭南植物園昭南博物館となっています。

昭南という言葉に聞き覚えのない方も、日本にいる方にはいらっしゃるかと思います。

シンガポールは1942年から1945年の第二次世界大戦中、日本の統治を受けた時代があり、その時代、シンガポールは昭南島と呼ばれていたのです。シンガポール植物園や博物館も、それぞれ昭南植物園昭南博物館と名前を改められていました。

1_103 シンガポールの歴史を勉強している子どもにぜひ読んでねと勧めている本があります。 「思い出の昭南博物館」という本です。このブログの資料にもちょくちょく登場する「Wayside Trees of Malaya」の著者E.J.H.コーナー博士が書かれた本で、日本の占領下で学者達が植物園や博物館の貴重な所蔵品を必死に守った様子が活き活きとした文章で書かれているものです。(TOMはコーナー先生の崇拝者なんだよん…ふふふ)

この中にこんなくだりがあります。

「昭和18年8月、侯爵は、食糧事情が日増しに悪化してゆくのを憂慮して、マラヤの有用植物と動物に関する小冊子を日本語で出版することにした。秘書の大森嬢、バートと私がその仕事を依頼され、バートは動物関係を、私が植物関係を担当した。素人でもすぐに識別できるような挿絵を入れた。挿絵は私たちの画いたもので、お世辞にも上手といえる代物ではなかったが、博物館から立派に出版された。これも数部図書館に入れられた。私は、今も一部手もとに保存している。」    「思い出の昭南博物館―占領下シンガポールと徳川候」P139

      侯爵とは徳川義親候のこと

TOMが手にしたコピー本はこういった経緯で作られたものの、コピーだったのでした。

序文を誰が書いたのかは書かれていません。でもとても興味深いのです。中身も面白い。

興味深い資料なので、もっと活用してくれる人がいたら譲りたいと思っていますが、その前にブログに書き留めて、何かの勉強をしている人の役に立つといいなあと思いつきました。なので、何日か、その文章を書き留めたいなあと思っています。

keikoさんが教えてくれたコーナー先生の記事があるページはこちら

徳川義親候についての記事も面白いよ!絶対に読んで!面白い!現代にもこんな政治家がいたらおもしろいのになあ。

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