食用になる野生の動植物
「食用野生動植物」 馬來軍政監部 編集:昭南植物園・昭南博物館
の内容を載せます。この本については先日説明したのでこちらを読んでくださいね。
序
天地の恵の豊かな熱帯の地ではいたるところ食料は豊富にある。一般に人々が食料としている牛・山羊・鶏・魚など、また米・麦をはじめ野菜・果物のほかに野生の動物、植物で手近にあり、また普通目に触れるもので食用になるものは沢山ある。考えたり工夫したりすることにより食べるものに不自由するということはまずないものである。ただ、今までは贅沢に慣れたのと、食べつけないので判断がつかず、不安で尻込みしていたにすぎないのである。この自然に与えられた恵を知らないで、あるいは、捨て顧みないでいるのはもったいないことである。できるだけ、それを利用しなければいけない。それには最初は若干の勇気と工夫とを要するのである。その参考にもと思ってこの小冊子をまとめてみたが、忽卒の際、拙速を要するので不十分であることは免れない。極めて一部の、わずかに参考になるものだけに止めたのである。
食用になるものが多いと同時に、また食べられないものもある。毒になるもの、硬かったり苦かったり渋かったり、またまずくてしかたのないものなどがある。毒になるものでは草や木の果・皮・葉にもある。豆の類はどれも食べられそうに思われるが、多くのものは青酸を含んでいるから危険である。海の魚には時々有毒なのがあるから注意を要する。できれば現地人について毒の有無、また用法などを確かめておくことも必要である。硬いものや、まずいものなどは処置なしのように思われるが、毒でない限り、工夫をすると存外に食べられるものもある。フグのような猛毒魚でさえ食べている。また気味が悪いので食べないでいるものがなかなか多い。うわばみ、とかげ、ワニなど、最初はそうとうに勇気を要するが、我慢して食べると意外にうまいものである。なまこ、ゲンゴロウ虫、ザザ虫(とんぼの幼虫)など、見るからに気味の悪いものを初めて食べた人のことを考えれば何でもないことである。食べ慣れれば当たり前の食物になってしまう。だいたい、陸生の動物、鳥類、淡水魚には、うまいまずいはあるにしても、有毒なものは殆んど無いと言ってよい。
要するに勇気と工夫と用心とを以って、自然の恵を十分に利用することが大切である。この小冊子が極めて至らないものであるが、その示唆ともなり参考ともなれば幸いである。
昭和18年11月
全体の内容は…
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第 1 部 野生動物
ゾウ・野牛・水牛・トラ・ヒョウ・シカ・マメジカ・クマ・イノシシ・サル・ムサン・リス・オオトカゲ・ワニ・オオコウモリ・ヤマアラシ・アリクイ・ウワバミ(ニシキヘビ)・毒ヘビ・スッポン・カメ(?? 漢字が読めなくてわからん)・カエル・カタツムリ…などの食べ方。これらの動物の捕獲法のワナまで図解で載っています
第 2 部 淡水魚
鯉に始まってウナギ・エビ・カニ・トビハゼまで色々載ってます。こちらも漁獲法も載っています。
第 3 部 食用植物
1.ヤシ : ココヤシ・砂糖ヤシ・油ヤシ・サゴヤシ・ニッパヤシ
2.野生の果実 : たくさんあって書けないです
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以上、「食用野生動植物」の序文と概要でした。
なんともはや、時代とは言え、全部が面白いと言うか興味深いと言うか…という感じなので、雰囲気だけでもということで「ゾウ」のところだけ、抜粋してみます。
象(ガジャ)
皮の厚さが2寸以上もあるので、ナイフの刃がすぐに止るから料理の前に砥石の用意がいる。肉は暗紅色で極めて硬い。大味であまりうまくはないが、鼻・心臓・舌・鞍下肉がまずよろしい。硬肉処理法を行えば、象テキ、スキヤキもまた可なりである。
ジャングルの中に住んでいて、時々ゴム園や畑を荒らしに出て来る。群れているのは危険であるから注意を要する。捕獲は鉄砲で打つのが早い、できるだけ近づいて眉間か「コメカミ」かを狙えば一発で十分である。他の部を打つことは危険である。罠は生け捕りにして飼養して労役に使う時に用いる。
牙と尻尾の毛は粉末にして媚薬に用いるという。
野蛮とか言わないでね。時代などを考えながら資料として読んでいただければと思います。
原文をできるだけそのままにしていますが、読みやすいように句点を打ったところもあります。仮名遣いは読みやすいように変えてあるところもあります。
「媚薬かい?」って叫んでしまいましたよ。中国系の人はこういうのが好きそうですねぇ。
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